2013年8月5日月曜日

心血管イベント予防のためのアスピリン:リスク・ベネフィット・適正使用

Aspirin: Its risks, benefits, and optimal use in preventing cardiovascular events
Cleaveland Clinic Journal of Medicine May 2013 vol. 8015;318-326
http://www.ccjm.org/content/80/5/318.full


アスピリンは、心血管疾患存在既知患者での副事象イベント防止に関する役割は確立しているが、心血管既往明確でない患者でのベネフィット、特に、糖尿病、女性、高齢者では不明。細菌の研究から出血リスクも懸念されて、これらのサブグループでのアスピリンの役割検討。

現行ガイドライン


胃腸出血リスク要素
・年齢
・潰瘍既往
・NSAIDs同時使用
・H.ピロリ感染
・アルコール使用
・他凝固薬同時使用


一次予防トライアル



一次予防・二次予防アスピリン使用アルゴリズム


<女性>
男女とも同様適応と考えられ、女性の関心が相対的に低く、ある調査では一次予防では適応の41%、二次予防では48%しか服用されてないという報告。


<糖尿病>
明らかな心血管系疾患を有さない糖尿病患者でも、年齢・性補正対照に比べ、心血管リスク高い。一方、糖尿病患者はアスピリン抵抗性傾向に有り、アスピリンベネフィットとして高くない。早期一次予防研究では糖尿病患者は少なく、メタアナリシスでは9%程度の相対リスク減少のみで統計学的有意差無し。
2010 年American College of Cardiology/American Diabetes Association guidelineでは、10年リスク10%超、出血リスク増加しない対象者である既知心血管疾患無し糖尿病患者に対し、低用量アスピリンを推奨している。しかい、2つのトライアル、Prevention and Progression of Arterial Disease and Diabetes Trial (POPADAD) とJapanese Primary Prevention of Atherosclerosis With Aspirin for Diabetes (JPAD) studyで、統計学的に有意ベネフィット示せなかった。

<高齢者>
年齢と共に心血管リスクは増加するが、同時に、消化管出血頻度も増加する。
USPSTFは、80歳を超える場合の一次予防としての定期アスピリン使用に対して、賛成の立場・反対の立場のアドボケートせず。臨床的トライアルからこの高齢者でのデータは不足。
70歳以上の既知心血管疾患無き高齢者での100mg連日投与ASPREEトライアル、さらに高血圧・高脂血症・糖尿病診断の60-85歳を加え検討中

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