主要アウトカム:28日間総死亡率
介入:敗血症関連凝固異常症例のランダム化
・ボーラス静注 or 15分間点滴投与 (0.06 mg/kg/d [最大 6mg/d]n=395
・プラシーボ n=406
x6日間
結果的には死亡率差認めずというものだが、後述の如く、これではおわらんぞという感じ
Effect of a Recombinant Human Soluble Thrombomodulin on Mortality in Patients With Sepsis-Associated Coagulopathy
The SCARLET Randomized Clinical Trial
Jean-Louis Vincent,et al. for the SCARLET Trial Group
JAMA. 2019;321(20):1993-2002. doi:10.1001/jama.2019.5358
816名ランダム化、研究完遂・full解析 800名(平均年齢 60.7歳、男性 437 54.6%]
thrombomodulin群とプラシーボ群の 28日総死亡率の統計学的有意差なし (106 / 395 [26.8%] vs 119 / 405 [29.4%]; P = 0.32)
絶対的リスク差 2.55% (95% CI, −3.68% to 8.77%)
重大出血副作用イベント(定義:全ての頭蓋内出血、生命危機出血、検討者判断重症分類出血イベント、2連続日赤血球パック 1440mL[ 6単位相当]以上輸血)は、thrombomodulin群 23/396 (5.8%) vs プラシーボ 16/405(4.0%)
ART-123は遺伝子組み換えヒト可溶性thrombomodulin (rhsTM ; thrombomodulin α) は498のアミノ酸(64 kDa)からなりthrombomodulinの可溶性活性化細胞外ドメイン部分
主たるメカニズムは血中トロンビン分子結合能力由来で、protein Cから活性化protein Cへ転換するactivation complexの役割で、付加的にrhsTMは例えばhigh mobility group box protein 1 や histoneなどdamage-associated molecular patternによる炎症抑制、臓器障害抑制をもたらす。
敗血症・DIC疑診例第2相ランダムトライアルpost hoc解析では死亡率減少効果示唆され、①感染症、②最低1つの敗血症臓器障害(心血管 and/or 呼吸系)及び凝固障害の場合、③凝固障害(INR延長)と血小板数減少の3つでrhsTM投与死亡率減少示唆されていた
28日間の全死因死亡率の主要評価項目の低下を明らかにすることができなかったため、他の抗凝固薬との過去の結果から研究がなぜ行われたのかという疑問が生じた。答えは多少微妙だが、要するに、トロンボモジュリンは重要な理論的利点を提供する異なる作用機序を持つこととなった。
日本のp3トライアル(227名、血液悪性腫瘍あるいは感染基礎疾患DIC)が敗血症患者への組み替えthrombomodulinのアジュバント治療としての初めての有効性報告
Efficacy and safety of recombinant human soluble thrombomodulin (ART‐123) in disseminated intravascular coagulation: results of a phase III, randomized, double‐blind clinical trialこの研究自体はプライマリエンドポイントとしてDIC改善目的でヘパリンと比較した有効性研究であった。DIC改善に有意差(66.1% vs 49.9%)あったが、セカンダエンドポイントの死オブ率には有効さ無かった(21.9% vs 25.7%)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1538-7836.2006.02267.x
この結果により日本ではDIC管理にART-123(組み替えthrombomodulin)承認となった(2008年)
プラシーボ対照トライアル(n=781)は
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 2b Study to Evaluate the Safety and Efficacy of Recombinant Human Soluble Thrombomodulin, ART-123, in Patients With Sepsis and Suspected Disseminated Intravascular Coagulation
Critical Care Medicine. 41(9):2069–2079, SEP 2013
これでは28日死亡率有意差無し (17.8% vs 21.6% in the placebo group)
エディトリアルとしては
1)ヘパリン投与群がthrombomdulin治療阻害してる可能性などこのトライアルでは終わらんぞ・・・感
2)プラシーボ死亡率高くトライアル自体が検出力としてパワー不足
3)登録期間長すぎ・・・ということは登録数少なく無理矢理登録したところがある疑惑、1例登録が3分の1でプロトコール不徹底の可能性
4)薬剤投与時INR正常化1/4で投与タイミングの問題がある。投与時INR値でpost-hoc解析すると有意差まではないが死亡率低下の可能性
5)トロンビン・抗トロンビン複合体(TAT)濃度以上、 protein C濃度 40%以下で有効性差示唆
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