2012年9月24日月曜日

eGFR評価前提: メトホルミンは他経口血糖降下剤に比べさほど有害性リスク高くない





eGFR確認後、処方するのは当然として、 日本では、メトホルミンに対し、リスクが過大に心配されてる。

 糖尿病専門医委員会,ビグアナイド薬の適正使用に関する勧告
 http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/830.pdf


メトホルミンが他の薬剤に比べてホントに有害なのだろうか?

メトホルミンは、他経口血糖降下剤に比べさほど有害性リスク増加認めず、インスリンの方が明らかにリスクが高いという報告。

Diabetes and endocrinology

Effectiveness and safety of metformin in 51 675 patients with type 2 diabetes and different levels of renal function: a cohort study from the Swedish National Diabetes Register
BMJ Open 2012;2:e001076 doi:10.1136/bmjopen-2012-001076


スウェーデンの病院外来・プライマリケア施設での調査

経口血糖降下剤もしくはインスリン投与2型糖尿病・51675名男女(Swedish National Diabetes Register)

主要アウトカム測定:各治療レジメンに伴う、心血管疾患、全原因死亡率、アシドーシス/重度感染リスクで、全患者、eGFR間隔毎の推定

propensity score補正後、

単剤治療メトホルミンに比較した場合、メトホルミン外のすべての経口血糖降下剤 (OHAs)の 致死性/非致死性CVDハザード比は、 1.02 (95% CI 0.93 ~ 1.12)、全原因死亡率ハザード比は 1.13 (1.01~1.27)。

一方、インスリン単剤では、 1.18 (1.07~1.29) 、1.34 (1.19 ~ 1.50)

 eGFR 45–60 ml/min/1.73 m2の場合、他治療法と比較して、メトホルミンは、アシドーシス/重度感染リスク減少を示した(補正ハザード比  0.85, 95% CI 0.74~0.97)、全原因死亡リスク (HR 0.87, 95% CI 0.77~0.99)

eGFR  30–45 ml/min/1.73 m2.で、全原因死亡率、アシドーシス/重度感染、CVDでリスク増加認めず

厚労省のジェネリックでの言い分、「主成分同じなら同じ効果」のはずなのに、「メトグルコ」なる薬剤をピカ新扱いにしている厚労省の矛盾。「メトグルコ」を後発 と勘違いされ、高齢者に、メトホルミン・ジェネリックが手渡しされそうになった事例もある。


糖尿病学会は東大のあの方が牛耳ってから変なことが多い・・・

2012年9月21日金曜日

HPR2012 : ヨーグルト、クランベリー降圧作用

HPR2012
http://my.americanheart.org/professional/Sessions/HBPR/HBPR_UCM_316905_SubHomePage.jsp




Wang H, et al "Yogurt consumption, blood pressure, and incident hypertension: A longitudinal study in the Framingham Heart Study" HBPR 2012; Abstract 188.

解説: http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/34859

Framingham Heart Study Offspring Cohortからの報告
2197名の成人、 44%が月1回はヨーグルト摂取
14年間フォローアップ、高血圧発症 913名
ヨーグルトの全カロリーへの影響は最大で2%程度
ヨーグルト非摂取に比べ、人口動態・ライフスタイル補正・コレステロール低下治療補正高血圧発症オッズ比は0.69(0.54-0.87)
収縮期血圧は非摂取者に比べ0.19mmHg低下


Novotny JA, et al "Low calorie cranberry juice lowers blood pressure in healthy adults" HBPR 2012; Abstract 299.

解説: http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/34886

 56名健康正常血圧成人(平均51歳、BMI28.4)・二重盲検
低カロリークランベリージュース vs 着色・香りづけ・カロリーマッチ対照

治療期間終了後、平均拡張期血圧 69 mmHg vs 72 mmHg (P=0.029)
拡張期血圧 74 → 71 mmHg(P=0.049)
収縮期血圧 122 → 119 mmHg(P=0.12)

プラシーボに変化なし


ヨーグルトの検討の方だが、 住民ベースの検討の特徴だそうで、個別に見るとその差は小さいが、降圧効果少なくても全体から見ることで、高血圧発症リスク低減効果が見られる。クランベリージュースに関して住民ベースで検討したらどうなるのだろう。

外傷後3時間内のトラネキサム酸投与は低リスク対象でも死亡リスク減少

CRASH-2トライアルでは、成人外傷後3時間内のトラネキサム酸の短期投与は、血栓性イベントリスク増加させること無く、死亡率減少させることが示された。
(CRASH-2 Collaborators. Effects of tranexamic acid on death, vascular occlusive events, and blood transfusion in trauma patients with significant haemorrhage (CRASH-2): a randomised, placebo-controlled trial. Lancet2010;376:23-32



現在世界中にトラネキサム酸投与我広まっているが、多くは、重度な症例に限られている。
低リスクの人にも死亡リスク減少効果があるか?


13 273 名の外傷患者で、ベースライン死亡リスク (<6 21-50="21-50" 6-20="6-20">50%)層別化
(Predicting early death in patients with traumatic bleeding: development and validation of prognostic model ; BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5166 (Published 15 August 2012)Cite this as: BMJ 2012;345:e5166

トラネキサム酸は有意に全原因死亡率減少、出血原因死亡減少と有意に相関。
ベースライン層別化において、トラネキサム酸治療で死亡減少。
全原因死亡率、出血原因死亡のベースライン死亡リスクによる影響のheterogeneityのエビデンス認めず
トラネキサム酸治療患者で、有意な致死的・非致死的血栓症イベントオッズ減少あり (オッズ比 0.69, 95% 信頼区か 0.53 ~ 0.89; P=0.005)、有意な動脈血栓性イベントオッズ減少有り(0.58, 0.40 ~ 0.83; P=0.003)
しかし、静脈血栓性イベントの有意減少認めず (0.83, 0.59 ~ 1.17; P=0.295)
トラネキサム酸の血栓性イベントリスクへの影響にheterogeneityのエビデンスはない (P=0.74)
トラネキサム酸の影響はすべてのリスク層別群でも同様と仮定される (<6%, 6-20%, 21-50%, >50% risk of death at baseline)なら、受傷後3時間内の投与にて回避出来る死亡率は 17%、 36%、 30%、 17%。


AANガイドライン:sCJD診断に於ける脳脊髄液中protein 14-3-3の役割

AANガイドラインにて、稀ながら致死的疾患である、sporadic Creutzfeldt-Jakob 病 (sCJD)を示唆する蛋白検査に関して新しいガイダンスを示した。
 
解説: Guideline Examines Diagnostic Accuracy of CSF 14-3-3 Protein in sCJD
http://www.aan.com/news/?event=read&article_id=10800




 脳脊髄液中protein 14-3-3はaccuracy中等度;感度92%(95%信頼区間 89.8-93.6)、特異度 80%(95%CI 77.4-83.0) 尤度比 4.7、陰性尤度比 0.10
 急激な進行性認知症患者、sCJD強く疑う場合、診断確率20%-90%程度なら、この検査は診断不確実性を減少させることが出来る。(エビデンスレベル B)
Evidence-based guideline: Diagnostic accuracy of CSF 14-3-3 protein in sporadic Creutzfeldt-Jakob disease : Report of the Guideline Development Subcommittee of the American Academy of Neurology
This information is current as of September 20, 2012
 http://www.neurology.org/content/early/2012/09/19/WNL.0b013e31826d5fc3.full.pdf+html





脳脊髄液中protein 14-3-3欠乏はCJDを示唆、除外出来る可能性を Taim Muayqil, MBBS )King Saud University in Riyadh, Saudi Arabia)ら。



狂牛病の全頭検査の非科学性に対して誰も何も言わなくなったが、臨床疫学から考えればおかしいことは自明。感度・特異度無限大が前提の検査なのだから・・・
科学的エビデンスに従えば、専門家の意思表明程度が国の施策に成っている我が国・・・あらゆる分野で・・・


2012年9月20日木曜日

NICE-SUGAR研究:重症患者血糖強化コントロールは低血糖エピソード量依存的に死亡リスクと関連

 重症患者での血糖強化コントロールは中等度・重度低血糖を生じ死亡リスクを増加させる。
この関連性は量依存的で有り、 血液分布異常性ショックによる死亡との関連が深い。
ただ、因果関係に関して判明しているわけではない。

Hypoglycemia and Risk of Death in Critically Ill Patients
The NICE-SUGAR Study Investigators
<a href="http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1204942?query=featured_home">N Engl J Med 2012; 367:1108-1118September 20, 2012</a>


強化群:目標血糖を 81-108 mg/dL
通常群:目標血糖を 180mg/dL

プライマリアウトカムは90日内死亡率

6026名でフォローアップデータ利用可能
中等度低血糖 2714(45.0 %)で、うち2237名が強化コントロール群(i.e. 強化群 3013名中82.4%、重度低血糖は223名(3.7%)で、93.3%の208名が強化群(i.e. 強化群の6.9%)
低血糖のない3089名の内、726(23.5%)が死亡
中等度低血糖2714名の内、774名(28.5%)死亡
重度低血糖223名の内、79(34.4%)死亡

低血糖無し群との比較、中等度・重度低血糖患者の死亡補正ハザード比は、 1.41 (95% 信頼区間 [CI], 1.21 ~ 1.62; P<0.001) 、 2.10 (95% CI, 1.59 ~ 2.77; P<0.001)

死亡との相関は、2日間以上の中等度低血糖患者で増加 (>1 day vs. 1 day, P=0.01)
血液分布異常性ショック( distributive shock )、血管拡張性ショック、インスリン治療無しの重度低血糖で増加(ハザード比, 3.84; 95% CI, 2.37 ~ 6.23; P<0.001)で増加


集中治療管理テーマの一つ、血糖コントロール
重症患者では、低血糖という事態が、生命予後に関わるほど、生体に悪影響を与えていることは確かなようだ。

ただ、低血糖という事象がホメオスターシス維持不能状態の現れの一つという可能性はないのだろうか?終末期に向かうほどホメオスターシス維持困難で、血糖だけというより、ナトリウム、カリウムなどの電解質異常、 自由水の異常、アルブミン血管内保持異常など生じる異常は多い。

低血糖を生じているから、血液分布異常性ショックが生じると結論づけるにはまだ早いという考察も本文中になされている。

2012年9月19日水曜日

肥満手術で糖尿病寛解、心血管疾患アウトカム改善効果

肥満治療のためのRoux-en-Y gastric bypass (RYGB) 手術の前向き研究結果

体重減少、肥満、高血圧、脂質異常、HRQOLを検討したもの

重度肥満患者において、非手術対照比較で、手術は、6年後において、糖尿病寛解、心血管疾患その他の健康アウトカム改善に役立つという結論


Health Benefits of Gastric Bypass Surgery After 6 Years  
Ted D. Adams, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1122 doi:10.1001/2012.jama.11164


ベースラインから2年後、6年後フォローアップ時の%体重変化


ベースラインから2年後、6年後頃-アップ時空腹時血糖変化



手術後6年、RYGB手術患者(フォローアップ92.6%)は初期体重より27.7%減少 (95% CI, 26.6%-28.9%)
対し、対照群1(無手術割り付け群)では 0.2% (95% CI, −1.1% to 1.4%)、対照群2(減量手術希望なしの一般住民サンプルからの選択)では、0% (95% CI, −1.2% to 1.2%)

体重減少維持はRYGB手術後患者は優れており、手術後20%体重減少維持2年後94% (95% CI, 92%-96%)、6年後76% (95% CI, 72%-81%)

6年後糖尿病寛解率は、手術群  62% (95% CI, 49%-75%)、対照(Group 1) 8% (95% CI, 0%-16%)、対照(Group 2) 6% (95% CI, 0%-13%)
オッズ比は 16.5 (95% CI, 4.7-57.6; P < .001) vs 対照(group 1)、 21.5 (95% CI, 5.4-85.6; P < .001) vs 対照(group 2)

研究経過中糖尿病発症率は手術後低下; RYGB 手術後 2%; 95% CI, 0%-4%; vs 17%; 95% CI, 10%-24%; 対照(group 1)との比較 OR, 0.11; 95% CI, 0.04-0.34、対照(group 2)との比較OR 15%; 95% CI, 9%-21%; OR, 0.21; 95% CI, 0.06-0.67 ; both P < .001).
減肥手術関連入院被験者数は、手術、対照群1、対照群2でそれぞれ 33 (7.9%), 13 (3.9%), 6 (2.0%)



関連して医療費低減効果についての報告がなされている。

Health Care Use During 20 Years Following Bariatric Surgery 
Martin Neovius, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1132 doi:10.1001/2012.jama.11792

肥満手術後6年間は入院・非プライマリケア外来数増加となるが、それ以降は影響なし
薬剤コストは7-20年にわたり低下する。

肥満・過体重子供に蓄積する尿中ビスフェノールA 健康への懸念

筆者らは、必ずしも尿中Bisphenol A (BPA)濃度増加が肥満発症に役割を果たしていると言ってるわけでは無く、脂肪組織に蓄えられたBPA高濃度状態への健康への悪影響を危惧しているということ。


Association Between Urinary Bisphenol A Concentration and Obesity Prevalence in Children and Adolescents  
Leonardo Trasande, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1113 doi:10.1001/2012.jama.11461


概要  Bisphenol A (BPA)は合成化学物質であり、缶詰食品、ポリカーボネート瓶詰め液状食品、他の製品で見られる。成人では、尿中BPA濃度増加は肥満と相関し、冠動脈疾患発症とも相関する。BPA暴露はおそらく小児肥満と関連するだろうが、エビデンスに欠けていた。

目的  小児に於ける、尿中BPA濃度とbody massアウトカムの相関性

デザイン, セッティング, 被験者  横断的分析、6-19歳の2838名の国内代表するサブサンプル(2003-2008 National Health and Nutrition Examination Surveys)で、ランダムに尿中BPA濃度測定されたもの


主要アウトカム測定  Body mass index (BMI)、性別-、年齢標準化zスコアと、過体重(BMI ≥85th percentile for age/sex)、肥満分類(BMI ≥95th percentile)

結果 MPA濃度中央値は 2.85 ng/mL(中間4分位 1.5-5.6)。被験者中 過体重 1047(34.1%[SE, 1.5%])、肥満 590(17.8% [SE, 1.3%])
人種/民族、年齢、保護者教育、貧困/収入比率、性別、血中コチニン濃度、カロリー摂取、テレビ視聴、尿中Cr値補正にて、最小尿中BPA濃度小児は、他の2つの四分位に比べ肥満頻度少ない (10.3% [95% CI, 7.5%-13.1%])  比較; 第2四分位 (20.1% [95% CI, 14.5%-25.6%])、第3四分位(19.0% [95% CI, 13.7%-24.2%])、第4四分位(22.3% [95% CI, 16.6%-27.9%])

類似相関パターンが尿中BPA濃度4分位やBMI z scoreとの間に関連性が見られ、それは尿中BPA濃度対数や肥満頻度調査分析で検討された。

肥満は必ずしも、日焼け止めやソープのような商品使用といった環境中フェノール暴露と相関しない。
層別化解析にて、尿中BPA濃度と肥満の有意相関が白人では見られた (P < .001) が、黒人・ヒスパニックでは見られない。

結論 小児・思春期の横断的研究で、尿中BPA濃度が肥満と有意相関が見られた。
高濃度BPA含有物食品を摂取する肥満児童で説明出来るのか、あるいは、肥満者で脂肪組織でのBPA蓄積増加するためか、関連性の説明では 除外出来ない。




尿中ビスフェノールA濃度と、冠動脈疾患に相関 2012.2.29
缶入りスープとビスフェノールA暴露 2011年 11月 24日
プラスティック:尿中ビスフェノールと成人健康・・・心臓・糖尿病・肝臓へ影響 2008年 09月 17日

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...