Talk Therapy of Limited Use for Psychosis
http://www.medpagetoday.com/Psychiatry/GeneralPsychiatry/32059
精神疾患高リスク状態のクライアントに会話に基づく治療をいくら行っても精神疾患への移行を抑えるには、限界がある、という結論の報告。
精神疾患高リスク群
1)一過性精神疾患症状、 短期限定間欠的精神症状、軽微精神症状(subclinical)
2)特性:リスク要素、機能障害の存在、近親家族歴精神疾患既往、統合失調症パーソナリティー特性
これら、高リスク対象者に対し、認知療法介入することで、精神疾患への移行、症状比率軽減につながるか?・・・ 答えは No !
ただ、症状重症度軽減効果は認めるかもしれない。
"Early detection and intervention evaluation for people at risk of psychosis: Multisite randomized controlled trial"
Morrison AP, et al
BMJ 2012; DOI: 10.1136/bmj.e2233.
認知療法は、統合失調症などの重篤な病態リスク似ある若年者の精神症状悪化予防に役立つか?
5つのUKの様々なサービスでの、288名、14-35歳(平均 20.7 SD 4.3歳)精神疾患高リスク対象者で、144名の認知行動療法+メンタル状態モニタリング vs 144名の メンタル状態モニタリングに分け、12ヶ月~最大24ヶ月フォロー
プライマリ・アウトカムは、高リスク・メンタル状態包括的評価:comprehensive assessment of at risk mental states (CAARMS) 精神症スコアの2分割、重度精神症状・distressのordinary score
セカンダリ・アウトカムは、感情機能・QOL
精神疾患への不連続時間生存モデルITT解析
精神疾患推移は予想より低く 23/288:8%、2群に有意差認めず (比例オッズ比 0.73, 95% 信頼区間 0.32 ~ 1.68)
症状・distressの変化、 セカンダリアウトカムは、random effects regression ( analysis of covariance)解析し、siteやベースライン症状で補正。
精神疾患症状由来のdistressに差は認めず (12ヶ月時点推定差分 −3.00, 95% 信頼区間−6.95 ~ 0.94)
しかし、重症度は、認知療法割り付け群で有意に減少 (12ヶ月時点での推定差分e −3.67, −6.71 ~ −0.64, P=0.018)
精神科医、心理カウンセラーや心療内科の医者までもがテレビコメンテーターとして鎮座し、事件事故があると、解説をすることがある。彼らが万能な力を持ち、精神疾患を予知し、予防できるのなら、彼らの意見を尊重重視する意味があるのかもしれない。しかし、それは現実とは異なる。にもかかわらず、コメンテーターの中には、自分たちの力の限界を無視した傲慢な意見が多く見られる。天下国家の病理も解明する力を持っていると誤解している精神科医も存在するらしい (e.g. 政治 と 精神医学 :”権力者や政治家について分析するのも精神医学の役割”? 2012年1月28日土曜日)。
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