2022年12月21日水曜日

RCT:2型糖尿病・NAFLDへの介入:カロリー無制限・低炭水化物ダイエット vs 高炭水化物・低脂肪食

6か月のカロリー制限のないLCHFダイエットをしている2型糖尿病の人は、HCLFダイエットをしている人と比較して、血糖コントロールと体重の臨床的に意味のある改善が大きかったが、介入後3か月は変化が持続しなかった。言い換えれば、低炭水化物ダイエットからの長期的な利益を見るためには、変化はライフスタイルで持続する必要がある。

もっと言い換えれば、「初期強化として低炭水化物ダイエット→その後、ライフスタイル改善維持」が理想的といえるのでは?


Effect of Calorie-Unrestricted Low-Carbohydrate, High-Fat Diet Versus High-Carbohydrate, Low-Fat Diet on Type 2 Diabetes and Nonalcoholic Fatty Liver Disease

A Randomized Controlled Trial

Camilla Dalby Hansen, et al.

Ann. Int. Med.  

https://doi.org/10.7326/M22-1787

https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M22-1787

【背景】低炭水化物・高脂肪(LCHF)食が2型糖尿病(T2DM)の治療戦略として可能かどうかはまだ不明であり、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)への影響も検討されていない。

【目的】体重減少を意図しないカロリー制限のないLCHF食が、高炭水化物・低脂肪(HCLF)食と比較して、T2DMおよびNAFLDに及ぼす影響を検討すること。

【デザイン】6ヶ月間の無作為化比較試験,3ヶ月間のフォローアップ。(ClinicalTrials.gov: NCT03068078)

【設定】2016年11月から2020年6月まで、デンマークのオーデンセ大学病院。

【被験者】T2DMの参加者165名。

【介入】2種類のカロリー制限のない食事。脂肪50~60エネルギー%(E%)、炭水化物20E%未満、タンパク質25E%~30E%のLCHF食と、炭水化物50E%~60E%、脂肪20E%~30E%、タンパク質20E%~25E%のHCLF食を設定。

【測定項目】血糖コントロール,血清脂質レベル,代謝マーカー,NAFLDを評価するための肝生検。

【結果】平均年齢は56歳(SD, 10)、58%が女性であった。

HCLF食と比較して、LCHF食の参加者はヘモグロビンA1cの改善が大きく(変化の平均差、-6.1 mmol/mol [95% CI, -9.2 to -3.0 mmol/mol] または -0.59% [CI, -0.87% to -0.30%] )、体重がより減少(変化の平均差、 -3.8 kg [CI, -6.2 to -1.4 kg] )。

両群とも6ヵ月後の時点で高密度リポ蛋白コレステロールはより高く、トリグリセリドはより低値。

低密度リポ蛋白コレステロールの変化は、LCHF食群の方がHCLF食群よりも好ましくない(変化の平均差、0.37 mmol/L [CI, 0.17 to 0.58 mmol/L] または 14.3 mg/dL [CI, 6.6 to 22.4 mg/dL]).

NAFLDの評価では、統計的に有意な群間変化は検出されなかった。9ヵ月後のフォローアップでは、変化は持続しなかった。

【研究限界】非盲検試験、自己申告によるアドヒアランス、意図しない体重減少、多重比較の調整不足。

【結論】T2DM患者において、6ヵ月間のカロリー制限のないLCHF食は、HCLF食と比較して血糖コントロールおよび体重において臨床的に意味のある大きな改善を示したが、その変化は介入後3ヵ月間は維持されなかった。


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