2012年10月25日木曜日

プラシーボ効果に関わるCOMT遺伝子多形型 ・・・ プラシーボ効果の現れやすい一群存在

プラシーボ効果研究において、ドパミンをプラシーボ反応の重要な調査対象とされてきている。

ドパミンtyrosin hydroxylaseとdobamine decarboxylaseによりチロシンから合成され、合成されると、前シナプス小胞で蓄積、その後、シナプス間隙の脱分極により放出される。ドパミンはdopamine reuptake transporter (DAT)でシナプスから消失、monoamine oxidases A and B, or catechol-O-methyltransferase (COMT)で分解される。再取り込みは、脳線条体、前頭前野でのドパミン・クリアランスのメカニズムに主たる役割を果たす。ここはDATがやや少なく、COMTが決定的役割を果たすため、COMTの重要性が注目されてる。


その中で、COMT val1158met多形型は、プラシーボ反応の強力なバイオマーカーである。この多形型により、プラシーボ効果がどうか変わるかが興味の対象となり、予想通りの結果が得られた。

 
Catechol-O-Methyltransferase val158met Polymorphism Predicts Placebo Effect in Irritable Bowel Syndrome
Kathryn T. Hall et. al.
PLoS ONE 7(10): e48135. doi:10.1371/journal.pone.0048135


プラシーボレスポンダーである患者を同定することは、臨床実践上・トライアルデザイン上重要な問題。
Catechol-O-methyltransferase (COMT)は、報酬、疼痛、記憶、学習上のプラシーボ効果と関連するドパミンcatabolism上重要な役割を果たす酵素

COMTの機能的多形型val158metがプラシーボ効果の予測要素となると仮定し、104名の過敏性腸症候群としてランダム化対照化トライアルのサブセットで検討したもの

この研究の3治療アーム
・ no-treatment (“waitlist”):ウェイトリスト
・ placebo treatment alone (“limited”) :プラシーボ治療のみ
・ placebo treatment “augmented” with a supportive patient-health care provider interaction; 医療施設介入をプラスしたプラシーボ治療

プライマリアウトカムは、治療3週後のベースラインからのIBS症状スケール( IBS-Symptom Severity Scale (IBS-SSS) )

回帰モデルにて、COMT val1158metのメチオニン allele数はIBS-SSS変化として評価されたプラシーボ反応と線形に相関。

augmented placebo armにおいて、met/met homozygoteに、最も強力なプラシーボ反応が生じた。

プラシーボ治療限定群では、met/metの効果少ない。そして、waitlist対照では効果認めず


実際の治療上、プラシーボ効果って有益だと思うのだけど、プラシーボ効果って治療オプションとして倫理上の問題に遭遇する。 逃げとして、催眠術とか気功とか・・・ 使えるのかもしれないが・・・


暗示効果に係りやすい人は、ひょっとして、詐欺商売にも引っかかりやすいのかもしれない。


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