2015年7月3日金曜日

COPD予後指標:GOLD2011はGOLD2007より改善したとは言えない

GOLD COPD分類スキームは、2007年度版、2011年度版の新旧とも、3年間フォローアップ総死亡率に関してリスク分類としては臨床的に用いる場合には十分な判別能力を持つ、しかし、多少、FEV1予測値比の区分の工夫必要。
2011年版による新たな臨床的指標取り込みはその価値を高めたとは言えない。
よりすぐれたCOPD多因子指数による予後指標開発は必要。



Mortality prediction in chronic obstructive pulmonary disease comparing the GOLD 2007 and 2011 staging systems: a pooled analysis of individual patient data
Joan B Soriano, et. al.
The Lancet Respiratory Medicine, Published Online: 17 May 2015


GOLD2007はFEV1を従来通り病期分類判断に使用し、GOLD2011で患者管理の改善をめざして臨床的パラメータを導入
筆者等は、 COPD Cohorts Collaborative International Assessment (3CIA) initiativeの一部を用い、個別患者のGOLD2007とGOLD2011のカテゴリ化を行い、Stagingの死亡率予後正確性を評価したもの

7ヶ国、22COPDコホート、1万5632名、トータル7万184人年検討。
平均年齢は63.9歳(SD 10.1歳);男性 69%(1万751)

FEV1単独に基づくGOLD2007に基づくと、軽症(I) 2424(16%)、 中等度(II) 7142(46%)、 重症(III)  4346 (28%)、最重症(IV) 1670 (11%)

GOLD2007 の病期分類と比べ、新しいGOLD2011システムは1万4660名で、Grade A  5548 (38%) 、 Grade B 2733 (19%) 、 Grade C 1835 (13%)、 Grade D 4544 (31%)

GOLD2011は、全体的COPD重症度分布をより重症カテゴリーへシフトさせている。

以前のStage IV期 より Stage D患者数は3倍近く多くなっている (p<0.05)
10年間生存予測能力は両システム有意性あり(p<0.01)
しかし、AUCは、GOLD 2007 0.623、 GOLD 2011 0.634
GOLD 2007も GOLD 2011も有意差無し。

FEV1予測値比閾値を 85%、 55%、 35%とすると死亡率に関する、stabe COPD重症度はその予測性良くなる






病期と重症度ってのは各疾患あまねく混同をもたらす元になる。重症度は経年的線形的な悪化を示すわけではないし、一気に悪化その後安定・緩徐悪化なんてこともある疾患ではその取り扱いに注意が必要。


2011年からCOPDガイドラインであるGOLDは、Group A-Dの分類を行っているが、認識としては、A-D Stageとは思ってなかった。




GOLD2015に加筆


従来のスパイロメトリによる病期分類



2011年のスパイロメトリの基準は2009年とStage IVで若干異なる








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