2019年11月18日月曜日

新規高血圧発症リスク要素:血中BCAA濃度

分岐鎖アミノ酸

https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch3-3/keyword4/
 必須アミノ酸のうちでアミノ酸の炭素骨格が直鎖でなく、分岐している構造を有するバリン・ロイシン・イソロイシンの3種を総称して分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ぶ(図1)。BCAAは、タンパク合成促進作用と筋タンパク崩壊抑制効果があり、特にロイシンが中心的な役割を果たしている。BCAA以外の多くのアミノ酸は主に肝臓で代謝されるが、BCAAは主に筋肉で代謝される(図Ⅱ)。BCAAのアミノ基はグルコース〜アラニン経路で糖原性アミノ酸のアラニンとなり、糖新生に利用されエネルギー源となるため、侵襲期には重要な役割を果たす。また、肝障害時には、芳香族アミノ酸であるフェニルアラニンとチロシンが増加して、偽性神経伝達物質の前駆体となり、BCAAが低下するが、BCAA投与は、血液〜脳関門において芳香族アミノ酸と競合して、肝性脳症の発生を防止する。

・・・という解説は一般的

非極性脂肪族型側鎖で、必須アミノ酸:ロイシン、バリン、イソロイシンであり、BCAAは、インスリン抵抗性、酸化ストレスを生じる、細胞内シグナル伝達に関与する重要な代謝中間体でmTORC1(mammalian target of rapamycin complex 1 or mechanistic target of rapamycin complex 1)の機能障害を生じる可能性があるとの提言あり(2. Yoon MS. The emerging role of branched-chain amino acids in insulin resistance and metabolism. Nutrients. 2016;8: E405. doi:10.3390/NU8070405 3. Zhenyukh O, Civantos E, Ruiz-Ortega M, Sánchez MS, Vázquez C, Peiró C, Egido J, Mas S. High concentration of branched-chain amino acids promotes oxidative stress, inflammation and migration of human peripheral blood mononuclear cells via mTORC1 activation. Free Radic Biol Med. 2017;104:165–177. doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2017.01.009)、さらにこれらが血圧調整、高血圧発症のメカニズムともなり得る。また腸内microbiomeが食事由来BCAAの代謝産物と関連したgut dysbiosisが血圧調整メカニズムに影響を与えることも提言されている。high-throughput metabolomicsのアプローチにてBCAAと心血管リスク関連を支持する報告もある。

血中BCAA濃度の増加は高血圧と関連しているようにも見える亜脂質や血糖などの生化学的因子補正後は消滅するということで、横断研究は知見としては何も示してない





Concentration of Branched-Chain Amino Acids Is a Strong Risk Marker for Incident Hypertension
Jose L. Flores-Guerrero, et al.
 Hypertension. 2019;74:00-00. DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.13735.
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.13735


分岐型アミノ酸(BCAA)の心血管代謝疾患の病因的影響への認識は増加しているが、BCAAと高血圧発症への関連性は不明。BCAAと高血圧症発症の関連性を前向き住民ベースコホート研究で検討
BCAA血中濃度をMR spectoroscopyで測定, 4169名被験者:PREVEND (Prevention of Renal and Vascular End-stage Disease) study

推定として、多変量補正Cox回帰モデルを用い高血圧発症リスクを、中央値 8.6年間のフォローアップ後、高血圧発症確認 9214名で確認
Cox回帰解析により、BCAAと高血圧発症の有意関連性明らかに
BCAAの1SD毎ハザード比は 多数の臨床変数完全補正後1.11 (95% CI, 1.02-1.20; p=0.01)

カテゴリー化変数評価後同様完全補正後も有意性持続 (参照カテゴリーとして:4分位最高vs 最小比較, 1.36; 95% CI, 1.11–1.68; P=0.003)




さらに、net reclassificationにて、従来のリスクモデルにBCAAを加えると評価として改善も認める (P<0 .001="" br="">

この前向き研究で、BCAA血中濃度はその後の新規発症高血圧のリスク増加と関連
この関連性は、年齢、性別、BMI、脂質特生保生後も持続




血中のBCAA濃度高値が、新規高血圧発症の新たなリスク要素と判明下だけで、飲用BCAAとの関連性はもちろん明らかではない

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