EF温存心不全(HFpEF)では、運動中の換気血流ミスマッチ、肺胞死腔換気拡大があり、労作性呼吸困難、ひいては、運動を忌避する行動が生じ、サルコペニアへつながる。
Bryce N. Balmain, et al.
Published:June 23, 2022DOI:https://doi.org/10.1016/j.chest.2022.06.016
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(22)01182-5/fulltext
背景】EF温存心不全(HFpEF)では、運動中の換気・血流(V/Q)ミスマッチ、肺胞死腔(VDalveolarの増加を示す心肺機能異常を多くが示す。HFpEF患者において対照に比べVDalveolarが運動中増加することを検証したい
背景】EF温存心不全(HFpEF)では、運動中の換気・血流(V/Q)ミスマッチ、肺胞死腔(VDalveolarの増加を示す心肺機能異常を多くが示す。HFpEF患者において対照に比べVDalveolarが運動中増加することを検証したい
【研究課題】HFpEF)患者は運動中VDalveolarr増加するか?
【研究デザインと方法】23人のHFpEF)と12人のコントロールが調査
安静時、20W時、ピーク時のガス交換(換気量[VE]、酸素摂取量[VO2]、二酸化炭素排出量[VCO2])および動脈血ガス分析
換気効率(VE/VCO2スロープとして評価)も、HFpEF)において安静時から20Wまで測定。
生理的死腔/一回換気量(VDT)比は、Bohr方程式のEnghoff修正版を用いて算出
VDalveolarは次のように計算された。(VD/VTxVT)ー 解剖学的死腔として算出(←これおかしいと思う;dotValveolar=(VT-VD)x呼吸回数のはず 表記上の問題か?)
データは、二元配置反復測定ANOVAを用いて、条件(安静時、20W、ピーク時運動)間の群間(HFpEF)対コントロール)で分析し、ピアソンの相関係数を用いて関係を分析した。
【結果】HFpEFは安静時(0.12±0.07L/呼吸)から20W(0.22±0.08L/呼吸)へ増加したが(p<0.01)、対照では安静時(0.01±0.06L/呼吸)から20W(0.06±0.13L/呼吸)へ変化せず(p=0.19)、VDalveolarの増加は、HFpEFでは20W(1Lあたり0.12±0.07L/呼吸)へ、対照では0
その後、HFpEF(0.37±0.16L/呼吸、p<0.01 vs. 20W)およびコントロール(0.19±0.17L/呼吸、p=0.03 vs. 20W)では20Wからピーク運動までVDalveolarが増加した。
VDalveolarは、安静時、20W時、ピーク時運動において、HFpEFではコントロールと比較して大きかった(群による主効果、p<0.01)。さらに、VDalveolarの増加はVE/VCO2スロープと相関し(r=0.69、p<0.01)、HFpEFではVO2peakと相関していた(r=0.46、p<0.01)。
【結論】これらのデータは、V/Qミスマッチの増加は、VDalveolarの増加によって説明できるかもしれないこと、VDalveolarの増加は、HFpEF患者における運動不耐性の主要因と思われる換気効率を悪化させることを示唆している
HF患者の呼吸困難には、心臓、肺、末梢の異常を含む複数のメカニズムが関連していると言われています。これらは、骨格筋のメタボリックフレックス刺激神経シグナルの異常から、うっ血を介した肺コンプライアンスの変化、肺液の変化、Jレセプターの刺激、死腔換気の増加、肺胞ガス拡散の障害まで、多岐にわたる。さらに、拡張機能障害は、HFpEFにおける運動中の左心充満圧の上昇を引き起こす。高い充満圧は、HFpEFにおける呼吸困難、肺機能制限、運動不耐性の主要原因であると広く考えられている。実際、EFが低下したHF(HFrEF)患者における運動時の充填圧上昇の影響を調査した先行研究では、血行動態、症状、肺活量との間にほとんど関係がないことが明らかになっている。
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