2021年8月23日月曜日

COPD FeNO と末梢好酸球数

私が本当に知りたいのFeNO値はICS add-on治療 のマーカーとなり得るか・・・なのだが・・・この論文では、結果的にFeNOカットオフ値 25 ppbが検討されている


 

Eosinophilia and fractional exhaled nitric oxide levels in chronic obstructive lung disease

Srinadh Annangi, et al.
https://thorax.bmj.com/content/early/2021/08/19/thoraxjnl-2020-214644?rss=1

https://thorax.bmj.com/content/thoraxjnl/early/2021/08/19/thoraxjnl-2020-214644.full.pdf

抄録

はじめに

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、様々な表現型を持つ異質な疾患である。喘息歴、末梢好酸球症、FeNO値の上昇の有病率と、気道好酸球性炎症を特定するための末梢好酸球症の診断的有用性を明らかにすることを目的とした。


方法

2007年から2010年に実施された国民健康・栄養調査のデータを分析した。40歳以上で、気管支拡張後のFEV1/FVC比が0.70未満の被験者を対象とした。感度分析のために Receiver operator curve analysis を行った。p値が0.001未満の場合、統計的に有意とした。


結果

合計3 110 617名のCOPD症例が確認された。男性(64.4%)、非ヒスパニック系白人(86.1%)が多かった。COPD患者のうち、医師による喘息の診断歴があったのは14.6%で、女性とその他の人種のアメリカ人で多かった。

末梢好酸球症の全体的な有病率は36%で、喘息歴のあるCOPD患者では38.3%、喘息歴のないCOPD患者では35.6%でした。また、FeNO≧25ppbの有病率は14.3%で、喘息歴のあるCOPDでは28.7%、喘息歴のないCOPDでは13.0%であった。


考察

喘息歴のあるCOPDは、喘息歴のないCOPDと比較して、FeNO≧25ppbおよび末梢好酸球増加症の有病率が有意に高かった。末梢好酸球増加とFeNOレベル上昇を示すCOPD対象者のすべてが、喘息歴を報告されているわけではない。本研究は、好酸球性炎症を有するCOPD被験者の臨床的な表現型を、喘息歴とは無関係に決定することを支持するものであり、末梢好酸球症は資源の限られた環境では代替マーカーとして使用することができる。


FeNOレベル≧25ppbのCOPD対象者とFeNOレベル<25ppbのCOPD対象者を区別するために、末梢好酸球数の閾値を100cells/μL、200cells/μL、300cells/μLとすると、感度はそれぞれ90%、50%、33%、特異度はそれぞれ40%、72%、90%となり、曲線下面積は0.70(95%CI 0.61〜0.80)となりました(図2A)。同様に、喘息歴のあるCOPD患者では、閾値を100個/μL、200個/μL、300個/μLとした場合、感度はそれぞれ86%、43%、29%、特異度はそれぞれ47%、73%、93%となり、曲線下面積は0.70(95%CI 0.46〜0.94)となりました(図2B)。 同様に、喘息歴のないCOPD患者では、閾値を100個/μL、200個/μL、300個/μLとした場合、感度はそれぞれ91%、52%、35%、特異度は59%、72%、86%となり、曲線下面積は0.70(95%CI 0.60〜0.82)となりました(図2C)。


COPD患者の好酸球性炎症は、喘息の既往がなくても存在することがあり、早期のICS開始が有益であることも示されている。FeNO値の上昇は、喘息の既往にかかわらず好酸球性COPD表現型を識別するのに役立つが、臨床現場では末梢好酸球数ほど容易に入手できない。 末梢好酸球のカットオフ値300cells/μLは、好酸球性COPDの表現型を識別することができる。上述の分析では、このカットオフ値は、FeNO≧25ppbのCOPD患者とFeNO<25ppbのCOPD患者を区別する上で90%の特異性を示し、喘息歴のあるCOPD患者では93%と、喘息歴のない患者の89%に比べてわずかに高かった。 同様に、100個/μLのカットオフ値は、好酸球性COPD表現型を除外するために使用することができる。このカットオフ値は、COPD対象者のFeNO>25ppdを除外する感度が90%であり、喘息歴のないCOPD対象者では91%と、喘息歴のあるCOPD対象者の86%に比べてわずかに高かった。

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