2013年2月6日水曜日

末梢動脈疾患:ACE阻害剤で無疼痛・最大歩行距離増加

ACE阻害剤 ラミプリルで、間欠性跛行ありの末梢動脈疾患(PAD)患者において、24週間治療で、プラシーボ比較で無疼痛・最大トレッドミル歩行距離増加をみとめ、身体機能改善をもたらした。

Effect of Ramipril on Walking Times and Quality of Life Among Patients With Peripheral Artery Disease and Intermittent ClaudicationA Randomized Controlled Trial
Anna A. Ahimastos, et. al.
JAMA. 2013;309(5):453-460. doi:10.1001/jama.2012.216237.


オーストラリアでの、212名のランダム化二重盲験プラシーボ対照化トライアルで、末梢動脈疾患(平均年齢 65.5歳、 SD6.2歳)

介入としては、ラミプリル投与 vs プラシーボ投与

標準的トレッドミル検査で、最大歩行時間・無疼痛時間を記録
Walking Impairment Questionnaire (WIQ) と Short-Form 36 Health Survey (SF-36)

6ヶ月時点で、プラシーボ比較で、無疼痛歩行時間 75秒(95%CI 60−89秒)増加、 最大歩行時間は255秒(95%CI 215−295秒)増加 p<0.001

プラシーボに対し、ラミプリルは、WIQ距離スコア中央値 13.8 (Hodges-Lehmann 95% CI, 12.2-15.5)、 スピード・スコア 13.3(95% CI, 11.9-15.2)、階段登りスコア中央値 25.2  (95% CI, 25.1-29.4) (P < .001 for all)

ラミプリルにより、プラシーボ比較で、SF-36全体の Physical Component Summaryスコア中央値は、 (Hodges-Lehmann 95% CI, 3.6-11.4; P = .02) 改善 

ラミプリルは包括的な  SF-36 median Mental Component Summary scoreには影響与えず 


新聞解説記事には、著者らのコメントが引用され、HOPE研究でのPAD合併心血管イベント減少効果が示されたことに注目、ただ、間欠性跛行緩和のためのACE阻害剤投与は推奨しないとのこと

さらに、JAMAエディトリアルには他のトライアルでは思うような結果が出ておらず、ラミプリル独自の作用で、クラス効果のない可能性を論述しているとのこと



TASCIIに基づき、日本では、第一選択 シロスタゾールという宣伝がなされているが、
www.arterial-stiffness.com/pdf/no12/032-036.pdf


副作用を考えれば、シロスタゾールは、まず第一に使用すべきでない。抗血小板剤、禁煙、運動といったものが効果のない場合の、しかたなしの薬剤選択として考慮すべきであるという考え方がある。
なぜか、日本では、薬物療法第一選択として宣伝されているが・・・ 用量依存的な死亡率増加(統計学的有意差は認めないが・・・)、超過死亡が他のPDEIII阻害剤で記載され、心不全悪化の可能性がある。不整脈、出血の可能性がある。
In practice, patients with intermittent claudication should not be given cilostazol; they should instead be prescribed an antiplatelet drug and encouraged to stop smoking and to exercise regularly.

Cilostazol: new drug. Intermittent claudication: too little efficacy, too many risks.
Prescrire Int. 2009 Apr;18(100):56-9.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19585717


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