2017年1月7日土曜日

重度気道閉塞:気管支拡張効果  FVCの方が正しく評価できそう



Bronchodilator response in FVC is larger and more relevant than in FEV1 in severe airflow obstruction
Philip H. Quanjer, et. al.
CHEST (2017), doi: 10.1016/j.chest.2016.12.017.


(序文)
スパイロメトリは気道閉塞診断のためのmainstayであり、短期作動薬による気管支拡張効果は重要な臨床的decision-makingであり、反応性検討が様々推奨されている。しかし、気管支拡張効果はdichotomous traitではなく、明確に区別されるわけでもない。ベースラインよりFEV1 200mL超かつ15%以上という定義が以前で、現在のATS/ERSガイドラインでは"FEV1 or FVC > 12% かつ 200mL超"で有意な気管支拡張反応としている。
気管支拡張剤後絶対的変化量はベースラインFEV1と関連性無いため、ベースラインとの%表示だと初期値低値症例では結果が過大になり、平均値回帰脆弱性をもたらすこととなる
故に、予測値比%表示が提唱されていることとあいなる。

(方法・結果)
オランダ、ニュージーランド、USA、カナダ、ノルウェーと5つのラテンアメリカ諸国の臨床患者のBDR検査データ


FEV1とFVCの変化(Δ) mLは、ベースラインとは関連性無いが、年齢、身長、性別、気道閉塞レベルによりバイアスを伴う

ΔFEV1はアフリカ系アメリカ人で有意に低値
低FEV1(200-1621mL)の1106名ではFEV1増加はベースライン値の 12-44.7%





種々クライテリアに基づくBDR陽性患者比率  (FEV1 左パネル, FVC right panel) : increase >12% initial value 、>200mL (ATS/ERS)、 >12% predicted value 、 >200mL (ECSC/ERS)、 ∆FEV1 >8% predicted value]、 z-score of FEV1 or FVC increases by >0.78 or >0.64 units



 BDR表現に% predictedやz-scoreを用いた場合、このバイアスは低下し、200mLクライテリアが無駄となるが、陽性率が半減する
 ∆FEV1 % baselineでは、気道閉塞レベルを増加、z-  scores or % predictedなら重度閉塞を減少となる
∆FVC表現なら、気道閉塞レベルを増加

(結論)FEV1反応性を%baselineで表現すると呼吸障害重症度を誤って示すことになる
FEV1やFVCを%、予測値比(%predicted)あるいはz-scoreで表現することで、アーチファクトや200mL要求最小値を回避できる
重度気道閉塞状態においてΔFVCは臨床的な過膨脹改善指数としてクリティカルな判断で利用すべきで、気管支拡張剤トライアルでも意味を持つだろう


2017年1月6日金曜日

LEAPトライアルに基づくピーナッツ発症予防コンセンサス

失念していたが、これって日本を含む推奨 ・・・  2年近くなるのに
日本アレルギー学会を含む世界の10の学会による声明
ピーナッツアレルギー発症予防に関するコンセンサスステートメント
http://www.jsaweb.jp/modules/news_topics/index.php?page=article&storyid=232



LEAPトライアル
Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy
George Du Toit, et. al., for the LEAP Study Team
N Engl J Med 2015; 372:803-813February 26, 2015
重篤な湿疹、卵アレルギーいずれかを有する640名の乳児を60ヶ月齢までにランダム割り付け ;皮膚プリック試験 SPT 4mm 超を除外、 1-4mmと陰性を層別
除外と530名をITT解析、ピーナッツ摂食群と回避群にて、プライマリアウトカムとして60ヶ月齢でのピーナッツアレルギー比率比較。全群では、ピーナッツ回避群 13.7% vs ピーナッツ摂食群 1.9% , p < 0.001。SPT陽性群内では、35.3% vs 10.6%


Consensus communication on early peanut introduction and the prevention of peanut allergy in high-risk infants
JACI; August 2015Volume 136, Issue 2, Pages 258–261


解説:
https://www.aaaai.org/about-aaaai/newsroom/news-releases/leap-study-food-allergy




2017年1月5日木曜日

ACPガイドライン:2型糖尿病経口薬物療法

CLINICAL GUIDELINES |3 JANUARY 2017
Oral Pharmacologic Treatment of Type 2 Diabetes Mellitus: A Clinical Practice Guideline Update From the American College of Physicians
Ann Intern Med. doi:10.7326 published at www.annals.org on 3 January 2017.
http://annals.org/aim/article/2595888/oral-pharmacologic-treatment-type-2-diabetes-mellitus-clinical-practice-guideline


18歳以上の2型糖尿病(T2DM)成人において、ライフスタイル変容で不十分な場合、メトホルミン処方を第一にすべきとACPが強く推奨
血糖降下作用、体重減少確率に基づく中等度エビデンスが根拠
さらに、コストにおいても優位性がある

メトホルミン処方での注意点として、組織潅流低下、血行動態不安定、重度肝疾患、アルコール依存、急性不安定うっ血性心不全、他乳酸アシドーシスを生じる病態

中等度エビデンスを根拠にチアゾリジン系、SU剤、DPP-4阻害剤、SGLT-2阻害剤追加を、二次追加として推奨

併用時は、HbA1c値、体重、血圧でのベネフィット重視で選択
いずれの併用も何らかのネガティブアウトカム確率増加御可能性あることを念頭に置く



Metformin + Sulfonylureas
他の併用療法に比べ低コストだが、低血糖リスクが高い
中等度エビデンスとしては体重改善効果はチアゾリジン系併用に比べ良好

Metformin + Thiazolidinediones
チアゾリジン系(TZDs)についてはピオグリタゾン、ロシグリタゾンで検討され、ごっちゃにされている(ピオグリタゾンの悲劇)。うっ血性心不全のリスク増加、他、骨折 and/or 膀胱癌リスク増加の可能性
低品質エビデンスだが、メトホルミンとの併用がTZDs処方内において、心血管疾患死亡率減少、A1c値改善効果が他剤治療より優れている可能性

Metformin + DPP-4 Inhibitors
DPP-4阻害剤はアログリプチン、リナグリプチン、サキサグリプチン、シタグリプチンにてレビュー。
SU剤、TZDsに比べかなり高いコスト。
メトホルミンとの併用時、低品質エビデンスだが、全死亡率、長期心血管死亡率、合併症はSU剤に比べベネフィットあり
高品質エビデンスとしては、体重においてSU剤+メトホルミンとの併用に比べメトホルミン+DPP-4阻害剤にベネフィットあり

Metformin + SGLT-2 Inhibitors
カナグリフロジン、Dapagliosin、エンパグリフロジンをレビュー。SGLT-2阻害剤かなり高額。
ほぼすべてのプライマリアウトカムにおいてSU剤+メトホルミン比較時ベネフィット優位性あり、しかも中等度・高度エビデンスにおいて



日本の糖尿病ガイドライン作りの中核の先生方が「日本独自のガイドライン」と胸を張って主張されるところを何度も見聞きしているが・・・私には単に「メトホルミン憎し」「メトホルミンディスりありき」ガイドラインとしか思えないのだが・・・

2016年12月29日木曜日

「青黛」:肺動脈高血圧症リスク  ・・・ 潰瘍性大腸炎使用に関して

 最新のお知らせ
厚生労働省よりお知らせ~植物由来製品による健康被害(疑い)について
Last Update:2016年12月28日

日本呼吸器学会
会員の皆様へ

厚生労働省 医薬・生活衛生局より、植物由来製品による健康被害(疑い)について、注意喚起の通知をいただきましたので掲載いたします。

詳細は、以下のPDFをご覧ください。
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/mhlw_20161227_01.pdf




「青黛」(せいたい)を摂取した潰瘍性大腸炎患者において肺動脈高血圧症が発現した症例が複数存在することが判明

①「青黛」の摂取により肺動脈性肺高血圧症を生じる可能性があること
②自己判断で「青黛」を摂取せず、必ず医師に相談するよう患者に指導すること
③肺動脈性肺高血圧が疑われる場合には、「青黛」の摂取を中止させ適切な処置を行うこと




リュウキュウアイやホソバタイセイ等の植物由来


単一施設オープンラベル前向き研究報告あり、潰瘍性大腸炎患者における有用性が期待され、話題になっており、利用が広がってる可能性がある

Clinical Efficacy and Safety of Oral Qing-Dai in Patients with Ulcerative Colitis: A Single-Center Open-Label Prospective Study
Digestion 2016;93:193-201
(DOI:10.1159/000444217)
https://www.karger.com/Article/FullText/444217


2016年12月27日火曜日

MedPage Today のトップニュース

ブログ更新の時間がとれない!

オピオイド乱用は医師主導ってのが1位らしいので、医師たちの自戒必要

個人的には、SPRINTと cancer immunotherapyのルール作りかな?

MedPage Today のトップニュース



10. Entresto Gets Big Boost in Updated Guidelines
http://www.medpagetoday.com/cardiology/cardiobrief/58050

9. Zika: The Unexpected Pandemic
http://www.medpagetoday.com/infectiousdisease/generalinfectiousdisease/55915

8. Cancer immunotherapies rule
http://www.medpagetoday.com/blogs/broadcast-med/60357

7. Actemra Effective for Giant Cell Arteritis
http://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/acr/61418

6. SPRINT in the real world
http://www.medpagetoday.com/cardiology/cardiobrief/60070

5. Amyloid Drug Fails in Alzheimer's
http://www.medpagetoday.com/neurology/alzheimersdisease/61656

4. ORATORIO Results Confirm Ocrelizumab for Progressive MS
http://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/cmsc/58342

3. Trump Wins/ACA Repeal
http://www.medpagetoday.com/washington-watch/electioncoverage/61321

2. Jardiance Approved for CV Disease Prevention
https://www.medpagetoday.com/Endocrinology/GeneralEndocrinology/61883

1. . CDC Comes Down Hard on Opioids for Chronic Pain
http://www.medpagetoday.com/publichealthpolicy/publichealth/56745

CDC Guideline for Prescribing Opioids for Chronic Pain—United States, 2016
Deborah Dowell,et. al.
JAMA. 2016;315(15):1624-1645. doi:10.1001/jama.2016.1464
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2503508
なるべく非オピオイドを優先に。リスクを上回るベネフィットの時のみ使用し、層で無い場合は中止すべき。オピオイドは最小量から開始し、 50mg/日まで増量考慮、他のオピオイド併用・ベンゾジアゼピン併用は避けるべき。3ヶ月毎に 。モニタリングシステム構築必要。オピオイド使用疾患に対するエビデンスに基づく治療整備必要。

2016年12月20日火曜日

女性医師治療患者の方が男性医師治療患者より入院死亡率も再入院率も低い

わずか、0.5%の差だが・・・

女性医師の方がEBM遵守性が高く、検査も標準に遵守し、患者中心医療実践傾向が高いなどdiscussionに記載されている

・・・

Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians
Yusuke Tsugawa, et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 19, 2016.
doi:10.1001/jamainternmed.2016.7875
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2593255

横断研究、メディケアによる入院米国内データ、20%サンプル
2011年1月1日から2014年12月31日

患者・医師特性・病院fixed effect「母数効果」補正後、医師性別と30日死亡率と再入院率

結果は、同一病院内比較で、女性医師治療患者では男性医師治療に比較して、有意に死亡率低下(adjusted mortality rate, 11.07% vs 11.49%)し、再入院率 (adjusted readmission rate, 15.02% vs 15.57%) も低下する



プライマリケア外来患者で女性医師への期待の高さと満足度調査がある

Effect of Physician and Patient Gender Concordance on Patient Satisfaction and Preventive Care Practices
J Gen Intern Med. 2000 Nov; 15(11): 761–769.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1495609/pdf/jgi_91156.pdf



より客観的指標で、女性医師の優越性判明したわけで・・・

2016年12月13日火曜日

心筋虚血・急性冠症候群:不適切酸素投与有害性

「急性心筋梗塞」管理について、未だ、こういう記載が見られる
酸素の吸入:低酸素血症は、不整脈を誘発したり心筋虚血を増悪させ、梗塞巣の拡大や病態の悪化につながるので、呼吸困難やチアノーゼの有無にかかわらず、十分な酸素を投与する。通常鼻腔カニューレで2~3 /分。
以下の見解にも批判的吟味があるようだが・・・ 「十分な酸素を投与」というのは明らかに間違い





Chest Pain and Supplemental Oxygen Too Much of a Good Thing?
Maxime Cormier, et. al.
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2592700

仮想的症例だと思うが、「60歳代、高血圧、脂質異常、冠動脈疾患による治まらない胸骨後部痛症例、バイタルサインは正常、酸素飽和度95%」に対しパラメディックが非再呼吸顔マスクによる酸素投与開始し、EDへtransfer、その後酸素投与継続。心臓カテーテルとdrug-eluting stentを前下行枝へ。その後2日間酸素投与。その後非持続性心室頻拍、心房細動発症。左室駆出率は機能は6週間後も悪化持続。

こういった症例なのだが・・・

急性冠症候群への酸素投与は世紀を超えて施行されてきたが、1960年代に高酸素血症による悪影響、即ち、虚血悪化、心拍出量増加、全身血管抵抗増加が血行動態研究から示唆された。メカニズムは未だ明確ではないが、ROSによる冠動脈血管痙攣、oxygen free radicalによる過剰発現性再潅流障害など関与しているのだろう。
2015年までに、わずか4つのトライアルだが急性心筋梗塞での酸素投与影響検討。これらのメタアナリシスでは急性心筋梗塞確定症例で死亡リスク統計学的非有意ながら2倍増加。
CabelloJB,BurlsA,EmparanzaJI,BaylissS, QuinnT.Oxygentherapyforacutemyocardial infarction. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(8): CD007160.doi:10.1002/14651858.cd007160.pub3


最近の638名のST上昇急性心筋梗塞での非酸素vs酸素投与比較では血中心筋とトロポニン・血中CK値のプライマリアウトカムで、酸素投与群の再発性心筋梗塞 (5.5% vs 0.9%, P = .006) 、重大心臓不整脈増加有意 (40.4% vs 31.4%, P = .05)。MRIによる6ヶ月後梗塞巣増大 (20.3 g vs 13.1 g, P = .04)。これら知見によれば、院内心筋梗塞事案NNH 22、重大心臓不整脈 11となる
StubD,SmithK,BernardS,etal;
AVOID Investigators. Air versus oxygen in ST-segment-elevation myocardial infarction. Circulation.2015;131(24):2143-2150. doi:10.1161/circulationaha.114.014494


COPDでは、酸素投与、特に、高炭酸ガス血症の危険性が広く認識され、2010年405名の高濃度酸素療法 vs 補正酸素療法のランダム化研究、COPD確認サブグループのみで有意に高濃度酸素療法より補正酸素投与の方の死亡率低下効果認めた。
AustinM,WillsK,BlizzardL,WaltersE, Wood-Baker R. Effect of high flow oxygen on mortality in chronic obstructive pulmonary disease
patientsinprehospitalsetting:randomised controlled trial. BMJ. 2010;341:c5462. doi:10.1136 /bmj.c5462


他、高酸素投与の有害性示唆は、脳卒中、心肺蘇生、未熟児など


ST上昇心筋梗塞管理のためのAHAガイドラインでは、酸素投与は低酸素患者にのみ推奨されているが、正常酸素飽和度症例に対し"for comfort"や呼吸困難対応のため用いられる場合も残存している。
非常識的酸素投与により多くの患者に害をあたえている事態が状態化しているところもある。



以前も書いたと思うが・・・

最近は、医師・看護師だけでなく、患者本人・家族、救急搬送職員や介護施設、老人住居施設職員まで酸素飽和度が周知されてるらしく、酸素飽和度を「サーチ」と誇らしげに示されることが多い・・・(こういう経験を多数しているのは私だけなのだろうか?)

98%から92%に酸素飽和度が下がる?・・・とかなり心配するようで・・・どうにかならないものか?



虚血性心疾患には酸素投与ルーチンに・・・と、私が研修医の頃は習ったものだが、その後、血管再建術が盛んになり(私の頃はウロキナーゼによる冠動脈内薬剤投与:PTCRやっと導入され担当医にされたばかりだったが)、そのとき、虚血再灌流障害も話題になったが、酸素投与については思いがいたらなかったなぁ・・・と独り言 年取った証拠かな?

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...