生誕時点でその後の喘息リスクが一部決定づけられているという仮説
生誕時肺機能検査評価とその後のコホートにて明確になりつつある
胎内成長との関連ということに話がなってくるのだが・・・
先行研究にて生誕時maximal expiratory flow at FRC (V̇maxFRC)が生後3ヶ月後の喘鳴と関連している(N Engl J Med 1988; 319:1112-1117) 。さらに、24歳時点での活動性喘息とも関連という報告(Pediatr Pulmonol 2018; 53: 1082-1088)があった。peak tidal expiratory flow to the total expiratory time (tptef/te)、T<sub>me</sub>/T<sub>E</sub>はmaximal expiratory flow at FRC (V̇maxFRC)よりその後の喘鳴リスク予測となるとの報告と10歳時点での活動性喘息との関連性有りという報告(NEJM 2006; 355 : 1682-1689)もある
本研究では、乳児期の peak tidal expiratory flow to the total expiratory time (tptef/te) と maximal expiratory flow at FRC (V̇maxFRC)の個別的影響と複合的影響にて成人期半ばまでの喘息リスクと気道構造の異常について評価した。
研究者らは、Tucson Children's Respiratory Studyの出生コホートに参加した合計180人を対象に、乳児期の胸部圧迫法による肺機能の評価を行った(平均年齢±SD:2.0±1.2カ月)。6 歳から 36 歳までの間に最大 12 回の問診票で活動性喘息を評価した。
多変量混合モデルを用いて、乳児期のtptef/teおよびV̇maxFRCと成人期の活動性喘息および気道構造異常との関係を調べた。26歳の参加者のサブセットでは、スパイロメトリと胸部高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)を完遂。乳児期のtptef/teとV̇maxFRCと活動性喘息および気道構造異常との成人期までの関係を多変量混合モデルで検証
結果、喘息の胎児起源の長期にわたる影響が明らかになり、幼児期のtptef/teとV̇maxFRCが喘息の発症に独立して寄与していることを支持し、tptef/teの出生時の欠損と成人期のHRCTで評価された気道構造異常とを関連づけることが示された。
乳児のtptef/teとV̇maxFRCの1-SDの減少は共変量を調整した後、活動性喘息のリスクをそれぞれ70%と55%増加させることと関連していた。これらの効果は部分的に独立しており、tptef/teとV̇maxFRCの両方で最下位の3人の乳児のうち2人が成人期半ばまでに活動性喘息を発症していた。乳児のV̇maxFRCは26歳の時点で気流の減少を予測し、tptef/teはHRCT気道caliberの減少を予測した。
Fetal Origins of Asthma: A Longitudinal Study from Birth to Age 36 Years
Stefano Guerra , et al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine|December 16, 2020
https://doi.org/10.1164/rccm.202001-0194OC PubMed: 32649838
Received: January 28, 2020 Accepted: July 10, 2020
Tucson Children's Respiratory Study 出生コホートでは,乳児期に胸部圧迫法により肺機能を測定した(平均年齢±SD:2.0±1.2 mo).
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