2020年9月14日月曜日

高齢:運動トレーニングにより脂肪細胞内炎症減少効果

運動訓練、フィットネス:能力により脂肪細胞内抗炎症作用を示し、ET:運動訓練についての話と細かい免疫機序についての解説も含まれている

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<序文高齢者の代謝性病態併存は、全身性の催炎症性と脂肪組織の低程度の炎症が関連しているようにみえる。肥満に見られる脂肪組織(AT)の低程度炎症は炎症細胞(例えば、催炎症性マクロファージやリンパ球)のATへのstromavascular fractionへのrecruitment増加、adipokineやサイトカイン産生へ影響を与える可能性があるが、ATの免疫状態への加齢の影響を記載するデータは少ない。

Ortega-Martinezによる研究では、脂肪率と年齢の両方がヒトの皮下ATのマクロファージ含量と関連していると明確化し、マウスを用いた研究では、AT中の常駐抗炎症性M2マクロファージの減少と抗炎症性T<sub>REG</sub> lymphocytesの加齢による低反応性が示され、さらに身体活動/運動トレーニング(ET)は、代謝障害を予防することができる最も効果的な生活習慣介入の一つであることが証明された。 

身体活動の増加に基づく介入は、循環サイトカインおよび免疫細胞のレベルで炎症状態を改善することが示されマウスのATにおいて、ETは、炎症性サイトカインレベル、マクロファージおよびCD8 Tリンパ球のおよび線維化の程度を減少させることが示され、これはATにおける炎症の減少を示唆している。トレーニングによりATのadipokine及びサイトカインmRNA値の変化報告があるが、一般化はされてない。全身レベルおよびATにおける催炎症性表現型および代謝パフォーマンスは、ω3多価不飽和脂肪酸(ω3)の影響を受けている可能性も示唆され、以下の報告のきっかけとなったとのこと



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Exercise training reduces inflammation of adipose tissue in the elderly: cross-sectional and randomized interventional trial

Terezie Čížková, et al.

The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism

https://doi.org/10.1210/clinem/dgaa630

https://academic.oup.com/jcem/advance-article/doi/10.1210/clinem/dgaa630/5903324

概要

老化や肥満に伴う代謝障害や炎症促進状態は、身体活動や栄養介入によって緩和される可能性がある。


目的

本研究の目的は、フィジカルフィットネス/エクササイズトレーニング(ET)が、特にω3サプリメントとの併用により、脂肪組織(AT)の炎症を緩和するかどうか、また、ETによって誘発されるATの変化が高齢者のインスリン感受性(IS)および代謝健康の改善に寄与するかどうかを評価することである。


デザイン、参加者、主要アウトカム指標

体力の効果は、訓練を受けた高齢女性と訓練を受けていない高齢女性(71±4歳、n=48)の横断的比較、およびω3(カラヌス油)の補給の有無にかかわらず4ヶ月間のETによる二重盲検無作為化介入(n=55)で測定した。体力はSpiroergometry (maximum graded exercise test) とSenior Fitness Testsで評価した。ISはhyperinsulinemic-euglycemic clampにより測定した。皮下ATサンプルを用いて、mRNA遺伝子発現、サイトカイン分泌、免疫細胞集団の分析を行った。


結果

訓練を受けた女性は、訓練を受けていない女性と比較して、AT中の炎症および酸化ストレスマーカーのmRNAレベルが低く、CD36+マクロファージの相対含有量が低く、γδT細胞の相対含有量が高かった。同様の効果は、4ヶ月間のET介入でも再現された。CD36+細胞量、γδT細胞量、炎症性および酸化ストレスマーカーのmRNA発現は、心筋梗塞および心肺機能と相関していた。


結論

高齢の女性では、体力はATにおける炎症の減少と関連している。これは、ETによって達成された有益な代謝転帰に寄与している可能性がある。ETと併用した場合、ω3サプリメントはATの炎症特性に追加の有益な効果はなかった。


www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。




Calanus   oil   supplementation では、炎症性パラメータは軽度影響を与えたのみで、長期的な身体活動と4ヶ月間のETの両方で、脂肪率の低下とインスリン感受性の上昇が見られ、身体的に健康な女性のより良好な代謝表現型を示した。肥満者や高齢者ではET後に脂肪率/脂肪量の低下とインスリン感受性の改善が見られたという先行研究と一致。中高年肥満者では脂肪細胞の大きさに変化は見られなかったが、高齢女性では脂肪細胞の大きさに関して有意な減少が低カロリーの食事と組み合わせたETの後に報告されている。

トレーニングの種類やカロリー制限の有無が脂肪細胞の大きさの変化に関与している可能性がある。

マウスでは、有酸素的ETがATの炎症状態、すなわちTNF、MCP1、F4/80マクロファージマーカーのmRNA発現を低下させることが示され、血管周囲ATにおけるマクロファージとCD8 T細胞の含有量も低下。過体重/肥満の血糖値異常者では、運動トレーニング後の炎症性遺伝子のmRNA発現の低下し、免疫関連転写物のAccepted ManuscriptレベルはISと相関した。マウス、ヒトともにETはATの酸化ストレスの減少をもたらすことが報告されていたが、本研究では、訓練を受けた高齢女性のATにおける炎症・酸化ストレス関連遺伝子のmRNAレベルが、訓練を受けていない女性と比較して低下していることを確認された。

mRNA発現は全身組織の結果を反映するばかりで、単に免疫細胞を反映するのではない。故に、リンパ球マクロファージpopulationを身体活動や全身性代謝パラメータと関連し評価した。

 CD4+  T-helper  cells とCD8+  cytotoxic  cellsは運動訓練の有無で違いがあるが、VO2peakとは直接相関しない。リンパ球、主にγδT細胞、T<sub>H</sub>1及びCD183+/194+/196+細胞が身体的フィットネスと相関、γδT細胞はユニークなT細胞で、innate及びadaptive immunityの橋渡し役をする細胞であり、T細胞が癌に対する保護作用を持つ可能性やIL-17やIL-33の産生を介してAT中のTREG細胞の増殖を調節することが示されている。肥満の人は血中のγδT細胞レベルが低く、肥満の重症度とγδT細胞との間に負の相関があることが明らかで、γδT細胞はAT免疫ホメオスタシス上重要な有益的な役割を果たす可能性がある

 T<sub>H</sub>1細胞高値、TNFαとIL-8分泌サイトカイン高値傾向が運動訓練を受けてない群の催炎症性状態で見られる傾向にあり、 T<sub>H</sub>1細胞はFMと相関するが、VO<sub>2 peak</sub>とは関連SINAI、FMマッチ化群ではその差は消失し、心肺フィットネスより、よりadiposityと強い関連性を示す。さらに、 T<sub>H</sub>1細胞比率増加は肥満でより多く見られ、インスリン抵抗性と関連する。ヒトATではリンパ球中の、T<sub>H</sib>1、 T<sub>H</sib> 2、T<sub>H</sib>17 effector細胞T<sub>H</sib>に分化する比率は驚くほど少ない。

最も多いCD4+ Tリンパ球は、3つのlineage marker(CXCR3、CCR4、CCR6)すべて陽性のモノがヒトで検出され、これらの細胞はT<sub>H</sub>17細胞と同様の特性を持ち、TNFα、IL-17産生レベルが低く、末梢組織へのホーミングのための接着分子を豊富に発現しており、この系統はヒトATにも存在すると予想される。 CD183+/194+/196+レベルはCD14+/CD36+マクロファージと負の相関があることから、AT内でのこれらの免疫細胞集団の蓄積には逆の関係があると考えられます。 この研究では訓練を受けた女性のCD14+/CD36+ ATMは訓練を受けていない女性に比べて低く、これらの細胞の割合は、横断的な比較ではISレベルと負の相関があり、CD14+/CD36+ ATMの変化は、ET中のVO2ピークの変化と相関していた

CD36を発現するATマクロファージは “metabolically activated”  ことが示されており、それらはおそらく pro-inflammatory  (M1-like)  phenotype である。このタイプのATMの減少は、定期的身体活動と相関する。

AT内のTLR4 mRNA発現とTLR4陽性マクロファージの相対的量の増加はET後増加は意外であるが、これは血中の単球を反映したモノで、AT内のマクロファージや単球をしめしたものではなかった。AT による催炎症性サイトカインの発現と分泌は、ET 後に減少していた。 したがって、TLR4 シグナルは活性化脂質の利用可能性の低下によって低下しているか、あるいは他の ET 誘導経路によって積極的に打ち消されているのではないかと推測される。そのメカニズムの一つとして、TLR2受容体の逆制御が考えられます。 樹状細胞が高レベルのサイトカインを産生するためには、両方の受容体からの同時シグナル伝達が必要であることが述べられているように、ETによるTLRs発現の変化はサイトカインの分泌を刺激しない可能性がある

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