Covid-19もデルタ、オミクロンと変異流行の度に臨床的描像変化してきているようだが・・・肺病変の長期影響について改めてシステマティック・レビュー
間質性:繊維症変化は画像上・機能上乏しく、肺実質病変及びその後遺症との描像が主体と思う
COVID-19の臨床スペクトルは幅広く、無症状または軽度のインフルエンザ様症状から、入院、酸素投与、人工呼吸が必要となる重症ウイルス性肺炎まで、様々な症状がある。新しいデータによれば、COVID-19生存者の約半数は、特に入院後の慢性的な息切れと症状の慢性化を特徴とする長期的な多臓器症候群を経験する。呼吸器症状が持続する原因は明確に解明されていないが、COVID-19患者の死後調査により、肺胞損傷、浸出、肺線維症の発症を伴うびまん性の肺実質の変化が浮き彫りになっている。肺線維症は、肺実質の異常なリモデリングによって特徴付けらる。肺線維症は、肺の損傷後に発症することがありますが、その原因は常に特定できるわけではない。 SARS-CoVおよび中東呼吸器症候群(MERS)-CoVの追跡調査において、線維化肺の後遺症が強調されている。 同様に、インフルエンザウイルスも肺線維症の発症を促進すると提案されている。COVID-19の例外的な広がり方と、生活の質、特に息苦しさへの長期的な影響を考えると、肺線維症が生存者における長期的な結果として現れる可能性があります。ウイルス性肺炎で入院した人々の肺の後遺症の有病率を評価するために、日常的に使用される非侵襲的診断検査としてCTスキャンと肺機能検査に焦点を当てた系統的レビューとメタアナリシスを実施。
Parenchymal lung abnormalities following hospitalisation for COVID-19 and viral pneumonitis: a systematic review and meta-analysis
Laura Fabbri, et al.
https://thorax.bmj.com/content/early/2022/03/24/thoraxjnl-2021-218275
概要
【緒言】 COVID-19生存者における呼吸器症状の持続は、肺線維症の発症に関連している可能性がある。COVID-19およびウイルス性肺炎で入院した人々の追跡調査において、胸部CTスキャンおよび肺機能検査が実質的な肺疾患と一致する割合を評価した。
【方法】 SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、インフルエンザ肺炎で入院し、12ヶ月以内にフォローアップされた成人の研究を用いた系統的レビューと割合のランダム効果メタ解析。MEDLINEとEmbaseで検索した。主要アウトカムは、CTスキャンでの放射線学的後遺症の割合、拘束性障害、ガス移動の障害とした。異質性はメタ回帰で検討した。
【結果】 定性的統合には95件(98.9%観察研究)が含まれ、メタ解析には60件のSARS-CoV-2研究を含む、追跡期間中央値3ヶ月の70件が適切であった。SARS-CoV-2では、炎症性後遺症の全体の推定割合は、追跡期間中に50%(0.50;95%CI 0.41~0.58;I2=95%) 、線維性後遺症は29%(0.29;95%CI 0.22~0.37;I2=94.1% )と推定された。
(SARS-CoV-2試験における追跡調査時の放射線所見。推定値は、実施された検査の総数(N)に対する、関心のある結果を示すCTスキャンの割合(n)および95%CIとして報告されている。炎症性X線所見は、ground glass opacificationまたはconsolidationと定義した。線維性X線所見は、網状化、肺構造上の歪み、小葉間中隔肥厚、牽引性気管支拡張症、蜂巣化のいずれかと定義)
SARS-CoV-2試験における追跡調査時の肺機能検査。推定値は、実施された試験の総数(N)に対する関心のある結果を示す試験の割合(n)および95%CIとして報告されている。拘束性肺障害の定義はTLC予測比 < 80% と正常FEV1/FVC比。ガスtransfer異常は予測DLco < 80%。 DLCO, diffusing capacity for carbon monoxide; FEV1, forced expiratory volume in 1 s.
ガスtransferの障害は肺機能検査の38%で推定され(0.38 95% CI 0.32 to 0.44; I2=92.1%)、拘束性障害(0.17; 95% CI 0.13 to 0.23; I2=92.5%)より大きく、いずれも追跡時間とは関連がなかった(p=0.207; p=0.864)。
【考察】 COVID-19および他のウイルス性肺炎の後遺症は,肺実質疾患と一致することが観察された。異質性が高く、研究のケースミックスや初期の重症度が異なるため、推定値の解釈には注意が必要である。
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