日本では管理栄養士による入院栄養指導管理が義務づけられているわけだが、その有効性をサポートするエビデンス欠如しているという話
Nutritional Support and Outcomes in Malnourished Medical InpatientsA Systematic Review and Meta-analysis
Martina R. Bally, et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 21, 2015.
【序文】 急性疾患において、栄養不良あるいは栄養状態リスクのある患者に、栄養療法が多く行われている。しかしながら、包括的トライアルでこのアプローチの有効性・ベネフィットについて明確に提示されたものは筆者らも知らないとのこと
【目的】 栄養不良あるいはそのリスクのある医療入院患者での栄養サポートによる効果のRCTsのシステマチックレビュー
【データ源】 Cochrane Library、 MEDLINE、 EMBASE
研究日は1982年10月5日から2014年4月30日、多国(主に欧州)
今回の解析日は、2015年3月10日から2015年9月16日
【研究選択】 事前設置Cochraneプロトコールに基づき、栄養サポート(カウンセリング、経口・腸管栄養を含め)と対照群のないか入院患者への効果に関するRCTsをシステマチックに調査
【データ抽出】 2名のレビュー:特性、方法、アウトカム
不一致はコンセンサス処理
【主要アウトカム・測定】
・プライマリアウトカムは、死亡率
・セカンダリアウトカムは、院内肺炎、非待機入院、機能的アウトカム、入院滞在期間、1日あたりカロリー摂取・蛋白摂取・体重変化
【結果】 22のRCT、3736名検討
RCTs間Heterogeneity 高度で、ほぼ全部研究の質低く、多くはバイアス不透明リスク存在。
介入群患者は、対照群に比べ、体重増加(mean difference, 0.72 kg; 95% CI, 0.23-1.21 kg)、カロリー摂取増加 (mean difference, 397 kcal; 95% CI, 279-515 kcal)、蛋白摂取 (mean difference, 20.0 g/d; 95% CI, 12.5-27.1 g/d) 増加
介入群と対照群の患者にて、死亡率 (9.8% vs 10.3%; odds ratio [OR], 0.96; 95% CI, 0.72-1.27)、院内肺炎(overall, 6.0% vs 7.6%; OR, 0.75; 95% CI, 0.50-1.11)、機能的アウトカム (mean Barthel index difference, 0.33 point; 95% CI, −0.88 to 1.55 points)、入院滞在期間数 (mean difference, −0.42 days; 95% CI, −1.09 to 0.24 days)に差を認めず
非待機的再入院は介入群で有意に減少 (20.5% vs 29.6%; risk ratio, 0.71; 95% CI, 0.57-0.87)
【結論・知見】 内科入院患者で、栄養サポートはカロリー摂取、蛋白摂取量増加し、体重も増加させる。しかし、臨床的アウトカムは、非待機的再入院機会減少以外有効性を認めない。
高品質RCTがこの摂取量・体重増加効果と臨床的アウトカム効果のギャップを埋めるため必要。
急性期病院や急性期ケアにおいても、厚労省は管理栄養士の存在を病院の存続必須要素としているわけだが、お国は科学的エビデンスレベルで施策しているといえるのだろうか?専門職としての管理栄養士は自らの分野の科学的エビデンス構築に努力していると言えるのだろうか?
糖尿病や腎疾患など慢性期疾患への栄養管理の重要性は計り知れないことは認める。だが、急性期においてのその必要性は別に考える必要があるのでは?
2015年12月22日火曜日
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