一気に多くの医療者が新しい問題に直面することになったCovid-19。やや早とちりをしてそれをメディアやSNS経由で多く撒き散らす方々も多い(e.g. 花粉症とCOVID-19なんて客観的報告あったっけ?)
long COVID-19に関して、患者さん本人や対応する医療側も五里霧中の世界。fact sheetがあれば多少の明かりにはなるのかもしれない
SARS-CoV-2による感染が生じたときCOVID-19と呼ばれる。感染時症状のない人もいるし、軽症から重症までさまざまな症状を経験する人もいる。COVID-19の長期インパクトに関して人類は学習中である。確かに、初期病態の軽重に関わらず初期症状後症状継続する場合がある。「Long COVID」は、このような持続的な症状を表す言葉としてよく使われる。感染初期から少なくとも4週間が経過しても症状が残っている場合、「Long COVID」とみなす。long COVIDは post COVIDコンディション、PASC(Post-acute sequelae of COVID-19)、ロングホールCOVIDなど他の名前で呼ばれることもある。
Long COVID Patient Fact Sheet
https://www.atsjournals.org/doi/pdf/10.1164/rccm.2053P5
頻度の多い症状
- 疲労感
- 息切れや呼吸困難
- 思考や集中力の低下(以下、「集中力低下」ともいいます。ブレインフォグ)
- 頭痛
その他の症状としては、以下のようなものがある
- 最小の努力でも可能な作業や活動の後でも疲労感や体調不良を感じる。
- 胸の痛み
- 心臓の鼓動が早くなる(動悸)
- 睡眠障害
- 気分の変化、抑うつ、または不安
- 関節や筋肉の痛み
- 味覚・嗅覚の変化
- のどの痛み、咳
- 発熱
- 吐き気または下痢
- めまいやふらつきを感じる
- 月経周期の変化
- 発疹
- 抜け毛
(徴候・症状)COVID-19は、肺、心臓、脳、肝臓、腎臓、消化管など多くの臓器に影響を及ぼす可能性がある。COVID-19は非常に多くの臓器に影響を与えるため、様々な症状を引き起こず。なお、COVID-19のために集中治療室(ICU)にいた人は、他の特異的な症状を経験することがある。これらには、脱力感、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などがある。集中治療後症候群(PICS)とは、重症(ICUに入院しているなど)から回復した人が経験する症状を指す。ICUにCOVIDで入院していた場合、PICSと長いCOVIDの間で症状が重複している可能性がある。PICSの詳細については、ATSのファクトシート(www.thoracic.org/patients)を参照のこと
COVIDについては、まだ明確な単一の診断検査はない。今のところ、診断は既知のCOVID感染歴のある報告された症状に基づいて行われる。多くのCOVID長期の症状は、他の健康状態でもよく見られる。これらの症状が病気になってから悪化した場合、あるいは初めて経験する場合は、これらの症状の原因がLong COVIDである可能性がある。肺、心臓、腎臓に何らかの影響があるかどうかを確認するために、医師が検査を指示することがあるが、これは診断を下すために必要なものではないが、そのような変化はLong COVIDで見られることがある
long COVIDはどのように治療するのか?
long COVIDについて、またこの症状を持つ患者さんの治療法について、私たちはまだ学習中。COVIDに特異的な治療法は知られていない。COVIDの管理は、症状の重さを軽減することに重点を置いている。医師は、他の健康状態で起こる類似の症状を管理するために使用される治療法を処方する場合がある。また、同様の症状を持つ患者さんの治療経験がある専門医に紹介されることもある。呼吸困難が続き、日常生活が困難になる場合、医師は胸部X線検査、CTスキャン、または呼吸検査を命じて、肺損傷の徴候がないかチェックすることがある。肺のリハビリテーションと呼ばれる運動や教育のプログラムに参加するよう勧められる場合もある。肺リハビリテーションや運動プログラムは、症状の重症度を下げ、生活の質を向上させるのに役立つ場合がある。
肺リハビリの詳細については、ATSのファクトシート(www.thoracic.org/patients.There)を参照。
ワクチン接種がロングCOVIDの症状を緩和する可能性があるという報告もあるが、これに関する研究はまだ進行中。しかし、はっきりしているのは、ワクチンを接種した人は、たとえCOVID-19にかかったとしても、COVID長を発症する可能性が低いということである。過去にCOVID-19の検査で陽性だった人には、自然免疫よりもワクチンによる防御が長く続くので、ワクチンの接種が推奨されている。
新型コロナが治っても後遺症に悩まされる人の「4つの傾向」とは?
https://gigazine.net/news/20220202-long-covid-pasc-four-risk-factors/
さまざまな症状を呈するロングCOVIDの要因を探るため、アメリカ・システム生物学研究所のYapeng Su氏らの研究チームは、COVID-19の患者209人を診断から約2~3カ月間モニターしました。そして診断時、急性疾患の発症時、発症から2~3カ月後の回復期の3回に分けて、血液検査と鼻腔スワブ検体によりサンプルを採取した後、ロングCOVIDの症状の有無をアンケートで調べました。
その結果、対象者のうち3つ以上のロングCOVIDの症状を訴えた人は37%、1~2つの症状を訴えた人は24%、症状がなかった人は39%でした。COVID-19から回復した人が訴えた後遺症は呼吸器系の症状が最も多く、神経系の症状や味覚などの喪失、消化器系の症状がこれに続きました。
さらに、ロングCOVIDの症状を呈した人が持つさまざまな要因を分析したところ、「感染初期の血液中に大量の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の遺伝物質があったこと」「COVID-19とは別の感染症のウイルスであるエプスタイン・バール・ウイルス(EBウイルス)の存在」「リウマチなどの自己免疫疾患に関係する自己抗体の存在」「2型糖尿病の既往歴」の4つが、ロングCOVIDの危険因子だということが分かりました。
一次資料
Multiple Early Factors Anticipate Post-Acute COVID-19 Sequelae
Yapeng Su , et al.
Open AccessPublished:January 24, 2022
DOI:https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.01.014
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(22)00072-1
EB virusの再活性化に関する評価も1つの鍵となりそう・・・というのは以前から見聞きはしていたが・・・
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