2018年11月22日木曜日

糖尿病患者の運動前の負荷試験必要か?

糖尿病は心血管イベントのリスクで、習慣的運動でリスク減少示すが、冠動脈イベントが心配。また、silent虚血が糖尿病で存在するためリスクを懸念。運動負荷試験を無症候性糖尿病患者で施行することの是非不明。

ACSM(American College of Sports Medicine)は従来のCVDリスク要素に基づくスクリーニングは推奨していない。一方で運動してない糖尿病患者では中強度運動でさえ"medical clearance"を要求される。Framingham Risk 計算式で10年リスク10%以上、高強度運動では運動前に運動負荷試験考慮される場合がある。
無症候性2型糖尿病患者の冠動脈造影CT、心筋還流シンチグラフィ、心電図負荷試験何れも心血管イベントに影響を与えないという報告もあるも、多くのガイドラインで負荷心電図強要が多くなされている

故に、糖尿病患者の運動前運動負荷試験必要性(不要性)についての検討



Clinical Utility of Pre-exercise Stress Testing in People with Diabetes
Marni J. Armstrong, et al.
Canadian Journal of Cardiology
DOI: https://doi.org/10.1016/j.cjca.2018.11.007

対象は糖尿病と、1つを超える心血管リスク要素のある被検者

糖尿病 1,705名中、運動前負荷テストを受けた被検者と受け無かった被検者を比較

心血管アウトカム(血管再建、心血管関連入院、心血管死亡) の組み合わせの差異を1年内 (2.8% vs. 1.9%, p=0.250)、次の1年でも認めず(3.1% vs. 4.6%, p=0.164)

1年内においては、血管再建に関しては負荷試験で多かった  (2.1% vs. 0.8%, p=0.027)が、長期フォローアップでは差は認めず(平均3.4 年間)





負荷試験は運動処方や長期予後評価に有益だろうが、コストにみあうか?、効果で侵襲的な検査艶有り、無症候性の糖尿病ほぼ全員に施行するには元々無理がある。故に、虚血症状示唆、既知冠動脈疾患、不整脈、うっ血性心不全、微小血管合併症可能性などに限定すべき・・・という提案


実現性のない推奨しても仕方が無いので、臨床実践的には妥当な線?

2018年11月21日水曜日

降圧剤:妊娠使用中のβ遮断薬は児奇形リスク重大増加なし

日本では、心不全治療適応もあるメインテートやアーチストを含め、妊娠中β遮断剤禁忌になっている。添付文書に科学的根拠がないため非常に困ることが多い(参照:クソ役人)

その一つ

序文によると妊娠中高血圧比率高まってるそうだ、肥満、妊娠高齢化などが要因だそうで、米国内では推定妊娠中β遮断剤使用は0.5%〜1.0%で、スウェーデンなどは0.1%と少ない。序文によると妊娠中高血圧第1選択は"β遮断剤(カルシウム拮抗剤、メチルドーパ)とのこと

日本と異なること!


β-Blocker Use in Pregnancy and the Risk for Congenital Malformations: An International Cohort Study
Brian T. Bateman, et al,

Ann Intern Med. doi:10.7326/M18-0338 
http://annals.org/aim/article-abstract/2707333/blocker-use-pregnancy-risk-congenital-malformations-international-cohort-study?doi=10.7326%2fM18-0338



【背景】β遮断剤は妊娠中主に使われる降圧治療薬クラス
【目的】β遮断剤の第1トリメスター中暴露と関連する重大先天奇形のリスク推定
【デザイン】コホート研究
【セッティング】5つのノルディック各国とUSメディケイドデータベースの健康レジストリー
【患者】高血圧診断妊娠女性と出生
【測定】β遮断剤の第1トリメスター暴露評価。アウトカムは種類を問わない先天奇形、心臓奇形、口唇口蓋裂、中神経異常。propensity score層別化を用い寄与要素補正

【結果】高血圧妊娠女性、ノルディック各国 3577名、米国 14,900名
第1トリメスターβ遮断剤暴露 682(19.1%)、1668(11.2%)
β遮断剤暴露1千名あたりのプール化補正相対リスク(RR)とリスク差は

  • 全ての重大奇形:1.07 (95% CI, 0.89 to 1.30)、 3.0 (CI, −6.6 to 12.6)
  • 全ての心奇形: 1.12 (CI, 0.83 to 1.51) 、 2.1 (CI, −4.3 to 8.4)
  • 口唇口蓋裂: 1.97 (CI, 0.74 to 5.25) 、 1.0 (CI, −0.9 to 3.0) 


中枢神経奇形:補正リスク比 1.37 (CI, 0.58 to 3.25)
RD1000 は 1.0 (CI, −2.0 to 4.0) (based on U.S. cohort data only).

【研究限界】生存出生のみに限定解析、暴露は投薬レベルの数量、口唇口蓋裂・中心神経異常は少なかった

【結論】第1トリメスター暴露β遮断剤は全ての奇形、心奇形リスク大幅増加と関連せず、、独立した測定寄与要素と独立した結果であった


Primary Funding Source:
The Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development and the Söderström König Foundation.





日本では考え方少々異なるので注意必要

勝手に引用
妊娠を希望される妊婦、または妊娠された妊婦では
• 目標降圧レベル:140/90mmHg未満
• ACE阻害薬、ARB内服中なら速やかに切り替える。
ただし初期に内服していたとしても催奇形性は気にしなく
てよい.Ca拮抗薬はI.C.得られれば続行
• 第一選択薬
>メチルドパ
• 単剤のみで降圧目標を達成できない場合
>ニフェジピン(できればDI通り20週以降)
>ラベタロール
>ヒドララジン の追加
• 重症化の可能性があれば入院管理、腎症は入院
• 高血圧緊急症は点滴側管からニカルジピン原液
JSSHP治療指針2015より、成瀬私案
http://jsog.umin.ac.jp/70/jsog70/3-1_Dr.Naruse.pdf

2018年11月20日火曜日

ピーナッツ経口減感作:R101 Oral Immunotherapy

18歳以下しか有効でない


R101 Oral Immunotherapy for Peanut Allergy
The PALISADE Group of Clinical InvestigatorsM
November 18, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1812856
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1812856

ピーナッツアレルギーは承認レベルの治療オプションはないが、予測不能で生命危機的なアレルギー反応を時折生じる病態

phase 3 trial
被検者;4-55歳歳時のピーナッツ蛋白 100mg(落花種子の約1/3)以下でアレルギーdose-limiting症状歴あり
二重盲検、プラシーボ対照暴露試験
3:1割り付け、AR101(ピーナッツ由来 investigational biologic oral immunotherapy drug)とプラシーボをescalating-dose programで投与
約24週間 300mg/日の維持療法レジメン完遂、トライアル脱出時二重盲検プラシーボ対照食品暴露
プライマリ有効性ポイントは4−17歳被検者比率 600mg以上でdose-limiting症状なしでチャレンジ食可能

AR101とプラシーボ使用 551名被検、4−17歳は496名
dose-limiting症状無くピーナッツ蛋白 600mg以上摂取可能比率は active治療 250/372(67.2%)、プラシーボ 5/124(4.0%);差としては 63.2% ;95% 信頼区間 53.0-73.3; p<0.001

食品チャレンジ終了時、症状最大重症度はactive-drug群で  中等度 25%、プラシーボ 59%、重症は5%と11%
介入期間副作用は4017歳の患者で95%超で強く影響





軽症分類イベントはactive-drug群では34.7%、プラシーボ群は50%
中等度分類は59.7%、 44.4%
より重症に分類されるイベントは 4.3% 、 0.8%

18歳以上では有効性示せず


ピーナッツへのアレルギー高度の小児・青年期第3相経口免疫療法で、AR101治療は、dose-limiting症状無くピーナッツ蛋白高摂取可能比率を増やし、ピーナッツ暴露症状重症度比率がプラシーボ群に比較して低下する。(Funded by Aimmune Therapeutics; PALISADE ClinicalTrials.gov number, NCT02635776.)



2018年11月19日月曜日

AIDI:抗炎症食指数と死亡率

anti‐inflammatory diet index (AIDI) と全死亡率・疾患原因特異的死亡率の関連性


 Influence of anti-inflammatory diet and smoking on mortality and survival in men and women: two prospective cohort studies.
Kaluza J, et al.
J Intern Med. 2018.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joim.12823

16年間フォローアップ(1,057,959人年)、 死亡 16,088 (心血管死 5980、 癌 5252)

AIDI(anti-inflammatory diet index)の4分位と死亡率リスクは強い逆相関

AIDI最大 vs 最小比較で全原因死亡率リスク減少
 (18% 減少, 95% CI: 14–22%), CVD (20%, 95% CI: 14–26%)
がん死亡率も減少(13%, 95% CI: 5–20%)


現行喫煙で最も強い相関あり 全死亡率 31%、心血管疾患死亡率 36%、、がん死亡率 22%減少


現行喫煙者において、最小AIDI及び非喫煙差hとの比較で最大4分位生存期間の差は4.6年間




AIDI:16の食品群、抗炎症性特性を有する11の食品と、炎症促進性の5つの食品に分けた

<解説>
Briefly, the AIDI was based on 16 foods or food groups, including 11 foods with anti-inflammatory potential and five foods with pro-inflammatory potential.

The foods with anti-inflammatory potential were as follows:

total fruits and vegetables (cut-off ≥6 servings day1); tea (≥3 servings day 1); coffee (≥2 servings day 1); wholegrain bread (≥2 serv- ings day 1); breakfast cereal (≥1 servings day 1); low-fat cheese (≥1 servings day 1); olive and canola oil (>0 servings day 1); nuts (≥2 servings week 1); chocolate (≥1 servings day 1); red wine (2–7 serv- ings week 1); and beer (2–14 servings week 1).
The foods with pro-inflammatory potential were as follows:
unprocessed red meat (≤0.5 serv- ings day 1); processed red meat (≤0.5 servings day 1); offal (0 servings day 1); chips (0 servings day 1); and soft drinks (0 servings day 1) 
食品摂取該当スコア合致で1、非合致で0とする
<解説>





ヘルシーダイエットとなにが違うのだろう

食事性要素が小程度全身性炎症に関与し、喫煙で影響されるという報告



  • Barbaresko J, Koch M, Schulze MB, Nothlings U. Dietary pattern analysis and biomarkers of low-grade inflammation: a systematic literature review. Nutr Rev 2013; 78: 51127.
  • Calder PC, Ahluwalia N, Brouns F et al. Dietary factors and low-grade inflammation in relation to overweight and obesity. Br J Nutr 2011; 106: S578.

この2つがこの報告の根拠としている



2018年11月15日木曜日

SGLT2iの重大副作用:デンマーク国内レジストリベース研究

SGLT2iの重大副作用:デンマーク国内レジストリベース研究

”下肢切断”に関しては、CANVASプログラム:カナグリフロジンと一致した結果となったが、class effect有無今後の検討必要という考察になっている


Sodium glucose cotransporter 2 inhibitors and risk of serious adverse events: nationwide register based cohort study
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4365 (Published 14 November 2018)
Cite this as: BMJ 2018;363:k4365



GLP1受容体アゴニスト比較、SGLT2iリスク

  • 下肢切断 (発生比率 2.7 v 1.1 イベント/ 1000 人年, ハザード比 2.32, 95% 信頼区間 1.37 to 3.91) 
  • 糖尿病ケトアシドーシス (1.3 v 0.6, 2.14, 1.01 to 4.52) 

以上が1をまたがってない

以下は1をまたがってる

  • 骨折 (15.4 v 13.9, 1.11, 0.93 to 1.33), 
  • acute kidney injury (2.3 v 3.2, 0.69, 0.45 to 1.05)
  • 重症尿路感染 (5.4 v 6.0, 0.89, 0.67 to 1.19)
  • 静脈血栓塞栓 (4.2 v 4.1, 0.99, 0.71 to 1.38) 
  • 急性膵炎 (1.3 v 1.2, 1.16, 0.64 to 2.12)




低炭水化物ダイエット【炭水化物ーインスリンモデル】検証:減量中摂取炭水化物比率減少するほど消費エネルギー増加

減量中摂取炭水化物比率減少するほど消費エネルギー増加

Framingham State Food Study(FS)からも検証された

" 高glycemic-load炭水化物の摂取量増加がホルモン変化を生じ、脂肪細胞のカロリー蓄積を促進し、飢餓症状を増悪し、エネルギー消費量を低下させるという過程をとる"という【炭水化物ーインスリン・モデル】

減量中のエネルギー消費は、炭水化物比率低下ほど増加するという仮説に合致した結果であった


Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4583 (Published 14 November 2018)
Cite this as: BMJ 2018;363:k4583

【目的】総エネルギー消費量に対する炭水化物と脂肪比率の変化に対するダイエットの効果
【デザイン】ランダム化試験
【セッティング】米国2ヶ所多施設共同、2014年8月から2017年5月まで
【被検者】18〜65歳の成人164名、BMI 25以上

【介入】run-in dietによる12%減量後(2%以内)、被検者を3つの食事にランダム割りつけ、炭水化物(高比率 60%, n=54、 中等比率 40%, n=53; 低比率 20%,n=57)、20週間
テスト食は蛋白でコントロールし、体重減少維持2kg以内に補正するようエネルギー調整。
炭水化物 - インスリンモデルによって予測されるeffect modificcation検証のため、サンプルを減量前インスリン分泌(経口ぶどう糖投与後30分のインスリン濃度)の3分位に分けた

【主要アウトカム指標】プライマリアウトカムは、二重標識水(Doubly. Labeled Water:DLW)法測定による総エネルギー消費で、ITT解析。per protocol解析では、目標化減量維持被検者を含み、より正確なeffect estimateを検討。
セカンダリアウトカムは、安静時エネルギー消費で、身体活動測定、代謝ホルモンレプチン・グレリン測定

【結果】総エネルギー消費はITT分析(n=162, P=0.002)では食事で異なり、総カロリー摂取10%減少毎52 kcal/d(95%信頼区間 23 - 82)の線形傾向を示した。 
 (1 kcal=4.18 kJ=0.00418 MJ).

総エネルギー消費の変化は、高比率炭水化物割り付け群に比べ、中等比率炭水化物割り付けで 91(95% 信頼区間 -23 〜 219 ) kcal/d、低炭水化物比率では 209(95% 信頼区間 91〜 326) kcal/d高い。





per protocol解析 (n=120, P<0 .001="" 131="" 267="" 411="" d="" kcal="" p="">


減量前インスリン分泌最大3分位被検者では、ITT解析   308 kcal/d、 per-protocol解析 478 kcal/d  (P<0 .004="" p="">
グレリンは炭水化物低比率割り付けで高比率割り付けに比べ有意に低い(両解析)
レプチンは炭水化物低比率割り付けで有意に低い(per protocol)



【結論】
炭水化物 - インスリンモデルと合致し、食事中の炭水化物比率低下は、減量中エネルギー消費を増加させた。この代謝効果は、肥満治療、特にインスリン分泌高度のもので成功可能性高い。






【炭水化物ーインスリンモデル】
肥満:低糖負荷食の暫定的勝利? 基本概念としては当面“Carbohydrate-Insulin Model”で行こう!
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/07/carbohydrate-insulin-model.html

<0 .001="" 131="" 267="" 411="" d="" kcal="" p=""><0 .004="" p="">


2018年11月14日水曜日

EMPA-Heart Cardiolink-6 trial:左室壁リモデリング改善



EMPA-Heart Cardiolink-6 trial
https://www.acc.org/latest-in-cardiology/articles/2018/11/07/16/03/sun-1145am-empa-heart-cardiolink-6-aha-2018



sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors (SGLT2i)である empagliflozin は、2型糖尿病・冠動脈性心疾患有りの患者での左室mass低下効果あると、AHA 2018 in Chicagoにて発表

HbA1c 6.5%以上、10%以下、40−80歳、152名で、心筋梗塞あるいは冠動脈再検術後既往ある患者で左室リモデリングへのエンパグリフロジンのSGLT2阻害のインパクト検証


 エンパグリフロジン10mgにて有意に左室mass減少 (補正差 -3.35 (95% CI,-5.9 , -0.81) p=0.01)

血圧正常でもベネフィット有り、駆出率保存でも、そして既知心不全なし、標準治療最大(RAS遮断剤 80%以上使用率)でも、ベースラインのLVMI高くても効果有り

エンパグリフロジンが、早期に、統計学的に、臨床的に、心血管・心不全に関与するリモデリングを回復促進することがこの研究で示唆される

EMPA-REG OUTCOME trial や他の SGLT2i 研究で観察されたベネフィットである心血管・心不全改善に寄与するのだろう

"While the results are provocative, the small sample size limits the certainty of the effect. Larger studies are clearly needed," commented Kim A. Eagle, MD, MACC, editor-in-chief of ACC.org.
EMPA-HEART: Empagliflozin May Reduce LV Mass in Patients With CVD, Diabetes
https://www.medscape.com/viewarticle/904819



HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...