2018年6月8日金曜日

90歳超老人前向き研究:収縮期血圧と死亡率のU字型関連性

この報告の"take-home message"ってなんだろう


90歳越え程度の超高齢者では、収縮期血圧値の死亡率への影響はU字型で、高値なら心血管死亡率リスク増加、低値なら非血管系死亡率リスク増加という報告なのだが・・・

“心血管リスクのある90代老人はやはり降圧治療しなきゃならないが、心血管疾患リスクの少ない90代老人で、frailtyリスクやがん・消耗状態では過度な降圧治療は控えるべき”とでもなるのだろうか?


Revisiting the association of blood pressure with mortality in oldest old people in China: community based, longitudinal prospective study
BMJ 2018; 361 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k2158 (Published 05 June 2018)
Cite this as: BMJ 2018;361:k2158



Chinese Longitudinal Healthy Longevity Survey,
平均年齢 92.1歳、 4658名、住民ベース長軸前向き研究
3年間フォローアップによる全原因死亡率と原因別死亡率解析

3年間フォローアップ中1997名死亡


死亡率は、 収縮期血圧、平均動脈圧、脈圧と、U字型相関; 最小死亡リスク値はそれぞれ、 143.5 mmHg、 101 mmHg、 66 mmHg

寄与要素補正後、収縮期血圧のみU字型相関維持  (最小死亡リスク相当値 129 mm Hg)


収縮期血圧 129 mmHgに比べ、107 mmHg未満まで全死亡率リスク減少  1.47 (95% 信頼区間 1.01 to 2.17) → 1.08 (1.01 to 1.17))、 154 mmHgより高値の場合増加 (1.08 (1.01 to 1.17)  → 1.27 (1.02 to 1.58))




原因別死亡率解析だと、中間レンジの 107-154に比べ、高値(154 mm Hg超)では、心血管死亡率増加 (補正ハザード比 1.51 (95% 信頼区間 1.12 to 2.02))、低値では非心血管死亡率リスク増加y (1.58 (1.26 to 1.98))

U字型相関は感度分析、サブグループ解析でも相関性維持





なにかと話題の血圧測定法だが、従来のやり方
Measurement and calculation of blood pressure
After participants had rested for at least five minutes, research assistants took two measurements of blood pressure on the right arm by mercury sphygmomanometer (upper arm type; Yuyue, Jiangsu, China). Korotkoff phase I was designated for the systolic blood pressure values, phase V for the diastolic blood pressure values. For bedbound participants, blood pressure measurements were obtained in a recumbent position. For further analyses, the mean value was calculated with the two measurements (pulse pressure=systolic blood pressure−diastolic blood pressure; mean arterial pressure=(systolic blood pressure+(2×diastolic blood pressure))÷3





血圧と低値関連する死亡原因関連記述
The most likely explanation for increased mortality risk in participants with lower systolic blood pressure was chronic disease—eg, cardiovascular disease (cardiac failure or ischaemic heart disease), cancer or other wasting diseases, or poor functional status or frailty.

癌と消耗性疾患、機能障害、frailtyが関連
The lower values of systolic blood pressure observed in our participants could be due to increasing vascular frailty, or related to deteriorating health with ageing.  
vascular frailtyという記述も・・・






メンデル・ランダム化研究:教育期間長いほど近視になる

当たり前なのだろうが、こういうことをリアルに実証する必要がある。

メンデル・ランダム化トライアルは種々問題あるが、操作変数としての遺伝変異を選べば、コストのかからない科学的証明として有用



Bidirectional, two sample mendelian randomisation study
2方向、2サンプル、メンデル・ランダム化(MR)研究
近視と教育年数をproxyとして、近視関連遺伝子変異を操作変数として検討


Education and myopia: assessing the direction of causality by mendelian randomisation
BMJ 2018; 361 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k2022 (Published 06 June 2018)

観察研究データの従来法回帰分析で教育機関長いほど近視屈折誤差と相関 ;−0.18 dioptres/y (95% 信頼区間 −0.19 to −0.17; P<2e sup="">-16
)MR解析で真のcausal-effectはさらに強化された r: −0.27 dioptres/y (−0.37 to −0.17; P=4e-8)

一方、近視が教育へ影響を与えることを示唆するエビデンスはほぼない;  −0.008 y/dioptre, 95% 信頼区間 −0.041 to 0.025, P=0.6)


英国では、16歳まで教育義務がある(キーステージは3歳から始まり 0)

"the cumulative effect of more years in education on refractive error means that a university graduate from the United Kingdom with 17 years of education would, on average, be at least −1 dioptre more myopic than someone who left school at age 16 (with 12 years of education)"

12年間の教育期間≒16歳で卒業に比べ、17歳時点の教育段階では、屈折異常の累積的悪影響としては、最低 -1 kioptre以上(・・という意味か?)

故に運転上メガネが必要なレベル


両眼近視でない私などは・・・勉強不足の証拠なのだろう

2018年6月7日木曜日

COPD、心血管オーバーラップへのβ遮断薬の重要性

LABA/LAMA併用時心血管疾患合併の評価と、対処法としてのβ遮断の重要性示唆


Combining Dual Bronchodilation and β-Blockade in Patients With an Overlap Between COPD and Cardiovascular Diseases
CHEST Vol. 153, No 6, 1289-1291
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.01.032

COPD患者に於ける長時間作用性気管支拡張剤の開発により有益な薬剤が出現し、スピオルト出現以降臨床研究も様々報告があったとは言え、心血管イベントに関わる循環器系薬剤に比べ重度アウトカムの有益性検討十分とは言えない。長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性ムスカリニック拮抗剤(LAMA)はその組み合わせで各々の単剤よりより大きな気管支拡張作用が得られる。ただ心臓への影響の可能性が示唆され、LABAまたはLAMAの新規使用により治療開始後30日内にCVDリスクが1.5倍増加する報告がある。
COPDと心血管疾患(CVD)の合併も多く、危惧されるところであるが、LABA/LAMA併用で、air-trapping減弱し、心臓への拡張機能障害改善をもたらす可能性もある。
 long-acting muscarinic antagonist (LAMA)/long-acting β2-agonist (LABA) fixed-dose combinations (FDCs)メタアナリシス (CHEST 2016Volume 149, Issue 5, Pages 1181–1196)では安定期COPD治療で優れた心血管安全性特性が示され、単剤に比べCVリスク保護作用を示唆。

心房細動刺激を防ぐため、慢性虚血性心疾患、高血圧症、特に心不全を有するCOPD患者ではβ遮断剤が魅力的オプションとなる。血中アドレナリンはG蛋白-coupled receptor kinase(GRK2)介在リン酸化にて、β2-arrestin結合・受容体intermalizationをもたらす。これの抑制にβ遮断薬が有用。
実際、β2agonistとβ1blockerの同時投与が心リモデリングへ影響(Br J Pharmacol. 2015 Jul;172(14):3627-37.)。インダカテロールとメトプロロール併用はHFラットの高速サイズを縮小、心拍・血圧低下、駆出率低下改善、左室収縮期・拡張期内径の減少、 β1-AR mRNA expression減少、cardiac cyclic AMP 値低下、 GRK2 expression減少、カテコラミン値、ANP、BNP、collagen I mRNA値低下

これらの知見は、β1-AR活性化により心筋細胞肥大、アポトーシス、心筋壊死、心筋リモデリング活性を心不全早期に生じるためクリティカルな話である



”カルベジロール” の禁忌:気管支喘息・・・


故に、メインテート(その後発)しか使えない

2018年6月6日水曜日

ビタミン・ミネラルサプリメントは心血管疾患予防に無益、葉酸だけちょっと例外

葉酸のみ卒中リスク減少あるかもしれないが、他の一般的なビタミン、ミネラルサプリメントは心血管疾患予防には役立たない

この知見から、本来自然なはずの野菜など植物由来食品に重きを置くヘルシーダイエットを強く推奨すべきと筆者等

米国民の半数52%がサプリメントを利用しているが、有益性を認めないという事実を強く、深く受け止めなければならない




179のRCTに基づくシステマティック・レビュー/メタアナリシス

マルチビタミン、ビタミンD、カルシウム、ビタミンCのサプリメント主要成分の何れにも明確優有意な心血管疾患アウトカム、全原因死亡率へのベネフィット認めず
ビタミンDにおいては、43RCTにおいて、有害性/有益性ともに認めず
包括的リスク比 包括的死亡率 0.99 (95% 信頼区間 0.95 - 1.03 ; P = 0.58)で、heterogeneityなく、エビデンスとして高品質であった。同様に、CVD全体へのインパクトも認めない( RR 0.95, 95% CI 0.86 - 1.05 P=0.31)

葉酸のみが、heterogeneityなく、中等度品質のエビデンスとして、卒中リスク減少 (RR 0.80 , 95% CI 0.69-0.93; p=0.003)で、China Stroke Primary Prevention Trial (CSPPT)の知見に一致



 Supplemental Vitamins and Minerals for CVD Prevention and Treatment
Journal of the American College of Cardiology (JACC) Volume 71, Issue 22, June 2018
DOI: 10.1016/j.jacc.2018.04.020








昔っからだが、調理法紹介などでなぜか「この食品に含まれる***は***に効果があり、栄養満点です」ってのがあるが、あれもなぁ
***という成分の宣伝→サプリメントの販促の一環じゃないかと疑いたくなる



小児喘息:BMI、性差にて喘息入院発生頻度異なる

男児では痩せ型が、女児では肥満型で喘息入院確率高まるという国家規模のコペンハーゲン研究報告

喘息罹患率とは別の話のようで・・・


BMI at school age and incident asthma admissions in early adulthood: a prospective study of 310,211 children
Ulrik CS,  et al.
Clinical Epidemiology Volume 10 25 May 2018 Vol. 2018:10 p 605 - 612
Published 25 May 2018 Volume 2018:10 Pages 605—612
DOI https://doi.org/10.2147/CLEP.S156310


Copenhagen School Health Records Register 前向き研究 310,211名の就学児
身長体重年次、一般化BMI z-スコアにて4分位カテゴライズ
7−13歳BMIと喘息入院リスクの関連性

フォローアップ4,708,607人年、喘息入院発生 1,813
小児期BMIと喘息入院とは非線型相関

小児期BMI最大カテゴリでは女性において、13歳時点喘息入院増加:最大ハザード比:HR 1.3 (95% CI, 1.16-1.55) 
一方、男性においては、最小BMIカテゴリにおいて、12歳時点最大の喘息入院HR 1.24 (95%CI, 1.03-1.51)

女性において、7歳→13歳でのBMI増加は、不変BMI対照に比べ喘息入院増加  (HR 1.28, 95% CI 1.10–1.50)



性別による影響は対照的なのが興味深い

今までの報告でもばらつきがあり、Bnedettiら(Nutr Hosp. 2015;32(6):2540–2548.)は、思春期横断研究で、過体重・腹部肥満と喘息罹病の正相関、特に男児において喘息リスク多いと報告。Luらの報告(J Pediatr. 2016;176:36–42.)では女児では過体重・肥満での喘息頻度増加示すが、男児では示さないなど。
Schatzら( J Allergy Clin Immunol Pract. 2015;3(4):560–565.e1.)は、BMI高値だと喘息急性増悪リスク増加を示す報告あり、Tayら( Respirology. 2016;21(8):1384–1390.)も重症喘息に同様傾向を報告。


性差と重症度・重症イベントなど組み合わせで色々複雑なようだ


2018年6月5日火曜日

夜間照明下睡眠はインスリン抵抗を生じる

単純な研究で、クリアカットの結論

Light exposure during sleep may increase insulin resistance
Chronic overnight light exposure could have long-term effects on metabolic function
Date: June 4, 2018
Source: American Academy of Sleep Medicine
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/06/180604172736.htm


Summary:
予備的新規研究によると、夜間のライト暴露は、代謝機能へ悪影響を与える。仮説としてメタボリックアウトカムへ不利益性の影響を与える



Dark-Dark (DD) or Dark-Light (DL) groupにランダム化

night1では < 3 lux
night2では 頭上室内灯100 lux


終夜ポリソムノグラフィー・メラトニン時間毎サンプリング

経口ぶどう糖耐糖能検査を朝行い比較

HOMA評価インスリン抵抗
DD群比較すると、DL群でインスリン抵抗性高く P<0.05

主にインスリン値の増加によるもの




Dark Modeがインスリン抵抗性低下に役立つかは不明
https://www.engadget.com/2018/06/04/macos-mojave-includes-dark-mode/

2型糖尿病:メトホルミンは eGFR 30未満のみ注意

eGFR <30 min="" ml="" sup="">30 mL/min./1.73 m2未満でのみ、メトホルミン関連アシドーシス存在するという結論
<30 min="" ml="" sup="">
<30 min="" ml="" sup="">故に、T2DMにおいては eGFR 30以上では使用安全性担保された?<30 30="">
<30 min="" ml="" sup="">
<30 min="" ml="" sup="">
<30 min="" ml="" sup="">年齢平均 45-59では 72.2(10.7)歳 eGFR 30-44では74.6歳(11.3)歳、 30未満では74.2(12.2)歳に対して、全体では 60.4(15.5)歳なので、eGFR低下例は高齢者に偏っている。一応、demographic 補正でも結論は変わらないので、問題ないのだが・・・<30 min="" ml="" sup="">


日本のガイドラインによる年齢によるカットは妥当かどうかもあわせ議論されるべきだろう!

<30 min="" ml="" sup="">




Association of Metformin Use With Risk of Lactic Acidosis Across the Range of Kidney Function
A Community-Based Cohort Study
JAMA Intern Med. Published online June 4, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.0292


Geisinger Health Systemの糖尿病 75,413名住民ベースのコホート
メトホルミン新規使用 67,578名、SU剤新規 14,439

一次コホート(n=75,413) 平均年齢 60.4(15.5)歳、女性 51%

フォローアップ中央値 5.7年間(IQR 2.5-9.9年間)、アシドーシス入院発生 2335

(メトホルミン外)代替糖尿病管理比較にて、時間依存メトホルミン使用は、

  • 包括的には、イベントとしてはアシドーシス発生と相関せず  (adjusted hazard ratio [HR], 0.98; 95% CI, 0.89-1.08) 

また、

  • eGFR 45 to 59 mL/min/1.73 m2 (adjusted HR, 1.16; 95% CI, 0.95-1.41) 
  • eGFR 30 to 44 mL/min/1.73 m2 (adjusted HR, 1.09; 95% CI, 0.83-1.44)


一方、メトホルミン治療はeGFR <30 min="" ml="" sup="">30 mL/min./1.73 m2未満でアシドーシス発生リスク増加 (adjusted HR, 2.07; 95% CI, 1.33-3.22)


  • 新規メトホルミン治療使用者を新規SU剤使用と比較して結果は同様 adjusted HR for eGFR 30-44 mL/min/1.73 m2, 0.77; 95% CI, 0.29-2.05)
  • propensity-matched cohortでも同様 (adjusted HR for eGFR 30-44 mL/min/1.73 m2, 0.71; 95% CI, 0.45-1.12)
  • ベースラインインスリン治療例を除外時も同様  (adjusted HR for eGFR 30-44 mL/min/1.73 m2, 1.16; 95% CI, 0.87-1.57)
  • replication cohort でも同様(adjusted HR for eGFR 30-44 mL/min/1.73 m2, 0.86; 95% CI, 0.37-2.01)




青の部分が気になるのだが・・・




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