2019年1月24日木曜日

後天性血栓性血小板減少性紫斑病:抗–ヒト化-von Willebrand factor:Caplacizumab

NEJMは日本語訳公式あるので、最近は原則取り上げないことにしているが・・・
今回は難治性疾患の治療として重要なので、備忘録として・・・



特発性血栓性血小板減少性紫斑病の抗–ヒト化-von Willebrand factor:Caplacizumabの2重盲検対照トライアル




Caplacizumab Treatment for Acquired Thrombotic Thrombocytopenic Purpura
Marie Scully, M, et al., for the HERCULES Investigators
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1806311

【背景】後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では、vWF-切断-プロテアーゼADAMTS13の免疫機序欠乏により、vWF multimerの無制限な血小板や微小血栓への接着をもたらす。 Caplacizumabは抗–ヒト化-von Willebrand factorで、2価variable-domein-only免疫グロブリン断片で、vWF multimerと血小板のinteractionを阻害する機序

【方法】2重盲検対照トライアル、ランダム化
 TTP 145名、血漿交換中およびその後30日間
caplacizumab (10-mg intravenous loading bolus, followed by 10 mg daily subcutaneously) 
or 
placebo 

プライマリアウトカム:血小板数の正常化までの時間、その後5日以内に毎日の血漿交換が中断
鍵となるセカンダリアウトカム:以下組み合わせ:トライアル治療期間中のTTP-関連死、TTP再発、血栓塞栓イベント;トライアル中全てのTTP再発と臓器障害マーカーの正常化


【結果】
血小板数正常化期間中央値:プラセボよりもカプラチズマブで短い(2.69日[95%信頼区間{CI}、1.89〜2.83]対2.88日[95%CI、2.68〜3.56]、P = 0.01)。
そして、カプラシズマブ投与ではプラセボより血小板数の正常化確率1.55倍

複合アウトカムイベント率:プラセボよりもカプラチズマブの方が74%少ない(12%対49%、P <0.001)。
トライアル中全期間検討TTP再発率はプラセボよりカプラチズマブの方が67%少ない(12%対38%、P <0 .001="" div="">
不応性はカプラチズマブではなく、プラセボ群では3名
カプラシズマブ患者は、プラセボ患者より血漿交換が少なく、入院期間短い
最頻度有害事象:粘膜皮膚出血で カプラチズマブ群 65% vs プラセボ群 48%

試験治療期間中に、プラセボ群死亡3名、カプラチズマブ群 1名治療期間終了後脳虚血死亡










開業医川柳
ヒートショックと 得意げにしゃべる医者に ショック与えたい


2019年1月23日水曜日

アルツハイマー病発症前に血中NfL変化著明

家族性アルツハイマー病の症状出現16年前に血中の変化、特にNfLの変化が重要

アルツハイマー病発症予測可能となるかも

Serum neurofilament dynamics predicts neurodegeneration and clinical progression in presymptomatic Alzheimer’s disease
Nature Medicine, Letter | Published: 21 January 2019
https://www.nature.com/articles/s41591-018-0304-3


gene mutation (APP, PSEN1, PSEN2) の1つ以上保有DIAN(Dominantly Inherited Alzheimer's Network)被検者

血中NfL変化率は症状前から発症段階でピークとなり、MRIの脳皮質菲薄化と関連


2019年1月22日火曜日

後顧的検討COPDとのpropensity score比較:気管支拡張症患者への呼吸リハビリテーション

気管支拡張症患者への呼吸リハビリテーションは国際的ガイドラインとしては推奨されているが、その根拠は小規模トライアルとCOPDから導入された知見に基づく心許ないもの

冠水率や呼吸リハビリテーションの反応についてリアルライフデータは気管支拡張とCOPD患者では同様だろうと推定されている

superviseされた呼吸リハビリテーションプログラムを受けた213名の連続患者を1:1でCOPD同数患者を対照にpropensity scoreマッチ化

両群ともリハビリテーションプログラム完遂率 74%

ほぼ同様なのだが
漸増シャトルウォーキング距離、CRQ-dypnoea、CRQ-emotion、CRQ-mastery、CRQ-totalはほぼ同等の反応
だが、CRQ-fatigueのみが有意差あり、COPDの方が改善度高い

結論としては、気管支拡張症での呼吸リハビリテーションルーチン使用の妥当性を支持するというもの



Pulmonary rehabilitation in bronchiectasis: a propensity-matched study
Suhani Patel, et al.
European Respiratory Journal 2019 53: 1801264;
https://erj.ersjournals.com/content/53/1/1801264
DOI: 10.1183/13993003.01264-2018


2019年1月21日月曜日

骨折予防のための閉経後女性骨粗鬆症

骨粗鬆症・高齢女性治療は 今変動の時期にある 現行のコンセプトと将来展望



Treating osteoporosis to prevent fractures: current concepts and future developments
Mattias Lorentzon
First published: 18 January 2019 https://doi.org/10.1111/joim.12873
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/joim.12873

骨粗鬆症治療推進優先的論調であった!


骨折に関してはその他の要素も関連するのだろうが、加齢関連骨密度減少が高齢者の骨折リスクと関連する

Marshall D, Johnell O, Wedel H. Meta‐analysis of how well measures of bone mineral density predict occurrence of osteoporotic fractures. BMJ 1996; 312: 1254–9.

ビスフォスフォネートとRANKL阻害剤 denosumabが広く用いられ、BMD増加・椎体骨骨折リスク 40-70%減少、非椎体骨リスク 25-40%減少、股関節リスク 40-53%減少を骨粗鬆症・高齢女性でもたらす

副作用リスクのため傾向ビスフォスフォネートは10年まで制限、zoledronic acidは6年までに限定される(本邦では結論づけされてないようだが・・・)

有効性安全性はある程度明確となっているが、高リスク状態でも治療開始に至る対象者は少ない。そのため骨折リスクをベースとしたスクリーニング、FRAXやFrcture Laison Serviceといったツールを用い治療率を高め、骨折リスクを減少させる必要がある。


最近、遺伝子組み換えパラトルモン(PTH):テリパラチド(Teriparatide))を用いた同化療法は、脊椎骨折を伴う閉経後の女性の椎体骨骨折および臨床骨折の予防においてビスホスホネートリセドロネートよりも優れていることが実証された。
 スクレロスチン抗体ロモソズマブによる治療(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1708322)は、アレンドロネートよりBMDを高度に急速に増加、骨粗鬆症の閉経後女性における脊椎骨折および非脊椎骨折の危険性の減少においてアレンドロネートよりも優れていた。
 重度の骨粗鬆症で骨折リスクが高い患者にとって、ビスフォスフォネート単独では、骨折に対する長期的な防御を提供し、BMDを回復させることはできそうにない(原文:. For patients with severe osteoporosis and high fracture risk, bisphosphonates alone are unlikely to be able to provide long‐term protection against fracture and restore BMD. )。 そのような患者にとっては、骨形成薬(例えばテリパラチド)から始まり、その後に再吸収抑制剤を投与する連続治療が、より良い長期の骨折予防を提供する可能性があり、将来の骨粗鬆症治療のゴールデンスタンダードとなるだろう。



ビスフォスフォネートに関する 顎骨壊死:ONJと非定型大腿骨骨折:AFF(atypical femur fracture)の問題
メディアレポートと相まって、FDAの警告文をきっかけに、非常に稀だが重篤な副作用のためリスクの過剰記載が結果的にネガティブな状況を引き起こした。ONJ症例の90%超は腫瘍患者で、骨粗鬆症患者でのリスクは非常に低く、10万人年対1-90で、骨粗鬆症でおnリスク要素はdentoalveolar surgery、periodontal disease、継続的経口ステロイド使用である

メタアナリシス・レビュー計算だと、ビスフォスフォネート5年間での骨折予防は100あたり1未満のAFF。AFF絶対リスクは股関節などの骨折より少ないためビスフォスフォネート長期治療であっても容認されるベネフィット/リスク比と関連するだろう。アレンドロン酸 10年間継続 vs 5年間継続、ゾレドロン酸 6年間継続 vs 3年間継続では、BMD維持レベルであり、椎体骨骨折リスク減少を示した、ただ、他部位の骨折リスクは減少示せず 。これら知見からAmerican Society for Bone and Mineral Research Task Force は、ゾレドロン酸やアレンドロン酸の3−5年後の再評価すべき推奨となっている


歯科医師からみれば、抜歯や口腔内小手術は決して稀でないし、経口ステロイド処方中の患者すら稀ではないわけだし・・・現場は困るわね


顎骨壊死検討委員会ポジションペーパーhttps://www.jsoms.or.jp/medical/work/guideline/bisphos01/


2019年1月18日金曜日

ARDS:好中球/リンパ球比率(NLR)は予後因子

全身性炎症は重症患者の疾患進行の重要な原因であり、一般に敗血症症候群と関連。炎症はARDSの発症と進行にも関連し、敗血症はARDSの進行リスクが高いことと関連。
ストレスに対する循環白血球の生理学的免疫応答は、好中球の増加とリンパ球の減少を特徴とすることが多いため、好中球とリンパ球の比(NLR)が固形腫瘍などの様々な疾患における予後マーカーであることが示されている。他、心血管疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)でもNLRが重症患者の予測因子として調査されている。

重症敗血症および敗血症性ショックの研究において、NLRは28日の死亡率と独立して関連していることが報告され、NLRは、重症患者における短期死亡率と長期死亡率の両方の独立した指標であることが示されている。

そういう流れで検討


The Association Between the Neutrophil-to-Lymphocyte Ratio and Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome
A Retrospective Cohort Study
Li, Weijing , et. al.
Shock: February 2019 - Volume 51 - Issue 2 - p 161–167


ARDSの発症に全身性炎症関与しているが、好中球/リンパ球比(NLR)指標がその後の予後に関する炎症性マーカーとなるか?

後顧的検討

224名で、NLR 四分位比較  6.88 (4.61–7.94)、13.06 (11.35–14.89)、 20.99 (19.09–23.19)、 39.39 (32.63–50.15)

28日死亡率:  10.7%、19.6%、 41.4%、 53.6% (P < 0.001)

Cox回帰分析にてNLRは28日死亡率の有意リスク要素
参照値比較補正ハザード比 第2四分位:1.674, 95% 信頼区間 [CI], 0.462–6.063, P = 0.432 第3四分位:HR = 5.075, 95% CI, 1.554–16.576, P = 0.007 第4・四分位:HR = 5.815, 95% CI, 1.824–18.533, P = 0.003

同様傾向がICU死亡率、入院死亡率でも示された



COPDシステミック・レビュー:ビタミンD低値患者へのビタミンDサプリメント補給は中等度以上の急性増悪発生率低下の可能性

Vitamin D to prevent exacerbations of COPD: systematic review and meta-analysis of individual participant data from randomised controlled trials
Jolliffe DA, et al. Thorax 2019;0:1–9. doi:10.1136/thoraxjnl-2018-212092 1
https://thorax.bmj.com/content/early/2019/01/10/thoraxjnl-2018-212092
http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2018-212092

背景 ビタミンDのCOPD急性増悪予防に関してRandomised controlled trials (RCTs) では未決論

被検者 メタアナリシス:変数説明要素同定のため

方法 PubMed、 Embase、 Cochrane Central Register of Controlled Trials、 Web of Science検索(2017年10月5日まで)
fixed effects modelにてメタアナリシス:年齢、性、GOLDスパイロメトリgradeとトライアル補正

結果 4つのRCT(560名被検者)を同定、個別被検者データ 469/472(99.4%)、3つのRCTから入手
COPD中等/重症急性増悪率への包括頻度へ、補足資料による影響無し (aIRR) 0.94, 95% CI 0.78 to 1.13)
事前設定サブグループ解析にて予防的効果示されたが、ベースライン25-OH D値<25 0.36="" 0.55="" 0.84="" 0.85="" 1.04="" 1.27="" 25="" 95="" airr="" ci="" for="" interaction="0.015)</p" nbsp="" nmol="" p="" to="">
ビタミンDは1回以上の重症副事象イベント発生被検者比率へ影響を与えない (adjusted OR 1.16, 95% CI 0.76 to 1.75)


結論:ベースラインで25-OHビタミンD値 25nmol/L未満の患者で、ビタミンDサプリメントは安全で、中等/重症COPD急性増悪発生率低下の可能性あり、ただし、高値の場合は効果無い可能性


Trial registration number CRD42014013953.





ビタミンD採血するとすぐ査定するんだよなぁ Ca低値を確認してビタミンD欠乏症疑いと記載しても・・・
http://uwb01.bml.co.jp/kensa/search/detail/3304476

合理性のない医療保険査定がめだつ昨今・・・だれもクレーム入れないからこうなる

2019年1月15日火曜日

認知障害:脳血液関門の障害が早期マーカーとなりえる 周皮細胞の重要性

脳毛細血管の早期損傷は認知機能障害と関連すると高齢者の検討研究

脳脊髄液中のsoluble platelet-derived growth factor receptor-β は、新しい周皮細胞障害のマーカーで認知障害進行とともに増加する


血液脳関門関連毛細血管壁周皮細胞、可溶性platelet-derived growth factor receptor-β:可溶性PDGF受容体の役割の検討

ダイナミック造影磁気共鳴画像法(DCE-MRI)による動的造影剤領域的血液脳関門透過性の評価

この周皮細胞は、血液脳関門正常性維持に関与し、認知症・認知障害の初期マーカーの可能性

アミロイドβやτ蛋白の臨床応用アイディアは臨床トライアルでなかなか成果をだせない状況。新しいアイディアが必要

Blood–brain barrier breakdown is an early biomarker of human cognitive dysfunction
Daniel A. Nation,et al.
Nature Medicine (2019 Published: 


早期認知機能障害を有する161人, CDRスコア 0(正常; n = 82)、0.5(非常に軽度の認知症; n = 63)、または1(軽度の認知症; n = 16)。サンプルの平均年齢 約72歳、男性 51.6、APOE ε4対立遺伝子 44.5%

42残基アミロイドベータ:陽性または陰性、またはリン酸化タウについて陽性または陰性で層別化し、認知機能障害となりえる他の疾患、血管性認知症、血管性認知障害、パーキンソン病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、またはその他の障害認知障害を除外


CSF中の可溶性可溶性PDGF受容体-βは、より高いCDRスコアと共に増加し、これは認知機能障害を伴う進行性周皮細胞損傷を示唆。
さらには可溶性PDGF受容体βは、アミロイドβやτ蛋白補正後でも 認知機能障害の重要な予測因子。


HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...