2012年11月22日木曜日

米国乳がん検診 :過剰診断 毎年七万名、総数130万名に及ぶ ・・・

 乳がん検診は早期乳がんを発見はするが、その1/3は命に関わらない疾患で過剰診断といわれても仕方が無い。そして、進行癌を減らしたかというと微妙・・・という、あらためてがん検診へ疑念をもたせる報告
 

結論から言えば、乳がん検診マンモグラフィーで、早期乳がんを多く発見してはいるが、進行期となった状態のがん診断数は減少していない。新規乳がんの31%が過剰診断であり、腫瘍そのものが致死的なものかどうかもはっきりしていない。


Effect of Three Decades of Screening Mammography on Breast-Cancer Incidence
Archie Bleyer, M.D., and H. Gilbert Welch, M.D., M.P.H.
N Engl J Med 2012; 367:1998-2005 November 22, 2012
DOI: 10.1056/NEJMoa1206809

【背景】
検診とは、生命を脅かす疾患を治癒ステージである早期の状態を多く発見し、最終的には死亡率減少を目的とするもの。
故に、有効ながん検診プログラムとは、1)早期発見されるがんの数を増やすこと、2)進行期のがん発見の数を減らすことの2つが必要

【方法】
40歳女性での、早期乳がん(非浸潤性乳管がん(いわゆる DCIS) と 局所疾患(localized disease))と進行期乳がん(領域性(regional)と (distant disease))発生率"Surveillance, Epidemiology, and End Results"1976-2008年のトレンドデータ

【結果】
 米国での 検診マンモグラフィー導入は早期乳がん数が2倍となった。
 女性10万人あたり 112 → 234例 (絶対的増加 10万人あたり 122例)
  


同時に、

 進行期乳がんは減少
 女性10万人あたり 102 → 94例(絶対的減少 10万人あたり 8例)

 疾患の広がりは一定と仮説すると 、早期がん診断により、進行癌予防を防いだのはわずか122例中8例のみとなる。

 ホルモン補充療法による一過性のがん超過リスク除外し、40歳未満の発生率傾向補正すると、乳がんの過剰診断と推定される。

たとえば、臨床的症状出現するはずのない疾患を検診でみつけて喜んでる状態など

その数は直近30年間で130万人の米国女性に及ぶ。

 筆者らは、2008年の乳がん過剰診断は7万名超と推定し、全乳がんの31%に相当すると推定している。

【結論】
 早期乳がん数は検診のおかげで増加したが、マンモグラフィー検診による進行癌の発生率眼症させてるか、その効果はほとんど境界的。
その影響は一定ではないが、新規乳がん診断の三分の一近くが過剰診断であり、検診が健康状況の良いときに行われ、乳癌死に影響を与えないという不均衡の存在が示唆される。 



日本の行政は、“検診=進行がん減少・がん死減少”と決め込んで、税金垂れ流しを続けている。やたらと口数が多い中身空っぽの特定の政治家などが確かにうるさいのだろうが、効果に疑問点のある検診を洗い直すべきである。・・・ 子宮頚部がん、下部消化器系がんしかのこらない気がするが・・・


がん検診で過剰診断された方々は、がんといわれたことに悩み、精密検査のため仕事や家事がおろそかになり、家族に心配をかけることを悩み、趣味や仕事に集中できない・・・多大な遺失利益を生じる。 ・・・そういうことがさっぱり分かってない人たちが多すぎる

税金垂れ流しであり、特定業者・医療者だけが仕事にありつくだけのマイナス部分をもつ事業だということも認識しろ! 

2012年11月21日水曜日

糖尿病検診の意義薄い ・・・ 某国は検診むちゃくちゃやってるが・・・

日本の検診システムってのは、地域住民検診・職域検診から“人間ドック”まで非科学性の集大成

臨床的アウトカム改善が証明された検診サービスなど存在せず、提供側がやりたいことやおもいつきをやり、臨床的アウトカムの実証存在しない。

もともと根拠無きメタボ健診は、今、地域によっては、糖尿病検診、CKD検診に化けている。

CKDそのものが否定的な流れなのに・・・
USPSTF勧告:CKD検診ベネフィット・リスク結論づけできず 2012/08/28

慢性腎臓病(CKD) 検診・治 療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ  2012年4月19日



糖尿病検診に関して・・・ハードなアウトカムを指標にすればその意義は薄い


「UKの大規模サンプルでは、リスク増加状態にある2型糖尿病検診は必ずしも全原因死亡率、心血管疾患、糖尿病死亡率減少と相関しない。検診のベネフィットは小さく、限定されるべきである。」

Screening for type 2 diabetes and population mortality over 10 years (ADDITION-Cambridge): a cluster-randomised controlled trial
Rebecca K Simmons et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9855, Pages 1741 - 1748, 17 November 2012


東イングランドでなされたプラグマティック平行群、クラスターランダム化トライアル

強化的多区分治療
・糖尿病診断(n=15)
・検診+国内ガイドラインに従ったルーチン糖尿病ケア(n=13)
・非検診対照群 (n=5)

40-69歳(平均58歳)の20184名、次善評価リスクスコアによる未糖尿病診断高リスク状態対象者

検診は、段階的プログラム
ランダム毛細血管血糖、HbA1c、空腹時毛細血管血糖、確定のためのOGTT

プライマリアウトカムは、全原因死亡率

検診実施は、16047名の高リスク対象者
強化検診プログラムへ参加呼びかけ 15089(94%)、受診 11 737 (73%)、糖尿病診断 466 (3%)
対照 4137

フォローアップ184057人年中(期間中央値 9.6年[IQR 8.9—9.9])

検診群 1532名

対照群 377名

(mortality hazard ratio [HR] 1.06, 95% CI 0.90—1.25)

心血管疾患 (HR 1.02, 95% CI 0.75—1.38)、 がん (1.08, 0.90—1.30)、糖尿病関連死亡率(1.26, 0.75—2.10)

高齢者:降圧剤治療後45日間は股関節骨折リスク4割増加

睡眠薬と違い、特定の薬剤ということではないようだ 

アステラスとベーリンガーの違いは無いってのは冗談だが・・・




降圧剤開始高血圧老人は、開始後45日間で、股関節骨折リスク43%増加する
(頻度相対リスク 1.43;95%信頼区間 1.19-1.72)

The Risk of Hip Fracture After Initiating Antihypertensive Drugs in the Elderl
Debra A. Butt, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-6. doi:10.1001/2013.jamainternmed.469.

降圧治療開始後、起立性低血圧生じ安くなり、めまい、ふらつき、失神さえ生じる。その結果、転倒・骨折リスク増加することが考えられる。

平均年齢81歳(女性 81%)、股関節骨折既往 6%
10年間調査、1463名の大腿骨近位骨折

一般的に、すべての降圧剤種類で、IRR 1.33-1.58
ACE阻害剤 1.53 95%CI 1.12-2.10
β遮断剤 1.58 95%CI 1.01-2.48

ACE阻害剤(カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル)は、初期投与低血圧が記載され、静脈拡張に伴う静脈プーリングが著明となり、心拍出量低下、過度の低血圧を生じるものと思われる。

β遮断剤はアゴニスト・アンタゴニストともβ受容体数減少のため、高齢者にはもともと有効性乏しい。しかしながら、副作用は生じ安い。

日本で頻用されているARB、CCBに関しては検討が乏しい。



医家としては、高齢者の降圧剤治療開始時、転倒リスクに言及しておくことが必要

マイスリーは、転倒の独立した危険因子 ・・・ 即刻対処必要

後顧的コホートだが、マイスリー使用は転倒の独立した増悪要素であるという報告で、臨床上重大な報告。

Zolpidem is independently associated with increased risk of inpatient falls†
Bhanu Prakash Kolla et. al.
Journal of Hospital Medicine Early View (Online Version of Record published before inclusion in an issue)

ゾルピデムの処方発行され、薬剤受領した患者の転倒発生率
処方発行されたが受領してない患者に比べ、有意に高率
(n = 4962 vs n = 11,358) (3.04% vs 0.71%; P < 0.001)


ゾルピデム使用は年齢・性別・不眠・せん妄・ゾルピデム投与量・Charlson comorbidity index、Hendrich's fall risk score、視覚異常、歩行異常、認知症/認知障害補正後も、転倒リスクと相関存在  (補正オッズ比 [OR] 4.37, 95% 信頼区間 [CI] = 3.34–5.76; P < 0.001)

さらに、転倒経験ありのゾルピデム服用患者は、年齢・オピオイド・抗うつ・鎮静抗うつ薬、向精神薬、ベンゾジアゼピン、抗ヒスタミン使用に関して、他の転倒成人入院患者と差は認めなかった・・・すなわち、ゾルピデム使用自体が転倒リスク。


また、アステラスか・・・

“もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)”・“中途覚醒時記憶障害”に関しての情報提供はあったが、転倒リスクの情報提供はないはず。

この会社は、この製品を、「筋弛緩作用が少なく、依存性が軽減された」高齢者に望ましい睡眠薬と宣伝していた前科がある。その宣伝文句に従い、全国の医師たちは多くの高齢者に処方しているはず・・・ その後、転倒リスクが高いという安全性情報を我々医師たちは聞かされてない。

ウェブ上でも、マイスリーと転倒増加に関する情報存在する。“マイスリー 転倒”でググればすぐ分かる。安全性情報を隠匿しているといわれてもしかたないのではないか・・・

この会社の前身の“藤沢・・・”に、SSRIと上部消化管出血リスクに関する情報を 求めた際、その場でそのような事実は無いとMRが断言した。このような会社なのである。

SMART療法のいんちきプロパガンダと同様の悪行と私は思うのだが・・・

喘息:アクションプランなしのケアは臨床的アウトカム、医師患者関係の質悪化につながる 2012/11/09

呼吸器系吸入薬剤営業:“医師は、製薬会社のパートタイム営業マンであってはならない” 2012/11/19


まぁ こういうことって、アステラスだけでは無く、すべての製薬会社に共通することですけどね・・・

2012年11月20日火曜日

胸水量簡易CT判断法

胸水が軽度なのか、中等度なのか、大量なのか、迅速に、判断するには鎖骨線上での最大長を4分割して判断すれば良い・・・とのこと。

救急外来とかかなり便利だろう・・・


A New Simple Method for Estimating Pleural Effusion Size on Computed TomographyMatthew P. Moy1, et. al.
CHEST. 2012 doi:10.1378/chest.12-1292


CTによる軽度、中等、大量胸水分類は、鎖骨中央線での前後(AP)四分位と最大AP深度長での評価がベスト。
意思決定ルールに従うとすると、第1AP四分位なら軽度、第2AP四分位なら中等度、第3・第4四分位なら大量と判断すればよい

ボーダーラインの場合、AP深度長の軽度・中等度区分上限はそれぞれ3cm、10cm



定量評価項目
(1) 圧迫性無気肺の程度(無、亜区域、区域、多区域、葉、多葉)
“葉性"圧迫性無気肺には、複数の葉の区域性無気肺の組み合わせも含み、この場合は“葉性"圧迫性無気肺と同等とする

(2)最大AP(前後)四分位、 胸水の見られる前方最大四分位として測定
(図 1)胸水最大量部位片側横隔膜側の上方軸性イメージ


(3)解剖学的ランドマーク利用最大頭尾長(同側下部肺静脈、横行右肺動脈、気管分岐部、大動脈弓、肺尖部)
(4)major fissureの胸水 (5) 縦隔シフト、 (6) 主たる肺底部位置

定量特性
(1) 完全無気肺区域数
(2) 頭尾部長(cm)
(3) 片側横隔膜上方軸性イメージで、最大AP深度長(cm)図3
; (a) 鎖骨中央線、 (b) 最大AP dimension


血圧; コーヒーの影響についてのシステマティック・レビュー&メタアナリシス

 カフェインの急性の影響はあるが、長期的影響のエビデンスは存在しないらしい


最近、コーヒーを健康面で肯定的に捉える方向性が目立つ
コーヒー:飲料で総死亡減少・各原因死亡減少 ;喫煙にて効果消去 2012/3/17

カフェインの短期的昇圧反応への危惧がもたげるわけで、コーヒー関連業者には援軍となる報告になる ・・・ でも、報告検討数が少なく、眉につばつける必要がありそう


The effect of coffee on blood pressure and cardiovascular disease in hypertensive individuals: a systematic review and meta-analysis
Arthur Eumann Mesas, et. al.
Am J Clin Nutr October 2011 vol. 94 no. 4 1113-1126

急性の影響(http://ajcn.nutrition.org/content/94/4/1113/T1.expansion.html)として、カフェイン200-300mgで、平均的に、収縮期 8.1mmHg(95% CI, 5.7 - 10.6mmHg)、拡張期 5.7 mmHg (95% CI, 4.1 - 7.4 mmHg)増加

3時間以上継続する



2週間での長期研究では、脱カフェインコーヒーと比較しても増加は認めない

収縮期血圧への影響


拡張期血圧への影響



【結論】
高血圧患者において、カフェイン摂取は急性の血圧増加反応(3時間以上)を認める
しかし、コーヒー長期摂取と血圧増加の関連性、習慣性コーヒー摂取と心血管疾患リスク増加の関連性いずれのエビデンスもそれを支持しない。



カフェインとエストロゲンの関係 ;人種的差 ;緑茶は人種横断的にエストロゲン増加へ 2012/01/27

労作性呼吸苦:中枢性オピオイドの効果? 末梢性オピオイド否定研究

オピオイド受容体は、広く、中枢神経(CNS)系及び、細気管支・肺胞壁を含む末梢性感覚神経終末に広く発現する。
息切れ時、内在性オピオイドにより中枢性、末梢性へ調整的影響を与えるかは不明。
βエンドルフィンの血中増加が息切れに影響を与えるか、気道系の末梢性オピオイド受容体結合の推定的効果を検討したもの

このことが分かってなかったから・・・最初何のことかと思った
ケトコナゾールはコルチゾール合成抑制する。この薬剤のHPA系抑制効果は、HPA系を活性化し、corticotrophin-releasing hormoneは、POMC遊離刺激する視床下部から分泌される。POMC-由来ペプチドは、βエンドルフィンやACTHの血中分泌を促すよう、その機能を貫く。さらに、ケトコナゾールによる視床下部ニューロンからCNSへの内因性オピオイド遊離はされない。

中枢性と末梢性オピオイド刺激を区分け出来る薬理作用を利用した実験とのこと


Effect of Increased Blood Levels of Beta-endorphin on Perception of Breathlessness
Donald A. Mahler1, et. al.
CHEST. 2012 doi:10.1378/chest.12-1541
COPD20名で、βエンドルフィン、ACTH測定
ケトコナゾールとプラシーボを経口投与し、吸気付加抵抗( resistive load breathing  :LB)を加えたときの毎分息切れ程度を評価。

コルチゾール合成阻害することで、ケトコナゾールは有意にβエンドルフィン、ACTH増加をもたらした。
RLB中の息切れ強度・不快度数、耐容時間数の介入群差は認めず


内在性オピオイドに影響を与えない、ケトコナゾールによる末梢性オピオイド活性化では、労作性呼吸困難軽減効果認めない。このことは、オピオイドの呼吸困難軽減効果は、中枢性オピオイドの作用が主と考える。ただ、末梢性オピオイドへ与える影響が、この程度のオピオイドの変化量では起きなかった可能性もある。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note