2022年6月14日火曜日

SARS -CoV-2:スパイク蛋白抗体とヌクレオカプシド抗体輸血検体調査によるオミクロン優勢状況下の状況

この報告を見るとsublineage株への既感染とワクチン接種による組み合わせの抗体保有が、必ずしも新規sublineage株への防御効果と直結してないという問題。せいぜい、ブースター接種で完全とは言えない防御効果があるという現状が描出されている報告。



この論文の前提

SARS-CoV-2のスパイク抗体とヌクレオカプシド抗体の両方を検査することにより、血清有病率調査では、集団のうち過去の感染による抗体(ヌクレオカプシド抗体、すなわち、感染誘発血清抗体有病率)感染またはワクチンによる抗体(スパイク抗体、すなわち、感染とワクチンによる組み合わせとなった血清抗体保有率)を持つ割合を推定することがでる。

 それで、献血に基づく2020年7月から2021年5月までの米国の血清有病率は以前報告

本報告では、2021年12月の研究終了までの月次推計値を報告



Updated US Infection- and Vaccine-Induced SARS-CoV-2 Seroprevalence Estimates Based on Blood Donations, July 2020-December 2021

Jefferson M. Jones, et al.

JAMA. Published online June 13, 2022. doi:10.1001/jama.2022.9745

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2793517

【結果】2020年7月から2021年12月にかけて、含まれる2 408 093検体のうち、女性から提供されたのは1 210 270(50.3%)、非ヒスパニック白人のドナーからは2 034 035(84.5%)、16歳から29歳の人からは293 234(12.2%)、65歳以上からは512 600(21.3%)、以前に提供された人からは2 102 626(87.3%)

2021年5月から12月にかけて、感染起因血清有病率は20.2%(95%CI、19.9~20.6%)から28.8%(95%CI、28.4~29.2%)、感染とワクチンによる組み合わせ血清有病率は83.3%(82.9~83.7%)から94.7%(95%CI、94.5~94.9%)まで増加した(図1)。

2021年12月、感染による血清有病率は16~29歳で最も高く(40.0%[95%CI、38.9%~41.0%])、非ヒスパニック系黒人(32.5%[95%CI、30.4%~34. 6%])、ヒスパニック系(40.2%[95%CI、38.6%-41.9%])、南部(33.5%[95%CI、32.8%-34.1%])と中部(31.7%[95%CI、30.8%-32.6%])に住む人たちであった(図1)。

すべての人口統計学的グループの血清有病率を合計すると92.9%以上であった。

ワクチン接種率が高いほど、感染誘発血清有病率の増加は小さいという相関があった(回帰線の傾き=-0.32;P < .001)(図2)。


2021 年中,感染誘発血清有病率は,完全ワクチン接種率が 80%を超える調査地域では 10.64%(95% CI,10.62%~10.66%) 増加したが,完全ワクチン接種率が 60%未満の地域では 19.84%(95% CI,19.82%~19.86%) 増加した.

【結論】米国の献血を対象としたこの研究では、感染またはワクチン接種による血清有病率を合わせると、2021年12月までに94.7%に達した。にもかかわらず、2022年初めにオミクロン変種が優勢になると記録的なレベルの感染と再感染が報告された。高い感染率は、オミクロン変種の感染性の向上と免疫逃避変異の強化、および以前のワクチン接種や感染による防御力の衰えが関係していると考えられる。2021年の間に、感染による血清価の上昇は、高い地域と比較して低い地域でのワクチン接種率の上昇の方がより大きくなっているSARS-CoV-2亜種が高い血清有病率の設定において広範な感染を引き起こす能力は、推奨ブースター用量を含むCOVID-19ワクチンの価値を示し、保護を最大化するものである。

研究の限界として、献血者の血清有病率は一般集団の血清有病率を表していない可能性があること、小児は含まれていないこと、ワクチン接種率の低下と血清有病率の上昇の関連は因果関係を証明するものではなく、ワクチン接種率の高い研究地域で非薬物介入への遵守が高まることによって混乱する可能性があることが挙げられる.



図譜なぜか利用できない・・・


日本における状況はどうなってるんだろ?都市部が比較的落ち着いているのに田舎ほど人口当たりの感染発生数高止まりしている現状の説明にこういった情報があれば何らかの考察に役立つ気がするのだが・・・


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