2018年2月22日木曜日

肥満減量:健康低脂肪食 vs 健康低炭水化物食 ・・・ ガチンコ対決

健康低脂肪食 vs 健康低炭水化物食 ・・・ ガチンコ対決 勝者はいなかった

ひとつの食事療法のみが常に他の食事法より優秀とは言えない

結論
健康的な低脂肪食(HLF) vs 健康的な低炭水化物食(HLC)の比較
- 5.3 kg vs -6.0 kgでほぼ同等で有意差無し


3つの遺伝子(PPARG, ADRB2,  FABP2)からの3SNPs
low-fat-responsive、low-carbohydrate responsive genotypeとして被検者検討
仮説としては、インスリン抵抗性のあるgenotypeで低炭水化物食の有意性ありそうなものだが差を認めなかった 

いろいろ示唆に富むRCTである



"Effect of low-fat vs low-carbohydrate diet on 12-month weight loss in overweight adults and the association with genotype pattern or insulin secretion: The DIETFITS randomized clinical trial"
Gardner C, et al
JAMA 2018; DOI: 10.1001/jama.2018.0245.
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2673150


Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success (DIETFITS)ランダム化トライアル:18-50歳、糖尿病なし、 509名、BMI 28-40


 The dietary interventions were described previously.10
StantonMV,RobinsonJL,KirkpatrickSM,etal. DIETFITS study (Diet Intervention Examining The Factors Interacting With Treatment Success): study design and methods. Contemp Clin Trials. 2017;53: 151-161.
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28027950


主要ゴールは、脂肪摂取と炭水化物摂取の差を最大となるようするも、治療強度・食事・飲料の質の高さは維持することとした

開始8週間被検者は総脂肪摂取、消化性炭水化物を 20 g/dまで減らす
食事減の最大優先は、脂肪・炭水化物摂取減としてカロリーコンテンツとしての特異的食品と食品群とした、例えば、食事オイル、脂肪性肉、全脂肪乳、ナッツを健康低脂肪職群では減量。シリアル、グレイン、米、デンプン性野菜、豆を健康低炭水化物食では減少指せる。
脂肪もしくは炭水化物を摂取最小レベル到達と考えられるまで、週毎に緩徐に脂肪、炭水化物を加減する。カロリー制限の明確なインストラクションは提示しない
両群とも、1)野菜摂取は最大、2)付加糖、穀粉、トランス型脂肪は最小限、3)加工食品、エネルギー源の高い、調理済み品は極力最小


HLF食、HLC食に無作為割り付け後、管理栄養教育者を中心に22回のセッション

農産物を購入し、加工食品を購入しないようにして、空腹感や飢餓を与えないように工夫、でなければ、維持は難しい
研究終了時も、ダイエットを終了するのではなく、いずれかの食事法を選択するよう指導した。


インスリン分泌とgenotypeパターンを全被検者評価

fat感受性高い(コホート中40%)、炭水化物感受性高い(コホート中30%)、何れも感受性ない、以上の3つのSNPsの組み合わせ

HLF群では、low-fat genotype  42.6%、low-carbohydrate genotype 27.2%
HLC群では、low-fate genotype  37.5%、 low-carbohydrate genotype 31.9%


12ヶ月後、平均主要栄養素は、HFL、HLCでそれぞれ、炭水化物 48% vs 30%、蛋白 21% vs 23%、脂肪 29% vs 45%

両食事法とも、BMI、体脂肪比率、ウェスト径、脂質、血圧、インスリン・血糖値 12ヶ月後改善。しかし、HLC群は、HLF群に比べHDLコレステロール値、TG値改善


12ヶ月間の減量と、食事-genotype相関なし、食事-インスリン分泌(INS-3)相関無し (P = .20 ,  P= .47)


2つの食事群横断的にevenに副事象・重大副事象イベントあり








減量効果は、食事そのものよりコンプライアンスに依存するという既報と一致した。
一方、 genotypeにマッチすることで減容の差を有すると筆者等は考えていたとのこと





表を一部日本語訳してみた





  • BMIは有意差無いが、若干 健康的低炭水化物食の方が低下傾向とみるが・・・論文的には有意差無し
  • 脂質特性はやはり脂質制限の方がやはり低下
  • 呼吸交換比はベースライン群間差は有意でないが、ランダム化後はどのタイミングでも低脂肪食群より低炭水化物食群で低い(炭水化物は呼吸商 1.0、脂質は 0.7なので遵守性の指標でもある)







健康的な配慮ある、低炭水化物ダイエットと低脂肪食 さほど違いは無いそうだが

論文結論と異なり、脂質特性など微妙に差がでるな印象







2018年2月21日水曜日

重度飲酒は早年発症認知症リスク

フランスのコホート後顧的研究で、重度飲酒は全ての型の認知症にとって重大なリスク要素であると示唆報告。65歳未満の認知症、すなわち、早年発症認知症の5万7千名のうち、アルコール関連認知症は39%に及び、18%はアルコール使用障害



Contribution of alcohol use disorders to the burden of dementia in France 2008–13: a nationwide retrospective cohort study
Michaël Schwarzinger, et al. for the show QalyDays Study Group
The Lancet Public Health
DOI: https://doi.org/10.1016/S2468-2667(18)30022-7
www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(18)30022-7/fulltext


フランスの後顧的国内コホート 2008-2013年
プライマリ暴露はアルコール使用障害と主要アウトカムは認知症(ICD, 10 退院時診断コード)

2008-2013年フランス病院退院 31,624,156成人中、認知症診断 1,109,343名を検討対象

早年発症認知症 57,353(5.2%)、多くは定義でアルコール関連(22,338 [38.9%)あるいは、アルコール使用障害の付加的診断(10,115 [17.6%])

アルコール使用障害は認知症発症の修正可能なリスク要素として強力で、補正ハザード比 女性 3.34 (95% CI, 3.28 - 3.4)、男性 3.36 (3.31 - 3.41)

アルコール使用障害は男女とも認知症発症と、認知症症例定義(アルツハイマー病を含む)の高齢者研究群でも感度分析でも相関認める (補正ハザード比 1.7)

アルコール使用は、認知症発症の他のリスク要素全てに有意相関 p<0.0001




考えてみたら、認知症は高齢化社会において最大の問題と言いながら、修正しうるリスク要素である、アルコール使用は放置状況している。 認知症に関わる行政コスト増大が見込まれるなら、酒税を大幅アップし、飲酒者に行動変容をもたらす行政努力をすべきだと思う。


アジア人はそもそもアセトアルデヒド脱水素酵素欠落確率高く、フランス人よりはるかにリスキーなはずである

紅麹米サプリメントと免疫性壊死性ミオパチー


免疫性壊死性ミオパチーと食事性スタチン成分



"Immune-mediated necrotizing myopathy and dietary sources of statins"
Barbacki A, et al
Ann Intern Med 2018; doi:10.7326/L17-0620.
annals.org/aim/article-abstract/2673071/immune-mediated-necrotizing-myopathy-dietary-sources-statins



ネット記事
https://www.medpagetoday.com/cardiology/atherosclerosis/71263


自明の如く、スタチンのターゲットである酵素は、HMG-CoA reductaseだが、スタチン使用歴がなく、スタチン成分を含有するred yeast riceサプリメントも服用歴のない女性で、この酵素への抗体を有する免疫性壊死性ミオパチーの症例報告


2週以上進行性重篤筋力低下57歳女性、筋電図、筋生検検査。EUROIMMUN assayで筋関連抗体陽性、最終的に、抗HMG-CoA reductase抗体ELISA陽性


“Camargue red rice”を2カップ以上摂食する習慣があり、これには植物ステロール(phytosterol) 約2g含有、HMG-CoA Reductase阻害によるスタチン類似メカニズムが寄与するもの

仮説だが、スタチン作用のある植物ステロールも、免疫性壊死性ミオパチーの原因になるのではないかと・・・


症例は、プレドニゾロンと月毎の免疫グロブリン治療で、筋力低下・筋痛は改善
嚥下困難は1年後も残存し、ピューレ食必要な状況とのこと





示唆に富む症例報告


red riceと書かれているが、“red yeast rice”では無いかと思う。
「赤米」とは異なる、紅麹米のことではないかと・・・



以前から、「紅麹米サプリ」については、スタチン代用として注意の喚起がなされている

e.g. medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201011/517378.html

。日本国内でもモナコリンKを含む紅麹米由来または紅麹由来のサプリメントが多数市販されており、製品の状況は米国と同様と考えられる。


2018年2月20日火曜日

IL-27による結核性胸膜炎診断 ・・・胸水ADA さようなら?

優秀すぎるほどの信頼性



Diagnostic accuracy of interleukin 27 for tuberculous pleural effusion: two prospective studies and one meta-analysis
Wang W, et al. 
Thorax 2017;0:1–8. doi:10.1136/thoraxjnl-2016-209718


結核性胸膜炎におけるIL-27濃度指標の診断の正確性


北京コホート カットオフ 591.4 ng/L、曲線下面積、感度、特異度、PPV、NPVはそれぞれ  0.983 (95% CI 0.947 to 0.997)、 96.1% (86.5% to 99.5%)、 99.0% (94.7% to 100%)、 98.0 (89.4 to 99.9) 、 98.1 (93.3 to 99.8)



武漢コホートでも優秀な診断正確性確認





パイプ、葉巻でも紙巻きタバコ同様 死亡リスク増加

パイプや葉巻など、シガレット以外での喫煙リスクの情報限られている
序文での記載
葉巻使用者が米国では2000年から2015年の間に85.2%増加、1人当たりでも56.8%増加し、パイプ・タバコでは556.5%増加し、1人当たりでは455.7%と増加している、タバコ消費量全体で38.7%減少し、1人当たりでは48.1%と減少しているのにもかかわらずである。

National Cancer Institute(1998)の報告では、葉巻では口腔・喉頭・食道・肺・膵がんとの関連性指摘、シガー喫煙は心疾患や肺疾患リスク、口腔がんや食道癌のリスクはシガレットのリスクと同等と結論


実際、「葉巻やパイプタバコはシガレットより健康への悪影響少ない」 ・「酸性アルカリ性の違いで体に吸収しない」など根拠のない情報がネットにあふれている



この調査は・・・


National Longitudinal Mortality Study
長軸的住民ベース米国国内代表的健康調査とCurrent Population Survey、Tobacco Use Supplemenからのタバコ使用情報、死亡率はNational Death Index.から情報を得た
1985年研究開始時のベースラインたばこ使用情報、2011年末までの死亡率フォローアップ





Association of Cigarette, Cigar, and Pipe Use With Mortality Risk in the US Population
Carol H. Christensen, et al.
JAMA Intern Med. Published online February 19, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2017.8625


暴露:いずれかのタバコ((little cigar, cigarillos, large cigar)、従来からあるパイプ、シガレットの現行・既往使用、非喫煙。現行1日当たり、あるいは日常的非使用情報も収集
年齢、性別、人種/民族、教育、調査年にて推定補正


分析357,420名のうち、現行、既往喫煙は男性 79.3% - 98.0% 、性差均等に喫煙者分割(男性では現行連日喫煙 46%)、フォローアップ中 51,150死
現行のシガレットのみ喫煙者 (ハザード比 [HR], 1.98; 95% CI, 1.93-2.02)、現行のシガーのみ喫煙者s (HR, 1.20; 95% CI, 1.03-1.38) は喫煙経験無しに比べ全死亡率増加



現行シガレット喫煙のみ (HR, 4.06; 95% CI, 3.84-4.29)、現行シガー喫煙のみ(HR, 1.61; 95% CI, 1.11-2.32)、現行パイプ喫煙のみs (HR, 1.58; 95% CI, 1.05-2.38) ではタバコ関連がん(膀胱、食道、喉頭、肺、口腔、膵)死亡リスク増加


現行非連日喫煙者では、統計学的有意相関は、肺癌  (HR, 6.24; 95% CI, 5.17-7.54)、口腔がん (HR, 4.62; 95% CI, 1.84-11.58)、循環器疾患死  (HR, 1.43; 95% CI, 1.30-1.57)、心血管死 (HR, 1.24; 95% CI, 1.11-1.39)、脳血管 (卒中)死 (HR, 1.39; 95% CI, 1.12-1.74)、COPD (HR, 7.66; 95% CI, 6.09-9.64) で、連日喫煙者と同様




2018年2月19日月曜日

"引きこもり”診断のバイオマーカーって言い過ぎでは?


"Social withdrawal"は、用語であり病名ではないという批判もあるようだが、実際病態生理は未だ不明で、治療法も確立してない。

これこれ採血をしたら、「引きこもり」である採血バイオマーカーが存在すれば、診断や社会的介入、ひょっとしたら薬物治療の開発に役立つのかもしれない


ニュースで・・・

「引きこもりを診断する」血液バイオマーカーを発見、九大などの国際研究
news.livedoor.com/article/detail/14318814/
診断バイオーマーカーと紹介されている

本当?

と、思いきや 原文・論文の結論に

「 This is the first report showing possible blood biomarkers for hikikomori, and opens the door to clarify the underlying biological pathophysiology of hikikomori.」
 と書いてあとして、診断バイオマーカーとは書かれてないが、バイオマーカーの可能性と記述してある



論文: Blood biomarkers of Hikikomori, a severe social withdrawal syndrome
Kohei Hayakawa et al.
Scientific Reportsvolume 8, Article number: 2884 (2018)
doi:10.1038/s41598-018-21260-w


“引きこもり”では、対照(健康)と比べ、男女とも、avoidant personality score (回避パーソナリティ スコア)高値、男性では 尿酸低値、女性ではLDL-C低値


回避パーソナリティ特性と、血中バイオマーカー、引きこもり関連心理的特性、trust game評価による行動特性の相関性あり


回避パーソナリティ特性は、男性ではHDL-C、尿酸と逆相関、女性ではFDP、hsCRPと正相関








診断バイオマーカーというより、とっかかりのバイオマーカーですよ程度だと思うのだが・・・


診断バイオマーカーというなら、AU/ROC解析などで、感度・特異度など示してほしいものだ

2018年2月17日土曜日

米国:今年流行のインフルエンザA(H3N2):ワクチン有効性 25%



米国内では今年、インフルエンザA(H3N2型)が、インフルエンザ感染の70%を占める
このウィルス種に対する暫定的ワクチン有効性はわずか25%に過ぎない( 25% (95% CI 13%-36%))と米国CDC
https://www.medpagetoday.com/infectiousdisease/uritheflu/71181


他の種類は・・・
インフルエンザBでは 42% (95% CI 25%-56%)
インフルエンザH1N1では  67% (95% CI 54%-76%) 
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6706a2.htm

有効性低下についての解説
多くの要素が関与していて、そもそもワクチン有効性は年齢や既感染、ワクチン接種歴により異なり、若年児ではH3N2のワクチン有効性高く、ワクチンがこの世代では流行中のH3N2ウィルスへ防御有効性高いことが示されている。
卵内培養中ワクチンウィルス血液凝固蛋白の遺伝子変化がワクチン免疫反応不良へと変わった可能性があり、ヒト血清データでは、流行中細胞培養A(H3N2)の抑制効果減少が示唆された。ワクチン種によりA(H3N2)へのワクチン有効性に、卵ベースと、卵以外ベースの製造で、ばらつき認めた。




日本のワクチン メーカー毎の vaccine efficacyは現実的のどうなっているのだろう?

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...