2012年5月16日水曜日

COPD:鍼で、運動耐容能、労作性呼吸苦改善

 労作性呼吸困難(DOE)はCOPDの主な症状で、コントロールは困難。標準薬物治療を受けているCOPD患者に対して、鍼がプラシーボよりDOE改善効果として優れているかの検討。

 12週後、6分間歩行試験後のBorgスケールスコアは、リアル鍼はプラシーボ鍼に比べ有意に改善(共役変数解析によるベースラインからの平均[SD] 差、-3.6[1.9] vs 0.4[1.2]、 共役変数解析による群間平均差、 −3.58; 95% CI, −4.27 to −2.90)

リアル鍼を受けたCOPD患者は、6分間歩行距離の改善を認め、運動耐用性改善、DOEの改善を示唆する

A Randomized, Placebo-Controlled Trial of Acupuncture in Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)The COPD-Acupuncture Trial (CAT)
Arch Intern Med. 2012;():1-9.


Acupuncture points used. The acupuncture points were selected according to traditional Chinese medicine theory: (1) LU1 (Zhongfu) and (2) LU9 (Taiyuan) in the lung meridian; (3) LI18 (Futu) in the large intestine meridian; (4) CV4 (Guanyuan) and (5) CV12 (Zhongwan) in the conception vessel; (6) ST36 (Zusanli) in the stomach meridian; (7) KI3 (Taixi) in the kidney meridian; (8) GB12 (Wangu) in the gallbladder meridian; and (9) BL13 (Feishu), (10) BL20 (Pishu), and (11) BL23 (Shenshu) in the bladder meridian.




日本の研究なので、逐語訳は控えた。

COPD患者の労作性呼吸苦に対して、鍼治療が有効である可能性がある。
 疼痛緩和に関しては、鍼の局所的効果の作用:adenosine A1受容体の関与 2010年 05月 31日など一歩踏み込んだ報告があるが、呼吸苦に関しても同様にメカニズムへの踏み込みが必要だろう。
上記論文では、メカニズムとして、呼吸補助筋・呼吸筋の疲労・疼痛、惹起される発痛・虚血、効果として筋弛緩・胸郭可動性の改善などが記載されている。

ただ、この種の研究は出版バイアスや偽プラシーボの議論がつきまとうので、追試、補強が必要だろう。

参照:
・ 鍼を評価する事の難しさ:プラセボ効果を掘り下げたシステマティックレビュー 2009年 01月 30日

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