システマティック・レビュー:ω3多価不飽和脂肪酸は死亡率・心血管系リスク減少と関連せず H24/09/12
ω-3(n-3)多価不飽和脂肪酸欠乏は、感情・認知機能障害と関連するという報告、すべてではないが、n-3 PUFAのサプリメントで感情疾患、統合失調症、注意欠陥過活動性障害にプライマリあるいは補完的な役割の期待が出来るという報告が有り、メカニズム上も様々考察されている。
DHA/EPAの血中濃度を高め、線条体モノアミン輸送小胞のDTBZ(dihydrotetrabenzine)の結合能( BPND)を高めるため、ワーキングメモリー増強的に働くという仮説がなされてたが、否定的となった。この経由では無く、炎症抑制作用、 シグナル増強作用などで説明がなされると著者らは説明。
Improved Working Memory but No Effect on Striatal Vesicular Monoamine Transporter Type 2 after Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acid Supplementation.
Narendran R, et. al.
PLoS ONE 7(10): e46832. doi:10.1371/journal.pone.0046832
ω-3多価不飽和脂肪酸(n-3PUFA)不足食は、線条体モノアミン輸送小胞(striatal vesicular monoamine transporter type 2:VMAT2)密度及びアンフェタミン誘導ドパミン遊離測定によるドパミン神経伝達を低下することが齧歯類の研究から示唆されている。
これは、魚脂食事性サプリメントがVMAT2のavailabilityを増加させ、ドパミン蓄積・遊離を促進し、working memoryなどのドパミン依存てき認知機能向上させる可能性がある。
ヒト、PETでこのメカニズムを調査、n-3 PUFAサプリメント投与後のVMAT2のavailabilityを健康者で測定
健康若年成人で、n-3 PUFAサプリメント使用前・後6ヶ月で、PET([11C]-(+)-α-dihydrotetrabenzine (DTBZ) )検査
前後のworking memory task(n-back)と赤血球膜脂肪酸構成分析
赤血球分析により、DHA、EPAサプリメント後増加。
n-3サプリメント投与後の線条体やその区画の[11C]-(+)-α-dihydrotetrabenzine (DTBZ) 結合能(BPND)の変化は有意でなかった。
n-3 PUFAによる赤血球中DHA・EPA値の変化と、 線条体[11C]DTBZ BPND の変化に関連性認めず
しかし、サプリメント投与前赤血球中DHA値は、ベースラインのn-back test(i.e., adjusted hit rate, AHR on 3-back)のパフォーマンス予測要素 (y = 0.19+0.07, r2 = 0.55, p = 0.009).
加え、AHRパフォーマンスは、3-back試験でのサプリメント改善が見られた (pre 0.65±0.27, post 0.80±0.15, p = 0.04).
n-back performanceとDHA値の相関は、高DHA値が認知機能パフォーマンス改善と相関するという報告と一致したものである
しかし、[11C]DTBZ BPNDの変化が無いことは、これでは、n-3 PUFAの認知機能改善のメカニズムを説明出来ないということである。
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