2012年11月30日金曜日

初回妊娠時「妊娠高血圧腎症」(×子癇前症)であっても次回妊娠時そのリスクは増加しない

pre-eclampsiaを「妊娠高血圧腎症」と表現し、「子癇前症」と表現しなければ、以下の内科医のような発言がテレビで発せられることはなかったのかもしれない。重篤な事態が生じた後だけを問題にするのでは無く、妊娠時の管理学習の問題が注目されたはず。

おおたわ史恵「奈良 大淀病院妊婦死亡は産科医のミス」
http://www.youtube.com/watch?v=23UtzBF-rzw

参考:http://ameblo.jp/med/entry-10019702050.html

「妊娠高血圧腎症」となれば、妊娠時の管理が重要であったことは、無能な内科医でも自明となるから・・・

テレビ出演多く行っているようだが、反省するところはないと思ってるのだろうか?



以下のノルウェーの統計はほぼ全数統計なので信頼性が高い。

初回「妊娠高血圧腎症」女性の心血管死は2回目以降の出産時にそのリスクが有意に増加することはなさそうだ。


初回「妊娠高血圧腎症」を経験した女性に、希望が持てる報告である。


Cardiovascular mortality after pre-eclampsia in one child mothers: prospective, population based cohort study
BMJ 2012; 345 doi: (Published 27 November 2012)
http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7677
Cite this as: BMJ 2012;345:e7677
前向き住民ベースコホート(ノルウェーの Medical Birth Registry )

の836,147名の1967-2001年初回単胎児出産ノルウェー人女性をフォロー
2009年までに約23,000名死亡、うち、3891名は心血管死亡


pre-eclampsia(○「妊娠高血圧腎症」、×子癇前症)と心血管死亡との相関を、Cox比例ハザードモデルに基づくハザードモデル推定
ハザード比は、妊娠教育(3カテゴリー)、初回出産母体年齢、初回出産年で補正


早産・妊娠高血圧腎症に伴う、女性に於ける心血管死亡率は、単一児出産後9.2%、2児以上出産時は1.1%と減少。
満期産妊娠高血圧腎症では、その死亡率は、2.8%、1.1%となる。

初回妊娠時妊娠高血圧腎症を有する女性では、それを有さない場合に比べ、心血管死亡高率 (満期産・妊娠時高血圧腎症後では補正ハザード比 1.6 (95% 信頼区間 1.4 to 2.0) 、早産・妊娠時高血圧腎症後は3.7 (2.7 to 4.8)

生涯一度のみの妊娠女性において、心血管リスク増加は、多児子供をもつ女性より、心血管疾患死亡リスクは増加(満期産・妊娠時高血圧腎症後 3.4 (2.6 to 4.6) ; 早産・妊娠時高血圧腎症後 9.4 (6.5 to 13.7))

心血管死リスクは、次の子供をもうけようとする、初回妊娠時高血圧腎症女性においては、心血管死亡リスクは軽度増加のみ (満期産・妊娠時高血圧腎症 1.5 (1.2 to 2.0) ; 早期産・妊娠時高血圧腎症 2.4 (1.5 to 3.9)

再発・妊娠時高血圧腎症に関するエビデンスは少ない。

初回妊娠時高血圧腎症を経験した、2回以上の出産女性の全原因死亡率は増加せず、早期産・妊娠時高血圧腎症例でも同様  (1.1 (0.87 to 1.14))


診療の基本 A Standard for Medical Care and Clinical Practice
妊娠高血圧症候群 Pregnancy Induced Hypertension
http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5805-061.pdf

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