2016年9月9日金曜日

patient-level meta-analysis : COPD患者の血液中の好酸球数と肺炎リスク 吸入ステロイド:好酸球比率2%戦略

COPD患者の血液中の好酸球数と肺炎リスク

要するに・・・

好酸球比率2%未満 と 吸入ステロイド(ICS)投与の関係
好酸球比率2%未満の場合は吸入ステロイド使用有無と無関係に肺炎リスクを増加させる(ただし、20週間未満のようだが・・・)
TORCHトライアルにて特に顕著


この知見で、どう戦略を形成するか?・・・難しいと思う。
COPD初期評価でのICS使用適否判断には使えるとしても、ICS長期使用に関してどうするか? 喘息要素のない、中等度以上の重症COPD患者では、6ヶ月過ぎたらICS使用適否考慮すべきなのだろうか? 解釈困ってしまう。


Blood eosinophil count and pneumonia risk in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a patient-level meta-analysis
Ian D Pavord, et .al.
The Lancet Respiratory Medicine Volume 4, No. 9, p731–741, September 2016
http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(16)30148-5/fulltext

DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30148-5

背景:
吸入ステロイドはCOPD管理にとって重要だが、中等度/重症COPD患者の肺炎リスク軽度増加の可能性。血中全白血球のうち好酸球数2%以上患者では、2%未満に比べICS(吸入ステロイド)反応良好で、血球好酸球数がCOPD患者の肺炎リスクへ影響を与えるのではないかと考えられた
post-hocメタ解析にて、2%を閾値としてICS治療に関連せず肺炎リスク同定可能か?


方法:  GlaxoSmithKline trial registryにおいてCOPD患者のランダム化二重盲検臨床トライアル;ICS arm(プロピオン酸フルチカゾン、サルメテロール、フランカルボン酸フルチカゾン、ビランテロール);対照群(吸入フルチカゾン使用無し)
ランダム化前血中好酸球数、24週間内の評価
Medical Dictionary for Regulatory Activitiesの特異的用語を使用し、患者レベルの肺炎副作用イベント同定
肺炎イベント患者数を計算、ベースライン好酸球数(全白血球 2%未満 vs 2%以上)、ICS投与受けたか否か

結果:
1998-2011年施行(10トライアル)、好酸球数データ参照可能 10,861名のCOPD
好酸球比率 2%未満 4043、2%以上 6818名


肺炎副事象1回以上 2%未満患者  2149(3.7%) vs 2%以上患者 215(3.2%)  (ハザード比 [HR] 1.31; 95% CI 1.06–1.62)




ICS無治療患者において、40(3.8%) vs 48(2.4%) (HR 1.53; 95% CI 1.01–2.31)
ICS治療患者において、 107( 4.5%) vs 164 (3.9%( HR 1.25; 95% CI 0.98–1.60)





結論:
ベースライン好酸球比率2%を用い、COPD好酸球比率低値群では、寄り肺炎イベントリスクが高い。
この増加リスクのmagnitudeは小さく、大規模前向き研究が必要
COPDとベースライン好酸球比率2%未満での患者においてICSの反応性が乏しいことを含め、治療意思決定に際しこれらデータを加味すべき

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