2012年11月28日水曜日

左室駆出率温存型心不全:RAS拮抗治療の根拠は不充分

駆出率温存型心不全(Heart failure with preserved ejection fraction (HFPEF))
駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction (HFREF))



駆出率がさほど落ちてない心不全に対する治療戦略はまだ確定的ではない


以下の報告の結論は、心不全(駆出率温存型)の治療検討において、ACE阻害剤、ARB(RAS拮抗剤)の3つのランダム化トライアルの検討によれば、いづれも、プライマリエンドポイントに達せず、選択バイアスがあり、検知パワー不足と判断された。

 Association Between Use of Renin-Angiotensin System Antagonists and Mortality in Patients With Heart Failure and Preserved Ejection Fraction
Lars H. Lund, et. al.
JAMA. 2012;308(20):2108-2117. doi:10.1001/jama.2012.14785.
2000-2011年のSwedish Heart Failure Registry(64病院・84外来クリニック 41 791 登録患者)の前向き検討

HFPEF 16216名(駆出率 40%以上、平均[SD]年齢 75[11]歳、女性 46%)のうち、RAS拮抗剤治療(n=12,543)、非治療(3,573)

RAS拮抗剤使用Propensity scoreは43変数を導びいた。

RAS拮抗剤と全死亡率の相関を、1:1の年齢・propensity scoreマッチ化コホートと、連続共変数としてのpropensity scoreで補正した全体コホートで評価

一致性評価のため、HFPEF患者をRAS拮抗剤投与量に従い、年齢・propensity scoreマッチ化解析し、HFREF(EF<40 br="br">
主要アウトカムは、全死亡率


マッチ化HFPEFコホートで、1年生存率は、治療群 77%(95%CI、75-78%)、 非治療群 72%(95%CI 70-73%)
ハザード比  0.91 (95% CI, 0.85-0.98; P = .008)

全HFPEFコホートでは、1年間粗生存率は、治療群 86% (95% CI, 86%-87%)、 非治療群  69% (95% CI, 68%-71%)
propensity score–補正 HR  0.90 (95% CI, 0.85-0.96; P = .001)


HFPEF投与量解析
目標投与量50%以上の場合の、対無治療比較HRは、 0.85 (95% CI, 0.78-0.83) (P < .001)
目標投与量50%未満の場合の、対無治療比較HRは、 0.94 (95% CI, 0.87-1.02) (P = .14)

年齢・propensity scoreマッチ化HFREF解析で、HRは 0.80 (95% CI, 0.74-0.86; P < .001)

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