2020年8月7日金曜日

気管支喘息:IL-5系バイオ製剤投与下のステロイド依存患者の減量法と副腎予備能の評価

抗IL-5あるいはIL-5Rモノクローナル抗体:メポリズマブ、ベンラリズマブ投与開始後の経口ステロイド減量の後顧的検討


92名の連続患者でOCS維持療法アドヒアランス確認患者

初回検査においてプレドニゾロン換算 5mg/day以下の減量を臨床症状に応じ許可し、24時間以上のOCS無服用、12時間以上前のICS使用を除外する


Prevalence and Recovery of Adrenal Insufficiency in Steroid-Dependent Asthma Patients Receiving Biologic Therapy

Eur Respir J . 2020 Jul 30;56(1):1902273. 

doi: 10.1183/13993003.02273-2019. Print 2020 Jul.

PMID: 32217655 DOI: 10.1183/13993003.02273-2019

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32217655/


There are a variety of techniques to assess adrenal reserve ; the insulin tolerance test  is  the  gold  standard  test  but impractical  outside  specialist  centres;  

副腎予備能のゴールドスタンダードは insulin tolerance testだが専門施設外では実施困難。そして、コートロシン:short tetracosactide test (SST; serum  cortisol measured before  and 30  and  60  minutes after parenteral injection of 250μg  tetracosactide)  が副腎予備能の信頼できる評価法としてしばしば用いられるが、過敏反応やアナフィラキシーのリスクを一部伴う 。結局、朝方の血中コルチゾール測定がシンプルで安価で、プライマリケアの外来でも実施可能な検査

日本ではちょっと異なるので注意:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/103/4/103_878/_pdf

 

患者はコルチゾールが<133 nmol/LであればAIを持っていると考えられた。

これらの患者は現在の用量を継続し、ステロイドの予防措置を維持し、生物学的製剤の注射を受ける際には4~8週間ごとにコルチゾール測定を繰り返し、12ヵ月間追跡調査を行った。AI(副腎不全)を示唆する症状を報告した患者は、プレドニゾロンをさらに離脱させず、SSTによる検査を受けた。

コルチゾール値が133nmol/Lを超えていた患者は、プレドニゾロンを1ヶ月ごとに1mgずつ離乳させ、週4~8回の生物学的検査を受けた。

結果は、パラメトリックデータについては平均±SD、ノンパラメトリックデータについては中央値および四分位間の範囲として表される。単一変数の比較には、t検定(またはノンパラメトリック同等物)を使用し、適切な場合にはペア分析を行った。92人(54人の女性)の患者がこの解析に含まれた。

 全例がOCSの維持療法に加えて高用量ICS(ベクロメタゾンジプロビロン酸塩換算2000μg/日)を投与されていた。

65/92(71%)の患者はコルチゾール値が低く(<133nmol/l)、中央値68nmol/L(IQR 37-98)であった。 このうち、48/65例(74%)が1年以内に副腎機能を回復し、回復までの期間の中央値は20週間(IQR 12-28)であった。

17人(26%)の患者では朝のコルチゾールが持続的に低下しており、低用量プレドニゾロン3-5mgの投与を12ヵ月以上継続する必要があった。 

AIの発症とOCSの総投与期間や累積投与量との間には統計学的に有意な相関は認められなかったが、AI患者はAIなしの患者に比べてOCSの投与量が2倍近く、投与期間も長かったことが注目された

92例中35例(38%)がHPA axis 評価の一環として朝のコルチゾールに加えてSSTを実施した。SSTを実施しなかった患者(15/35人(43%))では  朝のコルチゾール中央値は86nmol/l(IQR:55-132、範囲13-214)で、プレドニゾロンを1日5mg服用していた。また、SSTに合格した患者の20/35(57%)では、朝のコルチゾール中央値が220nmol/l(IQR:183-250、範囲146-350)で、プレドニゾロンを1日平均3mg服用していた。

生物学的治療を受けているステロイド依存性喘息患者におけるAIの有病率と、OCSを離乳させた際のAIの消失に関する初めての実世界でのデータを提示。

OCSを離脱させ、無傷でHPAの回復を促すことで、患者は安全にステロイド予防を中止することができ、有害な薬剤への不必要な曝露を避けることができそう。

OCSの用量と期間とAIとの関連を報告している研究があるが(7, 8)、我々はそのような相関関係を見いだせなかったし、他の研究もそうではなかった(11)。 朝のコルチゾールレベルを測定することは、基礎疾患がプレドニゾロン用量<5mg/日-広く内因性の毎日の生産に相当する生理的閾値であると考えられているレベル-の削減を可能にしたら、副腎機能を評価するための実用的で安全な最初のステップである。

副腎系の動的検査は朝方の血中コルチゾール濃度低くプレドニゾロン 5mg/日以上の場合は副腎不全が強く示唆され避けるべき 

Our experience has shown that dynamic testing of the adrenal axis should be  avoided  in  patients  with  low  morning  cortisol  levels and  on  prednisolone  doses  >  5mg daily as both were highly indicative of AI.

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