2012年5月28日月曜日

特発性肺線維症:多次元指数と病期システム

A Multidimensional Index and Staging System for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Brett Ley, et. al.
Ann Int Med. May 15, 2012 vol. 156 no. 10 684-691

4つの変数
性別(G)
年齢(A)
2つの生理学的パラメータ(P):FVC、Dlco

連続変数モデル(GAP calculator)と単ポイントスコアシステム(GAP index)は変数として同様 (c-index  70.8、69.3) で、信頼性高い (c-index  69.1 、 68.7)


stage I、II、IIIはGAP indexベースで1年死亡率6%、16%、39%として同定


GAP modelはフォローアップ受診と同様のパフォーマンス (c-index ≥71.9)

COPD包括的ケアマネージメントプログラムで、かえって、入院・死亡率増加?

COPD包括的ケアマネージメントプログラムにて、かえって、入院・死亡率増加?


以前の報告とも異なり、教育管理プログラムがアウトカム悪化と関連するというショッキングな報告。

今後、この種の、COPD教育プログラムに関する報告のプロトコール・研究デザインに関し 、今まで以上に、十分配慮が必要となった。

論文中、プロトコールの問題点や個別症例の病状把握やバイアスなど考察されている。


A Comprehensive Care Management Program to Prevent Chronic Obstructive Pulmonary Disease Hospitalizations
A Randomized, Controlled Trial
Vincent S. Fan, et. al.
Ann. Int. Med. May 15, 2012 vol. 156 no. 10 673-683

4つの個別セッション、1つのグループセッションのCOPD教育、計画化されたケースマネージメント電話応答からなるCCMP(Comprehensive Care Management Program ):包括ケア・マネージメント・プログラム

割り付けはランダム化

プライマリアウトカムはCOPD入院までの期間

介入群 209、対照(通常ケア)群 217

安全性確保のため、データモニタリング委員会にてトライアル計画完遂前に960名登録者中426(44%)は完遂前介入中断

平均250日間

研究終了時、1年累積COPD入院は、介入群 27%、通常ケア群 24%
(ハザード比 1.13[95%CI、0.70-1.80];P=0.62)

全原因死亡 介入群 28 vs 通常ケア群 10(ハザード比[CI、1.46-6.17];P=0.003)

研究中止までのCOPD入院(上)、死亡率(下)

COPDによる死亡が最大:介入群 10 vs 通常ケア群 3(ハザード比、3.60[CI、0.99-13.08]、P=0.053)


結論としては、トライアル早期終了時点での、重症COPDへのCCMPはCOPD関連入院減少させず、CCMP割り付け群で予期せぬ超過死亡増加との関連性が認められ、これは以前の研究トライアルと大きく異なることであった。

同様の行動介入をふくむ臨床トライアルに関し、トライアルデザインについて今後注意が必要。


論文記載の以前の研究とは・・・
Bourbeau J, Julien M, Maltais F, Rouleau M, Beaupre´ A, Be´gin R, et al; Chronic Obstructive Pulmonary Disease axis of the Respiratory Network Fonds de la Recherche en Sante´ du Que´bec. Reduction of hospital utilization in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a disease-specific selfmanagement intervention. Arch Intern Med. 2003;163:585-91. [PMID: 12622605]

Rice KL, Dewan N, Bloomfield HE, Grill J, Schult TM, Nelson DB, et al. Disease management program for chronic obstructive pulmonary disease: a randomized controlled trial. Am J Respir Crit Care Med. 2010;182:890-6. [PMID: 20075385]

脳fMRI研究:プロバイオティック乳酸菌は人間の情緒面への安定をもたらす?

プロバイオティック乳酸菌は人間の情緒面への安定をもたらす?

fMRIによる脳の局在的機能の検討なので、これだけでは、現実的に、どれほどのインパクトを示すかはわからないが・・・


市販プロバイティックヨーグルト が、感情奮起やストレスフルな腸シグナル化に関する脳領域からの消極的反応をもたらす。

Tillisch K, et al. "Modulation of the brain-gut axis after 4-week intervention with a probiotic fermented dairy product" DDW 2012;abstract 589.


情報ソース: http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/DDW/32944

腸微生物が中枢神経シグナリングメカニズムや感情行動へ影響を与えるという報告は以前からあった。それで、ランダム化二重盲検対照平行研究で、精神・メンタル面の問題の無い健康女性(18-50歳)対象研究という次第。


4週間、1日2回 125gのプロバイオティックス

脳活動性を表すblood oxygen level-dependent (BOLD)  と、BOLD反応反応タスク前後のfMRIを検討。

プロバイオティックス群では、胃・腸感覚のprocessingやmodulationに関わる脳領域のBOLD反応抑制がみられた。帯状皮質やPFC、扁桃体では、BOLD差は認めない。
プロバイオティック乳製品群は、島部、 背側線条体 、外側PFCとの扁桃体求心的ネットワークのconnectivity減少を示した。

プロバイオティック使用は、negative刺激からの感情反応への変化 をもたらす。







“善玉”概念・・・・扁桃体での反応低下って、ほんとに良いことだけなのだろうか?
 扁桃体を中心とするネットワークは社会適応性と関連するはず。
もたらされたものは、単に社会的ストレッサーからの感覚鈍麻だったりして・・・




BOLD 効果は, 1990 年にOgawa1) らによって報告された現象で, 現在の脳機能計測の主要な基本原理として知られている. この機序は, 脳活動の局所賦活部における酸素消費量と血流量の変化によって生じる。Oxy-Hb とDeoxy-Hb の存在比率の変化によって生じる信号変化を捉えるものである. 安静時の脳では, 両者の比率は一定であるが, 賦活時には酸素消費が増しDeoxy-Hb が増加する. しかし, 一方では同部に流入する血流量も大幅に増加するため, 結果的に賦活部においてはDeoxy-Hb の相対的減少が生じ組織の横緩和時間が延長し信号上昇をもたらす.
http://www.jsrtkinki.jp/bukai/item/83efac87a7/23.pdf

MIT謹呈:針無し注射器

歯科で使用されている"Syrijet"などの“ jet-injection system”より高品質らしい。この種の針無し注射器は、「ハイジェッタ-」による神経損傷や感染症リスク騒動もあり、医科では普及されてないと思う。

以下のMIT謹呈のは、“針”より、損傷リスクが低いと書かれている・・・おそらく圧力微調整可能で、皮下に限定できることで安全性が担保できるのだろう。

Device may inject a variety of drugs without using needles
Jet-injected drugs could improve patient compliance, reduce accidental needle sticks.
Jennifer Chu, MIT News Office
http://web.mit.edu/newsoffice/2012/needleless-injections-0524.html

a tiny, high-pressure jet of medicine through the skin without the use of a hypodermic needle


皮下注射を用いずに、高圧ジェットで 注入する方法




2012年5月25日金曜日

心血管・全死亡率:肥満単独ではリスク要素とならない! 血圧・血糖・HDL・CRP異常と言った要素が重要

University College London主導研究者 Mark Hamer

 肥満要素単独だけでは、その後のリスクを予測できず、“血圧、血糖、HDL、コレステロール、CRP異常”といったものを代謝的要素と定義し、これらの正常なときは肥満という要素は、その後の余命に影響を与えないという報告。

予防医学上役立てるのなら、体重単体にのみ注目するのでは無く、その他の代謝的要素に目をむけるべき


Metabolically Healthy Obesity and Risk of All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism April 16, 2012 jc.2011-3475
序文: 健康への影響は不明だが、これまでの研究では、adiposity(過脂肪状態)関連心臓代謝的リスク要素のない、肥満発現型を区別してきた。

目的: 代謝的健康な肥満者と心血管疾患・全死亡率との関連性検討

デザイン・セッティング: スコットランド・イングランドの一般地域住居成人たちの死亡記録との前向き関連性の観察的研究

被験者: 22203名の男女  [年齢 54.1 (SD 12.7 歳), 男性 45.2%] ベースラインでCVD病歴無し

介入: 血圧、HDL、糖尿病診断、腹囲、hsCRP≧3 mg/Lに基づき、代謝的健康状態分類 健康(0-1)、不健康(2以上)として、肥満はBMI 30kg/m2以上

主要アウトカム測定: フォロー 平均 7.0±3.0年、原因特異的死亡率検討。
Cox比例ハザードモデルを代謝的健康/肥満カテゴリーと死亡率との関連性を検討

結果: CVD 604名、1868全原因死亡 1868名
健康非肥満登録者と比べ、肥満対比者はCVDリスク増加せず   [ハザード比 (HR) 1.26, 95% 信頼区間 (CI) 0.74–2.13]

しかし、2つ以上の代謝的異常を有する非肥満者(HR 1.59, 95% CI 1.30–1.94)・肥満者 (HR 1.64, 95% CI 1.17–2.30)ではリスク増加。

代謝的不健康肥満被験者は、代謝的健康肥満対比者に比べ、全死亡率リスク増加   (HR 1.72, 95% CI 1.23–2.41)

結論: 代謝的健康肥満者は、7年間のCVDおよび全死亡リスク増加と関連せず
現行の日本で行われているメタボリックシンドローム・肥満対策は果たして、コスト効果的なのだろうか?メタボ検診への疑問というのはかなりの数の有識者が指摘しているが、抜本的に見直そうとする動きは見えてこない。

この国では、国による検診詐欺・メタボ詐欺・・・永遠に続くのだろうか?

ACCOMPLISH解析:非肥満患者は利尿剤を含まないレジメンの方がイベント減少効果的

Weber M, et al "Effect of body mass on cardiovascular outcomes during hypertension treatment: an ACCOMPLISH analysis" ASH 2012; Abstract LB-OR-03.

解説: http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASH/32865

ACCOMPLISH trialの事前設定解析にて、肥満ではない、正常体重から過体重の高血圧症例に対し、利尿剤の存在しないレジメンが良いかもしれない。

正常体重の人では、ACE阻害剤ベナゼプリルとカルシウムチャンネルブロッカーアムロジピンは、ベナゼプリルとヒドロクロロサイアザイドより、有意に心血管イベントを減少 (HR 0.57, P=0.0037)。


非肥満患者のサイアザイドは副事象メカニズムとして、交感神経系・RAS活性増加の可能性がある。

アムロジピンベースの治療の方が、有意に利尿剤ベースの治療に比べ、死亡・卒中・心発作予防的に上回る。





ALLHAT研究結果に基づくガイドラインって・・・一体何だったんだ?

非肥満者では、CCB+ACE阻害剤を主軸に併用療法考えるべきなのだろうか?
高血圧:ARB処方禁止でカナダでは数百ドルの医療費節約・・・日本も是非・・・ 2011年 01月 25日

ドパミン受容体アゴニスト:カベルゴリンによる男性無オルガスム症治療

単一施設の後顧的症例解析なので、エビデンスレベルとして十分とは言えない。


Hsieh TC, et al "Cabergoline for the treatment of male anorgasmia" AUA 2012; Abstract 1495.

解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AUA/32903

ドパミン受容体アゴニストカベルゴリンによる男性無オルガスム症治療


72名中50名でオルガスム改善、50名中26名がカベルゴリン投与中正常オルガスムに改善という結果。多変量解析にて、治療期間・テストステロン補充療法(TRT)がカベルゴリン効果の予測因子となった。
同時TRTは尤度増加 p=0.03 テストステロン剤型との関連認めず。

 無オルガスム症は心理的原因とされるが、前立腺癌放射線切除ごや薬物治療後でも生じる。プロラクチンsparingのないSSRIや古典的精神病薬などはオルガスム機能障害の原因となり得ることは知られていた。

 カベルゴリンは直接プロラクチン分泌細胞刺激作用があるため、後顧的に、2009-2011年の単独男性更年期クリニックでの症例で検討。

 カベルゴリン 週2回投与、プロラクチン、FSH、LH、血中テストステロン評価し、さらにTRT併用例も検討。

治療前、心臓エコーでの弁膜疾患について評価必須とも述べている。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note