2018年3月30日金曜日

COPD?: 正常下限値判断気道閉塞の臨床的インパクト

日本人スパイロメトリ参照値
LMS法による日本人のスパイロメトリー新基準値
2014年10月
日本呼吸器学会肺生理専門委員会
https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=72


深く考えなければ若年者COPD診断に正常下限参照値を用い管理すべきってはなしになってしまいそうだが・・・
若年・中年FEV/FVC低下は必ずしも外因性気管支炎・肺気腫を意味するわけでは無いと思う。解釈困難な部分があると思う。
除外診断されてないCOPDとして解釈すれば変なことになる

FEV1/FVC 正常下限未満症例、すなわち、今回の報告での「気流制限過少診断」症例の予後として、「早期死亡、心不全、肺炎」が上げられており、COPDでのプライマリエンドポイント指標としてよく用いられる急性増悪に関しての予後影響は認めてない・・・というところが、固定比判断古典的COPDとは異なる病態とも考えられるから慎重な議論が必要と思う。(製薬会社に媚びをうるお偉いさんたちがミスリードしないことを願うばかり)





Young and middle-aged adults with airflow limitation according to lower limit of normal but not fixed ratio have high morbidity and poor survival: a population-based prospective cohort study
Yunus Çolak,  et al.
European Respiratory Journal 2018 51: 1702681; DOI: 10.1183/13993003.02681-2017
http://erj.ersjournals.com/content/51/3/1702681

気流制限(airflow limitation:AFL)定義上固定比を用いることで高齢者での過剰診断、若年者での過少診断をもたらすリスクが懸念されている。しかし、若年未診断AFLの予後の報告は少ない。仮説として若年AFLの過少診断部分が不良予後と関連するか?


Copenhagen General Population Study 95288名、20−100歳
AFL無し(FEV1/FVC 0.70以上、LLN(正常下限)以上) n=78779, 83%
AFL過少診断(FEV1/FVC 0.7以上、LLN未満) n=1056, 1%
AFL過剰診断(FEV1/FVC 0.7未満、LLN以上) n=3088, 3%
AFL (FEV1/FVC 0.7未満、LLN未満) n=12365, 13%

急性悪化、肺炎、虚血性心疾患、心不全、全原因死亡評価、フォローアップ期間中央値 6.0年間(range : 2日-11年間)

AFL無し群比較
過少診断群では年齢・性別補正ハザード比 肺炎 HR 2.7 (95% CI: 1.7 - 4.5)、 心不全 2.3 ( 1.2 - 4.5)、全原因死亡率 3.1 (95% CI :  2.1- 4.6)

LLNによるAFL判断により若年・中年では、固定比判断と違い、呼吸・心血管合併症、早期死亡増加を示す



2018年3月29日木曜日

50代運動開始は心不全リスク防御的

中年期に定期的運動を始めることは、左室駆出保持型心不全リスクに防御的
運動は、心血管機能とともに構造をも改善する


Reversing the Cardiac Effects of Sedentary Aging in Middle Age—A Randomized Controlled Trial: Implications For Heart Failure Prevention
Erin J. Howden, et al.
circ.ahajournals.org/content/early/2018/01/03/CIRCULATIONAHA.117.030617


中年期運動不足(poor fitness)は心不全、特に左室駆出率保持型心不全において、リスク要素

平均年齢 53±5歳、健康、運動不足、48%男性の61名被検者
2年間運動トレーニング n=34 vs 注意制御下 n=27


完遂53名、運動セッションadherenceは 88±11%
Vo2max増加 18% 増加
・運動トレーニング群: 前  29.0±4.8 → 後 34.4±6.4
・対照群: 前  29.5±5.3 → 後 28.7±5.4 p < 0.001


左室 stiffness定数 (左室拡張期圧容積関連拡張期部分、左室拡張期壁間圧容積関連の定数) 減少
 ・運動トレーニング群:: 前 0.072±0.037 →  0.051±0.0268  P=0.0018
 ・対照群: 前 t 0.0635±0.026 → 0.062±0.031 P=0.83 変化無し


運動で左室拡張期終末容積増加するも肺毛細血管楔入圧は不変、一定充満圧に対する一回駆出量増加を意味する

非弁膜症性心房細動:COPDは心血管重大イベント独立予後要素

この報告が気になって仕方が無い
COPD:LABA and/or LAMA投与開始後30日目に心血管イベント増加し、その後ベースラインまで減少する
http://kaigyoi.blogspot.jp/2018/01/copdlaba-andor-lama30.html

LABA/LAMA処方開始後発作性心房細動を来した症例経験ある
ベースラインにNVAF(非弁膜症性心房細動)のある患者ではより注意が必要だろうと直感はしていた。

以下の報告は、COPD診療に影響を与えるべき報告だと思う
COPDと診断したからには心電図で心房細動や他虚血所見確認をする必要はやはりあるだろうと・・・


Major adverse cardiovascular events in non-valvular atrial fibrillation with chronic obstructive pulmonary disease: the ARAPACIS study
Valeria Raparelli et al.
Internal and Emergency Medicine pp 1–10
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11739-018-1835-9

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の死亡率リスク増加させる
COPDの重大心血管イベント(MACD)との関連性データは不明瞭
研究目的は3年間フォローアップに於けるNVAF中のMACE発生へのCOPDの予測的要素推定
Atrial Fibrillation Registry for Ankle-Brachial Index Prevalence Assessment-Collaborative Italian Study (ARAPACIS)コホートに於けるCOPDの以下の臨床的エンドポイントへのインパクト評価:心血管死、致死性・非致死性心筋梗塞・卒中、心血管死亡、全原因死


2027名のNVAF患者において、COPD患者では男性、高齢、血栓塞栓高リスク
36ヶ月フォローアップ期間中、MACE 186名、心血管死 n=72、心筋梗塞 n=52 、卒中 n=57
重大アウトカム(卒中/TIA、心筋梗塞、血管死、全死亡)を中心的判断下した

Kaplan–Meier curveでCOPDでのNVAF患者はMACE、心血管死、全原因死亡にて高リスク (p < 0.001, p < 0.001,(p < 0.001)

Cox比例ハザードモデルで、COPDはMACE (Hazard ratio [HR] 1.77, 95% 信頼区間 [CI] 1.20–2.61; p = 0.004)、心血管死 (HR 2.73, 95% CI 1.76–4.23; p < 0.0001) 、全死亡(HR 2.16, 95% CI 1.48–3.16; p < 0.0001)の独立予測要素

結論:NVAF患者において、COPDは、長期観察に於ける、MACE、心血管死、全原因死の独立因子である。

2018年3月28日水曜日

前向き介入:運動による歯周疾患改善効果確認、食事介入では改善確認できず

日本からの報告

運動介入と食事介入で差を認めたのは興味深い。


Exercise habituation is effective for improvement of periodontal disease status: a prospective intervention study
Omori S, et al.
Therapeutics and Clinical Risk Management 2018:14 565–574
DOI https://doi.org/10.2147/TCRM.S153397
https://www.dovepress.com/exercise-habituation-is-effective-for-improvement-of-periodontal-disea-peer-reviewed-article-TCRM

12週間の前向き介入、71名の肥満男性

介入運動 and/or 食事介入

50名:運動介入
21名:食事介入

運動介入後
PPD(Probing pocket depth=歯周ポケット) 4mm以上歯数比率 14.4% → 5.6% p< 0.001
歯周出血(BOP : bleedin on probing)指数  39.8% → 14.4% p< 0.001
Tannerella forsythia と Treponema denticola コピー数 有意減少 p=0.001

T, denticolaのコピー数とPPD 4mm以上歯数比率は相関 p=0.003、BOD指数とも相関 p=0.010

また、T. denticolaと体重の正相関 p=0.008、LDLコレステロール正相関 p=0.049 空腹時インスリン p=0.041

しかし、食事介入群は優位に T. denticolaを減少(p=0.007)するも、歯周病関連細菌数とPPD、BOPの相関認めず

機序として、肝機能改善効果、免疫関与細胞活性化、樹状細胞などの活性化、腹部脂肪細胞減少による影響、レプチン局所性炎症性サイトカイン減少が議論されているようだ

原文フリーテキストあり

2018年3月24日土曜日

喘息:SMART療法を褒めまくるシステマティック・レビュー&メタアナリシス

同じような -2.8%の絶対リスク差なのに、こちらでは、その意義を強調する、Sobierajiら

参考:ICS治療未コントロール喘息:add-onとしてのLAMAの意義
有用性はあるが、絶対的価値に疑問を呈する筆者の意見を付記している報告


こちらの報告では
「SMART was associated with better clinical outcomes than conventional approaches in patients with persistent asthma.」
・・・と、ダブルスタンダード

若年者 -12.0%を強調する宣伝活動を展開するのだろう
高齢者では -2.8%だからな! > アストラゼネカの野郎ども!


"Association on inhaled corticosteroids and long-acting B-agonists as controller and quick relief therap wth exacerbations and symptom control in persistent asthma: a systematic review and meta-analysis"
Sobieraj DM, et al
JAMA 2018; DOI: 10.1001/jama.2018.2769.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2675737

腹立つから訳さない(気が変わったら訳すつもり)


そもそも、シムビコートっては薬価無茶苦茶高すぎる

シムビコートタービュヘイラー60吸入 アストラゼネカ 2290801G2025 5877.7円/キット 処方箋医薬品
2×2吸入 1万2千円弱
2×4吸入 2万4千円弱

一方、「フルティフォーム」2×2吸入 1ヶ月分で 6千円強、「レルベア200」1×1吸入 も同様

2倍の薬価差の価値があるかどうか・・・よく考えるべき 
新しい薬価基準でシムビコート据え置き、他は安くなるそうだからこの差は開く


日本国内のコスト効果の解析が必要だ(断言)


さらに、SMARTという代物で、吸入回数莫大化することが多く、賦形剤を多く吸うことで嗄声や咽頭痛など局所副作用懸念される



Bio製剤でコストをやたらと強調しつづける喘息診療の指導者が、なぜかシムビコート一辺倒という・・・矛盾

ICS治療未コントロール喘息:add-onとしてのLAMAの意義

有用性はあるが、絶対的価値に疑問を呈する筆者の意見を付記している報告





ICS単独でコントロール不能での以下の比較

  • LAMA vs Placebo as Add-on Therapy to Inhaled Corticosteroids
  • LAMA vs Other Controllers as Add-on Therapy to Inhaled Corticosteroids
  • Triple Therapy vs Inhaled Corticosteroids and LABA


意義:長時間作用性ムスカリン拮抗剤(LAMA)は持続性喘息管理において吸入ステロイド(ICS)の重要なアジュバント付加治療薬剤
目的:システマティックレビュー・メタアナリシス;無コントロール、持続性喘息患者;
ICSへのadd-on治療としてLAMA vs プラシーボ vs 他コントローラ薬剤の関連する効果、ICS+長時間作用性βアゴニスト(LABA)にadd-on治療(triple therapy) vs ICS+LABAの比較

データソース  MEDLINE, EMBASE, Cochrane databases, and clinical trial registries (earliest date through November 28, 2017).

研究選択  Two reviewers selected randomized clinical trials or observational studies evaluating a LAMA vs placebo or vs another controller as an add-on therapy to inhaled corticosteroids or triple therapy vs inhaled corticosteroids and LABA in patients with uncontrolled, persistent asthma reporting on an outcome of interest.

データ抽出・作成 Meta-analyses using a random-effects model was conducted to calculate risk ratios (RRs), risk differences (RDs), and mean differences (MDs) with corresponding 95% CIs. Citation screening, data abstraction, risk assessment, and strength-of-evidence grading were completed by 2 independent reviewers.

主要アウトカム・測定項目 喘息急性増悪


1326記録、15RCT(N=7122名)
多くのトライアルは、ICS(吸入ステロイド)に、「LAMA追加 vs プラシーボ」 あるいは「LAMA 追加vs LABA追加」

ICSへの「LAMA追加 vs プラシーボ追加」比較では、前者のステロイド全身投与追加必要な急性増悪減少 (RR, 0.67 [95% CI, 0.48 to 0.92]; RD, −0.02 [95% CI, −0.04 to 0.00])

ICSへの「LABA追加 vs LAMA追加」比較では急性増悪リスク改善と有意な関連性ない (RR, 0.87 [95% CI, 0.53 to 1.42]; RD, 0.00 [95% CI, −0.02 to 0.02])、また他の対象アウトカムも同様

 トリプル治療は、対 「ICS+LABA」比較にて急性増悪リスク改善と有意関連性無し  (RR, 0.84 [95% CI, 0.57 to 1.22]; RD, −0.01 [95% CI, −0.08 to 0.07])

 結論としては、吸入ステロイド(ICS)にadd-on治療としてLAMAを使用することは、プラシーボ追加に比べ喘息急性増悪の絶対リスク減少をもたらすが、LABA追加より大幅に減少するとは言えない。また、トリプル治療は急性増悪リスク減少効果認めなかった


"Association of inhaled corticosteroids and long-acting muscarinic antagonists with asthma control in patients with uncontrolled, persistent asthma: a systematic review and meta-analysis"
Sobieraj DM, et al
JAMA 2018; DOI: 10.1001/jama.2018.2757.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2675736

2018年3月23日金曜日

非アルコール性脂肪肝炎治療:FGN19人工的変異薬剤 第2相

かなり有望らしい非アルコール性脂肪肝炎治療薬



NGM282:ヒト・ホルモンFGF19の non-tumorigenic, engineered variant
www.ngmbio.com/pipeline/ngm282/





NGM282 for treatment of non-alcoholic steatohepatitis: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial
Prof Stephen A Harrison, et al.
The Lancet, Volume 391, No. 10126, p1174–1185, 24 March 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)30474-4


18-75歳、生検にてNASH診断確定例
糖尿病状態層別、皮下 NGM282 3mg or 6mg , placebo割り付け 1:1:1
プライマリエンドポイントは12週後の脂肪肝量の絶対値変化

オーストラリアとUSAで、82名ランダム割り付け NGM282 3mg (n=27) , NGM282 (n=28) , プラシーボ (n=27)
12週時点でのベースラインからの肝臓脂肪量 5%以上減少:3mg量 20 (74%)、 6mg量 22(79%)  (相対リスク 10.0 [95% CI 2.6–38.7] vs 11.4 [3.0–43.8],; 各々p< 0.001
<0 .0001="" 2="" both="" comparisons="" for="" nbsp="" p="" placebo="" versus="">
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<0 .0001="" 2="" both="" comparisons="" for="" nbsp="" p="" placebo="" versus="">
全体として、副作用1つ以上発生率は76(93%)で、多くは grade 1 1 (55 [67%])で、grade 3以上 (6%) で少ない。最頻副作用(10%以上)は注射部位反応(28 [34%])、下痢 27 [33%]、腹痛 (15 [18%])、吐気 (14 [17%])
NGM282群で副作用有意に増加



noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note