糖尿病という病態は多因子・heterogenousな特性を有する疾患という認識であるが、システマティックに層別化した予防、治療はなされてない。空腹時血糖ベース、食後2時間血糖ベースがあるが、その両クライテリアでの心血管リスク、病態での違いを明らかにしようとするもの
”徐々に血糖が増加し、食後血糖の上がりが空腹時血糖より3年ほど先行してあがる。
HOMAインスリン感受性は診断前5年で急激に低下(→86.7%)
HOMAβ細胞:インスリン抵抗性は、診断前4-3年の間に増加(85.0% →92.6%)そして診断前に減少(→62.5%)"
このときの記載から考えれば、病型というより”食後血糖増加→食後・食前血糖増加”及びインスリン感受性先行性低下・抵抗性亢進が先行するという一連の流れの認識が主流だったようだ。
今回は、病型という認識の記載が気になる。
2型糖尿病の3病型(空腹時・食後2時間両者高値 群、空腹時単独高値 群、食後2時間単独高値 群)で、診断時あるいはその前からの保有する心血管系リスクが異なるという報告。
Trajectories of cardiometabolic risk factors before diagnosis of three subtypes of type 2 diabetes: a post-hoc analysis of the longitudinal Whitehall II cohort study
Kristine Færch, et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 21 February 2013doi:10.1016/S2213-8587(13)70008-1
フォローアップ中央値 14.2年、15826人年(1991−2009年)
10308名のうち、6843名を登録、6569名は糖尿病なしのまま
2型糖尿病 274症例 ;空腹時高血糖単独 55名、2時間後高血糖単独 148名、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発 71名
BMI値平均は、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発(BMI 30.9 kg/m2 [SD 5.7])では、空腹時血糖高値 単独群、食後2時間血糖高値 単独群に比べ高値 (28.4 [4.4] p = 0.0009、 27.9 [4.9] p < 0.0001)平均糖化ヘモグロビンA1c濃度も同様高値 ( 7.4% [1.6] vs 5.9%[0.5] p < 0.001、 5.9% [0.6] p < 0.001)空腹時高血糖・食後高血糖両者併発群では、空腹時血糖高値 サブグループに比べ中等度以上の心血管軽疾患リスクを有する比率が高い ( p = 0.02)診断前のβ細胞機能低下の古典的パターンは、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発群でのみ著明。加え、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発では、 単独血糖高値 群(空腹単独、食後2時間単独高値 群)に比べ、診断前の血糖濃度・インスリン抵抗性は加速的高値
DECODE(The Diabetes Epidemiology Collaborative Analysis of Diagnostic Criteria in Europe )、DECODA(The Diabetes Epidemiology Collaborative Analysis of Diagnostic Criteria in Asia)研究の食後高血糖の意義と矛盾しない報告だが、空腹時高血糖・食後2時間高血糖群と食後2時間高血糖単独群との違いが見られる。
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