2016年1月6日水曜日

拡張不全心不全:肥満高齢者への運動・食事介入効果

高齢者心不全原因に多い、heart failure with preserved ejection fraction (HFPEF)、即ち、拡張不全心不全。その80%は過体重もしくは肥満

運動不耐がHFPEFの主要症状で、QOL障害の要素

安定病状の拡張不全心不全肥満高齢者において、カロリー制限と好気的運動トレーニングはピーク酸素消費増加させ、食事・運動介入両者する方が付加的効果を示す。
しかしながら、MLHF質問によるQOLに関してはともに効果を示せなかった



Effect of Caloric Restriction or Aerobic Exercise Training on Peak Oxygen Consumption and Quality of Life in Obese Older Patients With Heart Failure With Preserved Ejection Fraction
A Randomized Clinical Trial
Dalane W. Kitzman, et. al.
JAMA. 2016;315(1):36-46.

目的:肥満高齢者HFPEFにおいて、カロリー制限(diet) or 運動トレーニング(exercise)で運動能力・QOLを改善するか?
デザイン:ランダム化、attention-controlled、2×2区分トライアル
2009年2月から2014年11月まで都市部学術医療センターで施行
577名の初期スクリーン被検者のうち、100名の肥満被検者(平均[SD]表記、年齢, 67[5]歳、BMI, 39.3 [5.6]、慢性Stable HFPEFを登録
介入:20週のdiet、exercise、両方;電話調査2週毎からなるattention control
主要アウトカム・測定:運動能力(ピーク酸素消費 :V̇o2, mL/kg/min; co–primary outcome) 、QOL(the Minnesota Living with Heart Failure (MLHF) Questionnaire (score range: 0–105, higher scores indicate worse heart failure–related QOL; co–primary outcome)

被検者 100、Exercise割り付け 26;Diet割り付け 24; 両方割り付け 25; 対照 25
うち、完遂92例
Exercise attendance  84% (SD, 14%)、Diet adherence  99% (SD, 1%)

main effects analysisでは、 peak V̇o2 は、Exercise、Diet介入とも有意に増加
Exercise 1.2 mL/kg body mass/min (95% CI, 0.7 to 1.7), P <0 .001
Diet 1.3 mL/kg body mass/min (95% CI, 0.8 to 1.8), P <0.001

Exercise+Diet併用は付加的効果
peak V̇o2 (joint effect, 2.5 mL/kg/min)

MLHF総スコアでは統計学的有意差両者認めず
main effect:
Exercise, −1 unit [95% CI, −8 to 5], P = .70
Diet, −6 units [95% CI, −12 to 1], P = .08)



peak V̇o2 の変化量は、除脂肪体重の変化と正相関 (r = 0.32; P = .003)
さらに、腿部筋肉量:筋間脂肪比変化と正相関c  (r = 0.27; P = .02)

研究関連重大副事象イベント認めず

体重は、Diet群 7% (7 kg [SD, 1])、Exercise群 3% (4 kg [SD, 1])、Diet+Exercise併用群 10% (11 kg [SD, 1] 、対照群 1% (1 kg [SD, 1])減少











脂肪組織量の増加が炎症、高血圧、インスリン抵抗性、脂質異常を惹起し心臓、動脈、骨格筋機能へ影響を与え、HFPEFの運動能力減少をもたらしたと考える。DXAによる筋肉/周辺脂肪比検査を行うと筋/脂肪比にダイエット・運動が好影響を与えることが示唆された。 運動能力改善のメカニズムとして体組成の変化も考えられる。運動よりダイエットの方がQOL指標改善を示すという他報告あうが、今回の知見でもその傾向が現れている。
HFREFでの減肥手術減量は心不全発症予防し、運動能力を改善するという報告があり、食事量制限による。
トレッドミル運動負荷試験のような体重そのものが負荷として働く場合、体重で除したピーク酸素消費量を指標とすべきだろう。
比較的体重と独立した指標、 V̇o2 reserve、exercise time to exhaustion、workload、 6-minute walk distanceもダイエットにより改善。また、絶対的ピークo2、下肢筋力増加がもたらされる。これは筋肉量減少しても示される所見。


ロコモなど運動ばかり注目・・・恣意性を感じる昨今

HFPEFでも、まずは食事量の制限、できるだけ運動との併用・・・という順番のようだ

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