2019年6月27日木曜日

COPD入院・死亡率イベント予測有用性は固定比 0.7で十分かもしれない

これで注意しないといけないのは、ここのスパイロメトリデータはすべて気管支拡張剤投与前の値であり、GOLDガイドライン推奨の拡張剤後FEV1/FVCではない

年齢など考慮された正常下限:LLNの方を採用しようという動きがもたげていたが、利点はさほどないのかもしれない



Discriminative Accuracy of FEV1:FVC Thresholds for COPD-Related Hospitalization and Mortality
Surya P. Bhatt, et al.
JAMA. 2019;321(24):2438-2447. doi:10.1001/jama.2019.723.3


研究意義  多数の現行ガイドラインによると、COPD診断にはFEV1:FVC 0.70未満が必要だが、この固定閾値はexpert opinionに基づくだけで、議論の余地あるところである

目的  COPD関連入院・死亡率推定としてのFEV1:FVC固定閾値のdiscriminative accuracyの決定

デザイン・セッティング・被験者
National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI) Pooled Cohorts Study
4つの一般住民ベースコホート(Atherosclerosis Risk in Communities Study; Cardiovascular Health Study; Health, Aging, and Body Composition Study; and Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)のharmonized およびpooled data解析
45−102歳を1987-2000年登録、2016年まで長軸的フォローアップ

暴露 気流閉塞(airflow obstruction)の存在:定義としてFEV1:FVC 固定閾値レンジ 0.75-0.65未満、Global Lung Initiative reference equations (LLN)により正常下限定義未満


主要アウトカム・測定項目
プライマリアウトカム:COPD入院、COPD関連死亡率(裁定、行政的クライテリア定義)
至適固定FEV1:FVC閾値定義: COPD関連イベントに対する、非補正Cox比例ハザードモデルからのHarrel C統計を用石評価したbest discrimination

nonparametric approachにてC統計の差は、0.70未満とLLN未満を比較


結果
pool化コホート24,207成人(登録時 平均[SD]年齢 , 63[10.5]歳; 女性 12,990[54%]、非ヒスパニック白人 16,794[69%];喫煙歴 15,181 [63%])、15年時点で 11,077(77%)フォローアップ完遂
フォローアップ中央期間 15年間の間に、340,757人年フォローアップ中 COPD関連イベント 3925、内、COPD関連入院 3563、COPD関連死 447

COPD-関連イベントdiscriminationに関し、至適固定閾値 (0.71; 至適固定閾値に対するC統計; 0.696)は、 0.70閾値 に対して有意差認めず (difference, 0.001 [95% CI, −0.002 to 0.004])、しかし、LLN閾値に比べaccuracyは優れていた (difference, 0.034 [95% CI, 0.028 to 0.041])



閾値 0.70は喫煙既往サブグループや補正モデルでも至適性を堅持

結論と知見  FEV1:FVC 0.70未満という気道閉塞定義は、他の指標と差は無いという意味でCOPD関連入院、死亡率の判別として役立ち、他の固定指標やLLNよりaccuracyが高い
これらはFEV1:FVC 0.70未満が臨床的意義あるCOPDリスク状態個人を特定するのに役立つことが支持される。






でも、これみると、早期発見を主眼とする場合、FEV1/FVC 0.75まで対象拡大も考慮すべきかも




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