25%の人が自分の睡眠に満足せず、昼間の生活に10-15%が影響を及ぼす不眠と答えており、不眠症の診断クライテリアに合致するのは6-10%と紹介文献に書かれている。
短期的な不眠に関して薬物治療は効果あるし喜ばれるのだろうが、慢性不眠の可能性、あるいは慢性不眠への移行の可能性がある。
慢性不眠を念頭に置いて、不眠の診療は行うべき。
ただ、その慢性不眠の定義すら・・・はっきりしてないという指摘もあるのだが・・・
慢性不眠の総説的まとめ・・・
Chronic insomnia
Charles M Morin et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 20 January 2012 doi:10.1016/S0140-6736(11)60750-2
不眠症は臨床においてかなり頻度の高い訴えであり、単独あるいは、他の医学的・精神的病態の合併症として存在する。それ自身で治療が必要な場合もある。
様々な治療オプションのなかで、benzodiazepine-receptor agonists (BzRAs) と cognitive-behavioural therapy (CBT) が経験的エビデンスとして最良なものとして支持されている。
BzRAs は、利用されやすく、短期的治療には有効だが、長期的有効性のエビデンスは乏しく、多くの睡眠薬は副作用の可能性がある。
CBTは多くの臨床的状況で利用されがたいが、アクセス、サービス供給は革新的技術、電話コンサルテーション、グループ治療、自助アプローチなどで安易化されてきてる。
CBTと薬物治療併用でアウトカム最適化される可能性がある。ただ、これらのアプローチをintegrateするベストな方法を臨床実践をガイドするエビデンスは乏しい。
薬物治療選択ガイドライン
(Clinical guideline for the evaluation and management of chronic insomnia in adults.;J Clin Sleep Med. 2008 Oct 15;4(5):487-504.)
- 短期・中間持続型ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA) or ramelteon
- 代替:BzRA or ramelteon 第一選択役の反応で選択(作用持続時間不十分ならより半減期の長いものを選択など)
- 鎮静作用を有する低用量抗うつ薬 sedating low-dose antidepressant うつ症状のある人、治療失敗など
- BzRAと抗うつ薬の併用 併用療法によりそれぞれの薬剤の投与量を抑え毒性低下
- tiagabin、pregabalin、quetiapin、olanzapineなどの有効性エビデンス不十分
- アルコール、chloral hydrate、非バルビタール系非ベンゾジアゼピン系薬剤、たとえばmeprobamateなどは毒性、乱用・依存のため推奨されない。
- 抗ヒスタミンは有効性データ不十分なのと副作用のため使用すべきでない
- OTC薬としてのvalerianやmelatoninも一般には安全性欠如・有効性データ欠如のため推奨されない
「”睡眠薬”は強いから”安定剤”ください」 という患者の存在や、依存性への移行の可能性の高いデパスなど希望する患者の存在が気になる。早急に、強いレベルで、不眠症薬物使用の適正化のための現場医師への指導が必要と思う。
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