2013年10月22日火曜日

非代償性心不全の多くが、誤って肺疾患治療を受けている

心不全は、臨床の場では、明確なカテゴライゼーション困難な複雑な病態として認識され、治療される。この複雑性を明らかにするため、非代償性心不全入院治療患者を調査し、喘息、肺炎、COPD急性増悪を含む他の息切れ原因疾患として薬物治療されているかを検討。


非代償性心不全の多くは心肺疾患として治療されてしまい、そのための副事象が多く出現している可能性が高い。


Acute Decompensated Heart Failure Is Routinely Treated as a Cardiopulmonary Syndrome.
Dharmarajan K,  et al. (2013)
PLoS ONE 8(10): e78222. doi:10.1371/journal.pone.0078222
入院初期2日間、その後3−5日間の急性呼吸器疾患治療検討
入院死亡、ICU入室、入院後2日目以降の挿管の補正オッズ比計算

16万4494件の心不全中、入院初期2日間急性呼吸不全治療 53%
短時間作用型気管支拡張剤使用 37%、抗生剤投与 33%、高用量ステロイド 10%

87319件の入院にて、入院2日目以降に呼吸器系治療されたのは60%超
入院2日目以降の慢性肺疾患を有する症例入院6万690件で、呼吸器系治療が最も多い

入院開始2日目までの急性呼吸器系治療は、副事象アウトカム補正オッズ高値と相関性を示す


逆も、また、然りのような気がする。心不全として治療されている中に、COPD急性増悪例が多く含まれている印象を持つ。

ただ、COPDの啓発が進むにつれ、COPDをベースに持つからというだけで、息切れ悪化をCOPD急性増悪と判断するのは早計で、患者に害を与えることになる。

静脈還流障害所見・気道感染所見などのエピソードや身体所見除外とともに、BNPやCRPなどで解釈することが必要と思う。例えば、心不全例では、CRPも軽度増加する、COPD急性増悪ではかなり増加する(Circulation. 2005; 112: 1428-1434



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