COPD急性増悪は波状的に再発する場合が多く、筆者等のdiscussionにも、「ほとんどのCOPD増悪は約10日間続くが、中にはそれ以上続くものもあり、5週間後には25%が完全に回復していない場合もある。COPDの増悪のもう一つの特徴は、8週間以内に再び増悪を起こすリスクが高いことである。最初の増悪の14日後に測定された血清C-反応性蛋白(CRP)濃度の上昇が2回目の増悪の予測因子であることを報告しており、炎症反応を正常化できなかった場合には、次の増悪(再発)を引き起こす可能性があることを示唆」しているという記述がある
細菌感染と好中球性炎症、それに呼吸器系ウィルスが前後に関与していることが想定されるが、持続的なCRP増加は、細菌感染性成分を伴わない残存気道炎症負荷が主な原因であることが示唆され、実際喀痰中の細菌培養率も低く、抗炎症治療を主と考えるべきではないかという仮説が提示される
それを示唆する報告
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喀痰の多量化または喀痰量の増加に伴う増悪は、抗生物質で治療され、増悪の早期解決と次のAECOPDまでの時間の延長につながる。しかし、抗生物質による治療にもかかわらず、回復はしばしば遅れる。患者の4分の1以上がその後の8週間の間に別のイベントを経験する一方で、25%が5週間までにベースラインまで回復せず、3ヶ月までには3分の1以上の患者が回復しない。これらの再発イベントは死亡率の大幅な増加と関連しており、これにより、病院の再入院を回避することを目的とした医療サービスに対する経済的なインセンティブがもたらされている。
以前、我々は増悪後14日目に測定した血清C反応性蛋白(CRP)が、増悪後50日以内に再び増悪を経験した患者(再発増悪)では、増悪を経験していない患者(平均=3.4mg/dl)よりも高かったことを報告している。
最近の試験では、AECOPDの発症時にCRPをポイント・オブ・ケアで測定することで、健康状態のアウトカムに悪影響を及ぼすことなく、抗生物質治療を成功させることができることが実証されている。
Butler CC, Gillespie D, White P, Bates J, Lowe R, Thomas-Jones E, et al. C- Reactive Protein Testing to Guide Antibiotic Prescribing for COPD Exacerbations. New England Journal of Medicine. 2019;381(2):111-20.
https://www.nejm.jp/abstract/vol381.p111
AECOPDの不回復に対する更なる抗生物質治療の有効性を評価した研究はなかった
Antibiotic Retreatment for Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Volume 202, Issue 4, Page 481-482, August 15, 2020.
https://www.atsjournals.org/doi/10.1164/rccm.201910-2058OC
根拠
COPDの増悪は回復しない傾向にあるが、このような長期化したイベントに対する再治療の有効性についてのデータはない。不完全に治癒したCOPD増悪に対してシプロフロキサシンをさらに投与することで、次のイベントまでの期間が延長するかどうかを検討した。
方法
この多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、症状が持続し、かつ/または血清C-反応性蛋白(CRP)が8mg/L以上であるGOLDステージII~IVのCOPD患者を対象に、COPDの指標となる増悪から14日後(+/-3日後)に開始された、シプロフロキサシン500mgの経口薬またはプラセボを1日2回、7日間投与することで再治療を行った。主要評価項目は、90日以内の次の増悪までの期間であった。
結果
4つのセンターでスクリーニングされた826人の患者のうち、回復が不完全な144人が、シプロフロキサシン(n=72)またはプラセボ(n=72)の投与に無作為に割り付けられた。無作為化後90日以内に、シプロフロキサシン群では57%、プラセボ群では53%の患者が1回以上の増悪を経験した。次の増悪までの期間の中央値は、プラセボ群で32.5日(IQR 13~50)、シプロフロキサシン群で34日(IQR 17~62)であり、有意差は認められなかった(調整後ハザード比=1.07、95%CI 0.68~1.68、p=0.76)。治療群間では、QOLスコアや肺機能に有意差は認められなかった。
結論
COPD増悪後14日目に症状が持続し、かつ/またはCRPが上昇した患者において、シプロフロキサシンの追加コースを投与しても、プラセボと比較して効果は認められなかった。このことは、非回復性の増悪は進行中の細菌感染によって引き起こされるものではなく、抗炎症療法の対象となる可能性があることを示唆している。
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