2012年12月19日水曜日

貿易センタービルテロ:発がん超過リスク

 2001年9月11日世界貿易機関(WTC)へのテロ攻撃により、ダスト、デブリ、建築資材微粉、一部毒性物の暴露が膨大に広がり、短期・中期的に健康への悪影響が懸念される。
 ダスト、煙、エロゾールは、揮発性化学物質やPM2.5、アスベスト・シリカ、ベンゼン、ポリ塩化ビフェニール、多環芳香族炭化水素(PAH)、揮発性誘起物質、無数の金属などを含む。
発がん物質の存在があり、将来のがんリスク増加が懸念されている。
Fire Department of the City of New York (FDNY)の9853名の男性消防士の研究で、19%ほどの超過リスクが報告されていた。



今回の報告では、世界貿易センタービル登録者は、ニューヨーク州居住者比較で、2007-200年において、結局は有意な関連は認められないのだが、超過リスクとしてあげられているのは、前立腺癌、甲状腺癌、骨髄腫。


Association Between World Trade Center Exposure and Excess Cancer Risk  
Jiehui Li, et. al.
JAMA. 2012;308(23):2479 doi:10.1001/jama.2012.110980



Table 3. Standardized Incidence Ratio (SIR) Adjusted for Age, Race/Ethnicity, and Sex and 2007-2008 Rate Difference of First Primary Cancer Site Among Rescue/Recovery Workers With Known Race/Ethnicity Using the New York State Population Rate as Reference (n = 21218)

アスピリン10年間以上定期服用で、加齢黄斑変性リスク 軽度減少

発症前5年前のアスピリン使用と加齢黄斑変性(AMD)発症の関連はないが、10年以上アスピリン定期服用者は統計学的に有意なAMD発症、血管新生型AMDのリスク増加と影響程度は少ないものの有意。

Long-term Use of Aspirin and Age-Related Macular Degeneration  
Barbara E. K. Klein, et. al.
JAMA. 2012;308(23):2469-2478. doi:10.1001/jama.2012.65406


10年以上 アスピリンを飲み続けられる人の他の社会生活上の寄与要素ってべつにあるのじゃ?

2012年12月18日火曜日

体重減少のためには好気的運動がやはり理想的



体重減少のためには、好気的運動がやはり適切

ただし、除脂肪量(すなわち、骨と筋肉の量) を増やすためにはレジスタンス・トレーニング分を増やさないといけないという常識的に思える話を証明

 

Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults
Leslie Willis, et. al.
Journal of Applied Physiology December 15, 2012 vol. 113 no. 12 1831-1837
119名の運動不足、過体重・肥満成人を3つの運動プロトコール割り付け
1) RT: resistance training :レジスタンス・トレーニング 
2) AT: aerobic training :好気的運動
3) AT/RT: aerobic and resistance training (combination of AT and RT) :好気的運動+レジスタンス・トレーニング
プライマリアウトカムは総体重、脂肪体重、除脂肪体重

ATとAT/RT群は、RTより、総体重と脂肪体重 減少(p<0.05)
しかし、他はさ無し

RTとAT/RTは、ATより、除脂肪体重増加(p<0.05)

経過観察期間を2倍すると、ATとRTの組み合わせプログラムはAT単独に比べ脂肪量・総体重量に関して有意差認めなくなる。

健康ベネフィットとしての必要経過期間のバランスをとれば、ATが脂肪量・総体重減少に最も適切な運動と考えられ、RTを含むプログラムは中年、過体重/肥満者にとって、除脂肪体重増加のために必要な運動と考えられる。

アメリカ小児科学会:チメロサールは防腐剤であるチメロサールの有害性否定のWHO要求を承認



AAP Endorses WHO Statement on Thimerosal in Vaccines
12/17/2012 For Release:  December 17, 2012
http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/AAP-Endorses-WHO-Statement-on-Thimerosal-in-Vaccines.aspx

“Global Vaccine Recommendations and Thimerosal”


“Ban on Thimerosal in Draft Treaty on Mercury: Why the American Academy of Pediatrics (AAP) Position in 2012 Is So Important”


  “Global Justice and the Proposed Ban on Thimerosal-Containing Vaccines”





水銀含有防腐剤はワクチン成分として中止すべきでないというアメリカの小児科学会だが、1999年チメロサールのため自閉症や他の神経発達障害に関わる可能性のためAAPはその除去を要請していた。そのときはエビデンスのない要求であった。
2004年の独立U.S. Institute of Medicine安全性レビューで、チメロサール含有ワクチンの自閉症原因としてのエビデンス無しとした。2010年連邦防疫センター(Centers for Disease Control and Prevention )も同様の結論を出した。

現在、インフルエンザワクチンの一部を除いて、米国内では、単回投与剤型としては、チメロサールは含有されてない。複数回用のバイアルは安価で製造容易であるが、細菌や真菌のコンタミネーションのリスクが高いため使用されているとのこと。

チメロサールの代替を進めたが、結果的には安全性を担保できず、商品とならないものが出てきた。有益性及び無害性にかかわらず、まだ、United Nations Environment Programの中止すべきリストに名を連ねている。子供の生命を守るためこのリスト除外はすばらしいことと述べてるが、チメロサール代替が進む米国内には影響少なく、世界のワクチンへの影響の方が大きいと書かれてる。



2012年12月17日月曜日

“高齢医師を監視下に!”

米国ドラマ“ER”にもかつての名医が認知症と発覚、自覚し引退を示唆する場面があったと思う。

冒頭、アメリカの日野原先生と言えるのだろう、引退を考えてない101歳の“Dr. Ephraim Engleman”を紹介している。趣味の音楽に積極的に生きる、心身ともに丈夫な超高齢医師。

中身は、“高齢医師を監視下に!”という、医師側にとってショッキングな話題。
Aging Doctors Come Under Greater Scrutiny
By MedPage Today Staff
Published: December 16, 2012
http://www.medpagetoday.com/Surgery/GeneralSurgery/36476



AMANDAによると、100万名いる米国医師のうち、55歳超 42%、65歳超 21%。
2006年は、それぞれ35%、18%であった。
64歳超の年齢階層の実務就業増加が、個人的・経済的理由からも増大している。

だが、パイロットは45歳から定期的身体検査、65歳で引退、FBIの引退平均年齢は57歳

医師たちも定期的な健康状態、適正能力がモニターされていると一般に思われているが、そんなものは米国でも存在しない。

Narcossは、100から150名の医師を評価・推定し、約8千名の医師たちが完全に認知症になってると推定。
(米国では、一般的には65歳超では3-11%に認知症)

日本人でも、60-65歳以上で3-8%程度と考えて良いと思う。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html

H22 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/10/dl/kekka_1.pdf

就業状態にある医師のうち、60-69歳 33217名、70歳以上で26649名 合計59866名
認知症 1800名から4800名程度と考えられる。脳リザーブ理論から考えればこれより低率になる可能性はもちろんあるが・・・


さらに、Narcossは、聴覚・視力・共調運動、認知機能などに問題を有しても、医師の1/3は主治医を持ってない状況にあると述べている。



維持フィットネス能力を2年毎チェック、診療権投与という病院側の取り組み紹介。
一方、知的・身体的能力に疑いも無く、102歳まで医師を続けてるEpharaim Englemanのケースの紹介。彼の母校、スタンフォードは75歳超の医師たちに試験を要求していることにうれしくないようだが、反対もしないという意見を示している。



脂肪摂取量制限による体重減少効果確認





マスコミなどが極端な低炭水化物ダイエットを勧めるのを見聞きすることがある。結果的に、総脂肪量増加の可能性がある。

DIRECT研究: 低炭水化物食 vs バランスのとれたダイエット食 vs 低脂肪食 2012/10/05
低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす 2012/06/28




長年リスク状態にある人を含め健康状態に関わらず、総脂肪制限することはあきらかに体重減少と関連することが高品質エビデンスとして存在する。 総脂肪摂取量を低下することで、程度は少ないが、統計学的に有意な体重減少を成人にもたらす。

このケースは成人脂肪摂取量ベースラインでエネルギー摂取量の28%-43%の6ヶ月から8年間の研究 。小児でも不充分だがエビデンス存在。


Effect of reducing total fat intake on body weight: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials and cohort studies
BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7666 (Published 6 December 2012) Cite this as: BMJ 2012;345:e7666

 先進国データがすべてで、33 RCT(73589名)、10 コホートを含む
メタアナリシスから、総脂肪量低減食は、相対的に体重減少と相関  (by 1.6 kg, 95%信頼区間 −2.0 to −1.2 kg, I2=75%, 被験者 57 735)

 対照群比較で脂肪低減群で体重増加が少ないことは、トライアル横断的な現象だが、影響にばらつきがある。
  メタ回帰にて、総脂肪摂取量減少大きいほど、ベースラインの脂肪摂取少ないほど、体重減少効果相対的に大きく、これによって、結果のばらつきの多くは説明可能。

 低脂肪の体重への有意な影響は、感度分析で消失せず (観察期間のながいもの、低脂肪群でのトライアルを除いても・・・)。

 低脂肪総摂取量制限は、BMI低下と関連し  (−0.51 kg/m2, 95% 信頼区間 −0.76 to −0.26,9トライアル, I2=77%)、同様に、ウェスト径  (by 0.3 cm, 95% 信頼区間 −0.58 to −0.02, 女性 15 671名, 1トライアル)
 心血管疾患リスク要素への負の影響は示唆されない  (脂質、血圧)

 GRADE assessment にて、総死亡摂取量と体重の相関に関する高品質エビデンスの存在が示唆された。

 一つのRCT、3つのコホート研究で、小児・若年においてのみだが、総脂肪摂取量と体重増加の正相関性が示された。 



There is high quality, consistent evidence that reduction of total fat intake has been achieved in large numbers of both healthy and at risk trial participants over many years. Lower total fat intake leads to small but statistically significant and clinically meaningful, sustained reductions in body weight in adults in studies with baseline fat intakes of 28-43% of energy intake and durations from six months to over eight years. Evidence supports a similar effect in children and young people.

2012年12月16日日曜日

the Lancet: Global Burden of Disease Study 2010解析

今週のthe Lancet共著者だらけで、タイトルさえ、読みにくい

著者を大幅省略したが、読む気がしなかった

Carenetで解説されてるようだ
http://www.carenet.com/news/journal/carenet/32995

 2010年に世界で死亡した人は5,280万人であった。そのうち最大の統合死因別死亡率(感染症・母体性・新生児期・栄養的)は24.9%であったが、 同値は1990年の34.1%(1,590万/4,650万人)と比べると大幅に減少していた。その減少に大きく寄与したのが、下痢性疾患(250万人 →140万人)、下気道感染症(340万人→280万人)、新生児障害(310万人→220万人)、麻疹(63万人→13万人)、破傷風(27万人→6万 人)の死亡率の低下であった。
 ・・・・
 2010年の主要な死因は、虚血性心疾患、脳卒中、COPD、下気道感染症、肺がん、HIV/AIDSであった。そして2010年の早期死亡による生命 損失年(years of life lost:YLL)に影響した主要な死因は、虚血性心疾患、下気道感染症、脳卒中、下痢性疾患、マラリア、HIV/AIDSであった。これは、HIV /AIDSと早期分娩合併症を除き1990年とほぼ同様であった。下気道感染症と下痢性疾患のYLLは1990年から45~54%減少していた一方で、虚 血性心疾患、脳卒中は17~28%増加していた。
 ・・・
標準年齢の死亡率は一部の鍵となる疾患(とくにHIV/AIDS、アルツハイマー病、糖尿病、CKD)で上昇したが、大半の疾患(重大血管系疾患、 COPD、大半のがん、肝硬変、母体の障害など)は20年前より減少していた。その他の疾患、とくにマラリア、前立腺がん、外傷はほとんど変化がなかっ た。

行政の疾患への取り組みに関して、量インパクトのある疾患、介入効果のある疾患を重視すべきであろう。また、治療・予防に進歩の見られない疾患があぶり出されてきた。
重大心血管疾患、COPD、大半のがん、肝硬変、母体障害などは、減塩・禁煙・節酒・妊娠時検診などの啓発に起因するのかもしれない。しかし、アルツハイマー病、糖尿病、CKDなどは増加し、今後、疾患カテゴリーの明確化を含め、対策が急務と考えられる。前立腺癌って、検診の効果さほどなかった・・・とも解釈できる。日本のPSA検診はベネフィット・ハーム議論ほとんどされず、上限年齢さえ設定されてないなど、倫理上の問題も存在する。

Age-specific and sex-specific mortality in 187 countries, 1970–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Haidong Wang,  et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2071 - 2094, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961719-X/abstract


Global and regional mortality from 235 causes of death for 20 age groups in 1990 and 2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Rafael Lozano, et.al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2095 - 2128, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961728-0/abstract

Common values in assessing health outcomes from disease and injury: disability weights measurement study for the Global Burden of Disease Study 2010
Joshua A Salomon, et.al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2129 - 2143, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961680-8/abstract

Healthy life expectancy for 187 countries, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden Disease Study 2010
Joshua A Salomon, et.al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2144 - 2162, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961690-0/abstract

Years lived with disability (YLDs) for 1160 sequelae of 289 diseases and injuries 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Theo Vos, et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2163 - 2196, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961729-2/abstract

Disability-adjusted life years (DALYs) for 291 diseases and injuries in 21 regions, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 201
Christopher J L Murray, et.al
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2197 - 2223, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961689-4/abstract

A comparative risk assessment of burden of disease and injury attributable to 67 risk factors and risk factor clusters in 21 regions, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Stephen S Lim, et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2224 - 2260, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961766-8/abstract

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note