2013年9月27日金曜日

心臓手術患者における、ストレス潰瘍予防薬剤種類と、院内感染肺炎リスク: PPIと院内肺炎

後顧的コホート研究、CABG施行21214名で、PPI  9,830名 vs H2RA 11,384名比較


Type of stress ulcer prophylaxis and risk of nosocomial pneumonia in cardiac surgical patients: cohort study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5416 (Published 19 September 2013)
propensity score補正後、H2RA比較のPPI治療による肺炎リスク増加あり
(相対リスク 1.19, 95% 信頼区間 1.03-1.38)

instrumental variable analysisにて、PPI使用は、1000名の患者あたり、8.2名(95% 信頼関係 0.5 - 15.9)の肺炎リスク増加と関連


心臓手術後のコモンな合併症、2%−10%にものぼる合併症は、院内肺炎であり、死亡リスク増加をもたらし、その死亡率は20%−50%。制酸治療は、胃内pH増加をもたらし、細菌増殖を生じ、気管内コロナイゼーション、肺炎の原因ともなる。

この種の比較の時は、日本の保険適用用量と、文献用量が異なることである。
本文でも、mgやgram等の表記無いため、日本の臨床実践・臨床的適応には、配慮が必要。

2型糖尿病:プラクティス・ナースによる電話指導 ・・・ 介入改善効果無し

日本でも、看護師の業務拡大ということで、ナース・プラクティショナー(NP)的なものを模索しているようだ。議論は急性期医療重視で進んでいるようだが、真に、臨床的アウトカム改善につながるか、地道な検証も望まれる。

プラクティス・ナースによる電話コーチング介入を、現実のプライマリケア状況に加えたところ、アウトカムに有意な差は出現しなかった。

受け手の拒否的態度を示す例も1/4程度であり、憔悴してしまう症例もある。介入方法の改善で、アウトカム改善するか議論も必要であろう。
電話以外の個別対面指導ではその効果が変わるか?その効率性と同時に検討が必要だろう。


Effectiveness of general practice based, practice nurse led telephone coaching on glycaemic control of type 2 diabetes: the Patient Engagement And Coaching for Health (PEACH) pragmatic cluster randomised controlled trial
Irene D Blackberry  et. al.
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5272 (Published 18 September 2013)

ベースラインでは、介入群、対照群同等。ドロップアウト症例無しだが、attriction rateは両群とも5%。

コーチングセッション数中央値は、236名の介入患者で、3回(IQR 1-5)で、全くコーティングセッション受けなかった比率は、25%(58/236) 
18ヶ月フォローアップ時点で、ベースライン・クラスタリング測定HbA1c補正で、血糖コントロールに有意差認めず(平均差 0.02, 95% 信頼区間 -0.20 〜 0.24, p = 0.84)

各自治体・保健師が健康増進ということで、訪問指導や集団指導している例がある。とんちんかんな指導も多く見聞きをする。一番気になるのは、ジェネリック変更を勧める事例である。本来の目的を逸脱している越権行為と思われるのだが、限度を超えた事例も多く存在する。メトグルコ(先発)しか保険適応のない事例なのに、後発推進する行為などは犯罪的とさえ思える。


うつと糖尿病の組み合わせで、急性心筋梗塞リスク著明増加

うつと糖尿病の関連性は今までも取り上げてきた。
うつと2型糖尿病の両方向性の関係2010年 11月 24日 
糖尿病とうつ2007年 04月 24日 
うつと糖尿病の関係:治療下糖尿で合併頻度増加、未治療糖尿で頻度低下・・・など2008年 06月 18日 
ACCORD-MIND:2型糖尿病患者:うつと、認知機能低下の関連性 http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/08/accord-mind.html

European Association for the Study of Diabetesにて、心筋梗塞合併症を、うつと糖尿病併発による、著明なリスク増加が明らかとなった。

45−64歳女性の心筋梗塞オッズ比は、いづれも存在しない場合に比較して、糖尿病とうつの組み合わせで、オッズ比7.1(95% CI, 6.1-8.2)倍にもなる。
同年齢層の男性では、2.8(95% CI, 2.5-3.2)倍。


"Myocardial infarction in subjects using anti-diabetic and/or antidepressant agents compared to non-users: a nationwide register study in Sweden"
Rådholm K, et al
EASD 2013; Abstract 202.

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/EASDCardio/41896


2013年9月26日木曜日

低血糖予防グルコースセンサーインスリンポンプ:中等度・重度低血糖イベント発生抑制効果

センサーを用いたインスリンポンプ使用により、セットされた閾値以下ではインスリン供給停止することで、重度・中等度低血糖減少させることができる。

Effect of Sensor-Augmented Insulin Pump Therapy and Automated Insulin Suspension vs Standard Insulin Pump Therapy on Hypoglycemia in Patients With Type 1 Diabetes: A Randomized Clinical Trial
Trang T. Ly,  et. al.
JAMA. 2013;310(12):1240-1247. doi:10.1001/jama.2013.277818.


sensor-augmented pump therapy with an automated insulin suspension or low glucose suspension functionは、重大な低血糖期間・頻度を減らすテクノロジーである。
1型糖尿病9名を対象とした、標準インスリン治療と比較した、ランダム化臨床トライアル 
プライマリアウトカムは、重度(低血糖性けいれん・昏睡)と中等度低血糖(治療必要なイベント)組み合わせ頻度。
標準ポンプ法に49名、 low-glucose suspensionに46名に割り付け

平均年齢(SD) 18.6(11.8)歳、糖尿病罹患期間は11.0(9.9)年間。
ポンプ治療期間 4.1(3.4)年間。
重度・中等度低血糖イベントのベースライン頻度は、 pump-only群: 20.7 vs  low-glucose suspension群: 129.6 イベント/100 人・月

6ヶ月後、イベント率は
pump-only群:28 → 16
low-glucose suspension群: 175 → 35

100人・月あたりの補正発生頻度は、前者で 34.2 (95% CI, 22.0-53.3) 、 後者で  9.5 (95% CI, 5.2-17.4) で、頻度発生比率は 3.6 (95% CI, 1.7-7.5; P <.001)

どの群でも糖化ヘモグロビンに差を認めず、前者平均 7.4 (95% CI, 7.2-7.6) to 7.4 (95% CI, 7.2-7.7)、 後者平均 7.6 (95%, CI, 7.4-7.9) to 7.5 (95% CI, 7.3-7.7)

counterregulatory hormone反応は変化認めず

糖尿病ケトアシドーシス、ケトーシスを伴う高血糖のエピソード無し

Serelaxin:腎血流改善効果 ・・・ サブグループ解析でのベネフィット援護射撃?

Heart Failure Society of America年次総会での報告で、腎血流改善効果が報告された。

オリジナルのRELAX-AHF pIIIでは、全原因死亡率減少示されたが、心不全・腎機能障害関連ベネフィットを示せなかった。

pIIとPIIIの組み合わせサブグループ解析では、血中CrとシスタチンC値が登録5日間で改善、腎機能悪化頻度改善効果がday2で見られた報告がなされている。
さらに、最近のpIIIトライアルサブグループ解析では、eGFR 50未満での死亡率減少効果報告。

やぶにらみ的に見れば、あきらめられないため、サブグループ解析必死ともとれるが・・・


"Renal hemodynamic effects of serelaxin in patients with chronic heart failure: main results of a randomized, placebo-controlled, multicenter study"
Voors AA, et al
HFSA 2013; Abstract A2202.

参照:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/HFSA/41868



Medpageには、「serelaxinとは、血管弛緩物質で、臓器血流改善効果」 。妊娠中など自然に産生されるが、男性でも産生されるとも・・・

投与群では、8−24時間渡り、腎血流量ベースラインから29%増加し、プラシーボでは14%と比較(p= 0.038) 

0-24時間でも、増加(31% vs 13% p = 0.0004)、 24−28時間においても (35% vs 16% p = 0.011)


新しいサイトメガロウィルス感染予防薬剤:CMX001

CMX001 to Prevent Cytomegalovirus Disease in Hematopoietic-Cell Transplantation
Francisco M. Marty,  et. al.
for the CMX001-201 Clinical Study Group
N Engl J Med 2013; 369:1227-1236September 26, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1303688

新しい抗ウィルス薬が、同種造血系臓器移植に関わるサイトメガロウィルス感染予防効果有りと、pIIトライアル結果

4ヶ月間・CMX001投与で、プラシーボと比較し、CMV感染発症 10%、ウィルスDNAレベル 37%減少する。
しかも、骨髄抑制・腎臓毒性がない。高用量では、用量依存的な下痢を生じるという報告。


CMX001は経口でバイオアビリティー可能な、acyclic nucleoside phosphonateで、小腸にて吸収、リン脂質として全身へ輸送される。細胞内半減期は長い。

変形性膝関節症:単純に運動指導するより食事で膝圧迫力低下・炎症低下効果、食事・運動併用でさらに効果あり ・・・ インチキ・ロコモ撲滅を

体重過多/肥満成人の変形性膝関節症患者への強化食事・運動介入の効果:関節負荷、炎症、臨床的アウトカム

こういう報告を見ると、臨床整形外科学会って、本来こういう研究を積み重ねて、無・寡動症に真正面から向き合うべきではないか。

「膝が痛いから動かないのか、動かないから膝が痛いのか」というのを問題にするより、食事・運動を共に介入する方がそのベネフィットは大きい。
「ロコモ」なんてインチキ概念普及に懸命になるより、整形外科関連の医者たちがたくさん見ている変形性関節症患者さんたちに真正面から取り組め・・・と、えらそうに言ってみる。

Effects of Intensive Diet and Exercise on Knee Joint Loads, Inflammation, and Clinical Outcomes Among Overweight and Obese Adults With Knee Osteoarthritis
The IDEA Randomized Clinical Trial
Stephen P. Messier,  et. al.
JAMA. 2013;310(12):1263-1273. doi:10.1001/jama.2013.277669
【デザイン・セッティング・被験者】単盲験・ランダム化・18ヶ月間臨床トライアル(2006年7月から2011年4月)
食事・運動介入は、運動群においては施設ベースでなされ、その後自宅ベースプログラムへ移行。454名の体重過多/肥満高齢者居宅成人(55歳以上、BMI 27−41)
疼痛有り・レントゲン上の変形性膝関節症あり

【介入】
強化食事誘導的減量+運動 vs 強化食事誘導減量 vs 運動

【主要アウトカム・測定項目】
mechanistic primary outcome: 膝関節圧迫力・血中IL-6濃度
セカンダリ・臨床的アウトカム:自己報告疼痛(range 0-20)、運動性、健康関連QOL( 0-100)

【結果】
399名(88%)研究完遂。

平均体重減少
・食事/運動 10.6kg(11.4%)
・食事 8.9kg(9.5%)
・運動 1.8kg (2.0%)

18ヶ月後、膝圧迫力は、食事介入で、運動介入より、低下効果あり  (平均比較, 症例数 2487 ; 95% CI, 2393 to 2581 v.s. 症例数 2687 95% CI, 2590 to 2784, pairwise difference [Δ]exercise vs diet = 症例数 200 ; 95% CI, 55 to 345; P = .007)

IL-6濃度は、運動介入(3.1 pg/mL; 95% CI, 2.9 to 3.40 に比べ、食事/運動併用介入でより低下(2.7 pg/mL; 95% CI, 2.5 to 3.0) 、食事介入 でも低下(2.7 pg/mL; 95% CI, 2.4 to 3.0)(Δexercise vs diet + exercise = 0.39 pg/mL; 95% CI, −0.03 to 0.81; P = .007; Δexercise vs diet = 0.43 pg/mL; 95% CI, 0.01 to 0.85, P = .006)

食事単独介入群(4.8; 95% CI, 4.3 to 5.2) 、運動単独介入群(4.7; 95% CI, 4.2 to 5.1)より、食事/運動同時介入群で、疼痛軽減  (3.6; 95% CI, 3.2 to 4.1) 、より機能改善 (14.1; 95% CI, 12.6 to 15.6)( Δexercise vs diet + exercise = 1.02; 95% CI, 0.33 to 1.71; Ppain = .004; 18.4; 95% CI, 16.9 to 19.9; Δexercise vs diet + exercise, 4.29; 95% CI, 2.07 to 6.50; Pfunction < .001)

食事/運動併用群は、又、身体健康関連QOLスコアを、運動群より改善する (44.7; 95% CI, 43.4 to 46.0 v.s. 41.9; 95% CI, 40.5 to 43.2; Δexercise vs diet + exercise = −2.81; 95% CI, −4.76 to −0.86; P = .005)

足下を見ず、巨大バルーンを掲げて、国民・住民に、雑音を大音量で強制するような、集団的利己的行為・・・ ロコモ運動。かつてのパワーリハビリテーションより、立ち回りがずるがしこくなった。

患者の「疼痛」に対して恐怖感を与え、不要な画像検査を大量施行し、鎮痛剤を多種多様、最近ではオピオイド系まで、報酬系に関わる中枢神経系薬剤投与し、簡単には離脱できないような状況にして、非システミックな「リハビリテーション」とはいいいがたい短時間の除痛だけを繰り返す日常臨床を行い続けている、不心得ものとしかおもえないような一部医師たちの存在がいる。自己反省無く、内部批判もないため、外部から批判せざる得ない。

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...