2013年3月6日水曜日

非虚血性拡張型心筋症:心筋線維化指標によるリスク層別化

"midwall hyperenhancement (MWHE) on late gadolinium enhancement cardiovascular magnetic resonance (CMR) imaging"による心筋線維化評価が、拡張型心筋症の様々な予後推定にかなり役立ち、左室駆出率を凌駕する。


Association of Fibrosis With Mortality and Sudden Cardiac Death in Patients With Nonischemic Dilated Cardiomyopathy
Ankur Gulati,  et. al.
JAMA. 2013;309(9):896-908. doi:10.1001/jama.2013.1363
【序文】非虚血性拡張型心筋症のリスク層別化は主に左室駆出率(LVEF)により行われている。より優れた予後要素によりICDやマネージメント決定の患者選別の改善がなされるかもしれない
【目的】心筋線維化(遅延ガドリニウム取り込み心血管MR:LGE-CMR)が、拡張型心筋症の死亡率・心突然死の独立した、漸増的予後因子となるかどうか?
【デザイン・セッティング・患者】2000年11月から2008年12月までのGMR画像UKセンター受診の472名の拡張型心筋症の前向き、長軸研究(midwall replacement fibrosisの存在と広がり)、2011年12月までフォローアップ
【主要アウトカム測定】プライマリエンドポイントは全原因死亡率。セカンダリエンドポイントには、心血管死亡率・心臓移植;心突然死のうつの不整脈要素、心突然死中断エピソード(適切ICDショック、非致死的心室細動、持続性心室頻拍);心不全死、心不全入院、心移植組み合わせ
【結果】死亡:midwall線維化あり 38名(26.8%)/142名  vs  線維化無し 35名 (10.6%) / 330  (ハザード比 [HR], 2.96 [95% CI, 1.87-4.69]; 絶対リスク比, 16.2% [95% CI, 8.2%-24.2%]; P < .001)、フォローアップ中央期間 5.3 年間 (フォローアップ人年 2557)

不整脈 組み合わせイベントは、線維化あり 42名(29.6%) vs 線維化無し 23(7.0%) (HR, 5.24 [95%CI, 3.15-8.72]; 絶対的リスク差, 22.6% [95% CI, 14.6%-30.6%] ; p < 0.001)

LVEF・他の通常予後因子補正後、線維化存在(HR, 2.43 [95% CI, 1.50-3.92]; P < .001) 及びその広がり (HR, 1.11 [95% CI, 1.06-1.16]; P < .001) は、全原因死亡率と相関 し、漸増的に関連。

 線維化は、また、心血管死亡率や心移植と独立した相関 (by fibrosis presence: HR, 3.22 [95% CI, 1.95-5.31], P < .001; and by fibrosis extent: HR, 1.15 [95% CI, 1.10-1.20], P < .001)
同様に、心臓突然死、心臓突然死中断エピソード (線維化存在による: HR, 4.61 [95% CI, 2.75-7.74], P < .001; 線維化の広がり: HR, 1.10 [95% CI, 1.05-1.16], P < .001)、心不全構成要素 (線維化存在: HR, 1.62 [95% CI, 1.00-2.61], P = .049; 線維化広がり: HR, 1.08 [95% CI, 1.04-1.13], P < .001)と相関。

左室駆出率に線維化という要素を加えることで、全原因死亡率や心臓突然死成分でのリスク再分類改善 (ネットの再分類効果 : 0.26 [95% CI, 0.11-0.41]; P = .001、 0.29 [95% CI, 0.11-0.48]; P = .002)
【結論・明確化事象】
拡張型心筋症において、LGE-CMR画像でのmidwallの線維化の評価は、左室駆出率の上を行く、独立した予後推定要素。拡張型心筋症におけるリスク層別化でのLGE-CMRの役割は今後さらに検討が必要。

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