APOE2 をウィルスベクターで脳内に導入すると、異常βアミロイド蛋白レベルが低下する。 さらに、ヒトAPOE2、APOE3、APOE4 isofromと緑色蛍光蛋白とともに導入し検討すると、42-merのβアミロイド対照比較でそれぞれに異なる反応が見られた。
APOE2では、対照およびAPOE3に比べ2/3まで減少、 APOE4では約80%まで増加し、
βアミロイドプラーク密度もそれぞれに改善、悪化の逆方向の反応が見られた。以上から、APOE遺伝子関連による治療の可能性がひらけた画期的報告
"Gene transfer of human apoe isoforms results in differential modulation of amyloid deposition and neurotoxicity in mouse brain"
Hudry E, et al
Sci Transl Med 2013; DOI: 10.1126/scitranslmed.3007000.
http://stm.sciencemag.org/content/5/212/212ra161
apolipoprotein E (APOE)のε4 allele の遺伝性はアルツハイマー病の遺伝的リスク要素として最強。APOE ε2は逆の作用をもつ。メカニズム上、APOEがリスクとなるか、逆に、予防効果となるかは不明であった。gene transferを用い、アミロイドプラーク保有transgenic mouseで、ヒトAPOE遺伝子発現の実証を行った。
in vivo microdialysis、postmortem array tomographyによりAPOE-介在的Aβ関連神経毒性を検討。ヒトAPOE4にて、間質内液オリゴマーAβを増加させ、プラーク沈着増悪的に働いた。
ヒトAPOE2暴露後、逆に、オリゴマーAβ減少、プラーク減少として働いた。
APOE4によりプラーク周囲シナプス喪失、異栄養性神経突起悪化が見られ、APOE2によるその影響が減弱される。
CNSから血中へのAβのegress(排出)は、APOE2比較すると、APOE3、APOE4において、減少。これは、isoform特異的AβのCNS内貯留と一致する所見。
APOE isoform により、アミロイド沈着・クリアランスへ、異なる影響を与え、Aβ介在シナプス毒性に影響を与えることが分かった。
治療的アプローチとしてAPOE4を減少、APOE2を増加させることも考えられる。
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