2012年6月12日火曜日

ORIGINトライアル:n-3脂肪酸 脂質異常症患者での心血管アウトカム改善せず・・・JELIS結果への疑念増す


n-3不飽和脂肪酸って、ハードなアウトカムほどアウトカム改善効果ないような感じする。

ANCHOR サブグループ:エチルEPA 糖尿病患者への効果 2012年6月11日

日本のJELIS研究結果と異なる結論となる報告再び・・・ORIGINトライアル

n–3 Fatty Acids and Cardiovascular Outcomes in Patients with Dysglycemia
The ORIGIN Trial Investigators
N Engl J Med. June 11, 2012 (10.1056/NEJMoa1203859) 

二重盲験2x2区分デザイン:12536名の心血管疾患高リスク・IFG/IGT/糖尿病患者
エチルエステル n-3脂肪酸 900mg含有1gカプセル vs プラシーボ +インスリン glargine or 標準治療

プライマリアウトカムは心血管疾患死亡

6.2年フォローアップ中央値、プライマリアウトカムの頻度は、n−3脂肪酸においてプラシーボ投与比較で、有意な減少認めず(574  [9.1%] vs. 581  [9.3%]; ハザード比, 0.98; 95% 信頼区間 [CI], 0.87 〜 1.10; P=0.72)

n-3脂肪酸は、主要血管イベント率でも有意な影響認めず
  (1034 名 [16.5%] vs. 1017 名 [16.3%]; ハザード比, 1.01; 95% CI, 0.93 〜 1.10; P=0.81)、全原因死亡 (951 [15.1%] vs. 964 [15.4%]; ハザード比, 0.98; 95% CI, 0.89 〜 1.07; P=0.63)、不整脈死(288 [4.6%] vs. 259 [4.1%]; ハザード比, 1.10; 95% CI, 0.93 〜 1.30; P=0.26)

TG値はプラシーボ比較して14.5mg/dL(16 mmol/L)低下 (P<0.001)、ほかの脂質への影響認めず

副作用的影響は2群同様

JELISではLDL低下30%弱、TG低下10%、HDL5%程度増加しているが、その後の否定的な報告では脂質プロファイルに有意な効果がでていない。これが、臨床的アウトカムの差になってると素直に考えるべきなのだろうか。対照がプラシーボでなかったことが影響を与えてるのかも・・・ スタディデザインの違いと考えれば、JELISへの信頼性はかなり低下している。

2012年6月11日月曜日

前糖尿病:一度血糖正常化すればと糖尿病発症リスク 56%減少

Pre-diabetes (前糖尿病状態) の人に対して、無理して血糖正常化しておくことが、将来糖尿病リスク減少の重要な要素。

いったん、正常化すれば、糖尿病リスク56%減少させられる可能性。 それは薬物・ライフスタイル強化介入のいかんに関わらず影響がある。

Prediabetesに関して糖尿病予防介入として、ライフスタイル変容と薬物がなされており、25%-72%の効果が2.4-6年の介入期間 で認められ、糖尿病発症しなかった馬鹿例で無く正常血糖への復帰sたのは20%-50%と少ないながら存在し議論されることが少ない。STOP-NIDDM、DREAM、、ACT NOWでは、正常血糖状態となったサブグループに関して言及はされているが、特性や予測因子までは踏み込んでなかった。
   Diabetes Prevention Program (DPP) のpost-hoc analysisで、正常血糖復帰要素を検討、β細胞機能、若年、体重減少、強化ライフスタイル介入が独立した改善因子であることを筆者らは報告。
 DPP完了後、DPPOP研究が開始された。これにより、正常血糖復帰予測因子解析の機会が出現した。この研究を追求することで正常血糖復帰の予測因子頻度、治療関連・長期的糖尿病リスク減少の定量化など検討可能となった。


正常血糖復帰可能となる要素の検討が主な研究テーマ


Prevention Program Outcomes Study (DPPOS):DPPランダム化トライアル登録者の観察研究

Effect of regression from prediabetes to normal glucose regulation on long-term reduction in diabetes risk: results from the Diabetes Prevention Program Outcomes Study
The Lancet, Early Online Publication, 9 June 2012

正常血糖復帰群( vs prediabetes患者)は、DPPOS期間中の糖尿病リスク56%減少 (ハザード比 [HR] 0.44, 95% CI 0.37—0.55, p<0.0001)  
それは、割り付け群に影響されず (正常血糖復帰・ライフスタイル介入の関連性 , p=0.1722; 正常血糖復帰・メトホルミン, p=0.3304)

すべてではないが、糖尿病リスク増加に関わる多くの変数は、DPPOSでの正常血糖復帰率と逆相関。

特異的なのは、正常血糖復帰(オッズ比 [OR] 3.18, 95% CI 2.71—3.72, p<0.0001)、β細胞機能 (OR 1.28; 95% CI 1.18—1.39, p<0.0001)インスリン感受性(OR 1.16, 95% CI 1.08—1.25, p<0.0001)は、正常血糖復帰率と相関

しかし、糖尿病予測に関しては反対も事実、β細胞機能増加 (HR 0.80, 95% CI 0.71—0.89, p<0.0001) とインスリン感受性(HR 0.83, 95% CI 0.74—0.94, p=0.0001)は予防的影響を認める。


DPPで正常血糖復帰しなかった群では、強化ライフスタイル介入割り当てでは、プラシーボと比較して、糖尿病リスク高く (HR 1.31, 95% CI 1.03—1.68, p=0.0304) 、正常血糖復帰率が低かった (OR 0.59, 95% CI 0.42—0.82, p=0.0014)


 メタボ検診でスクリーニングしたPrediabetes・・・ 強化ライフスタイル介入/薬物治療を検討すべきなのだろうが・・・日本はアクトスに固執しすぎて・・・膀胱癌リスクとともに、糖尿病前症・薬物治療認可機会を失っているとみている。日本の糖尿病のお偉いさん達って・・・国際的標準治療を無視しすぎて墓穴掘ってる・・・国民は彼らの無知・愚策の被害を被ってる。
ACT NOW:アクトスの糖代謝異常状態からの糖尿病発症抑制効果  2011年 03月 24日

「J-DOIT-3」はヘルシンキ宣言違反? 2009年 02月 18日



参考:
state-of-the-art: 前糖尿病状態とメタボリックシンドロームと心血管リスク  2012年2月8日

2型糖尿病治療:メトホルミンに加えるのは アマリール? ビクトーザ注?

メトホルミンを軽視する日本の糖尿病薬物治療はガラパゴス的

糖尿病治療はまずメトホルミンが使えるかどうかを判断して、使えない場合どうするかと考える のが日本以外の糖尿病治療。故に、順番として、メトホルミン治療の次はどうすか・・・がテーマとなる。

次にアドオンするのは、SU剤(アマリール等)とするか、GLP-1アナログ自己注射(ビクトーザ皮下注)とするか・・・というのは大事なテーマ。


2型糖尿病患者は年月と共に、進行性に血糖コントロール悪化する。第1選択薬  メトホルミン治療失敗後の治療オプションに関して議論がある。そのため、 add-on exenatide と glimepirideを比較。


Exenatide twice daily versus glimepiride for prevention of glycaemic deterioration in patients with type 2 diabetes with metformin failure (EUREXA): an open-label, randomised controlled trial
The Lancet, Early Online Publication, 9 June 2012
doi:10.1016/S0140-6736(12)60479-6
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960479-6/abstract


オープンラベルランダム化対照化128センター(14ヶ国) 2006年9月5日~2011年3月29日

2型糖尿病 18-85歳(メトホルミン治療不適)をランダムに割り付け

・1日2回 Exenatide
vs
・1日1回 Glimepiride

プライマリアウトカムは、血糖コントロール不良・代替治療必要状態(治療3ヶ月後 HbA1c 9%超、6ヶ月後続けて2回7%を越える場合)

ITT分析

ランダムに、Exenatide群 515、 Glimepiride 514名、ITT分析で、490 vs 487検討

治療失敗:Exenatide群 203(41%) vs Glimepiride群 262(54%)   (risk difference 12.4 [95% CI 6.2—18.6], hazard ratio 0.748 [0.623—0.899]; p=0.002).

HbA1c 7%未満 到達: Exenatide群 218/49(44%) vs Glimepiride群 150/487(31%(p<0.0001)

HbA1c 6.5%以下到達: Exenatide群 140(29%) vs Glimepiride群 87(18%)  (p=0.0001)

体重減少:Exenatide群 > Glimepiride群 (p<0.0001)

治療非関連死はそれぞれ5名

交感神経系関連、夜間・非夜間低血糖は有意にExenatide群の方が少ない  (p<0.0001、p=0.007、p<0.0001)

副作用薬剤中止は、6ヶ月時点までは有意にExenatide群多い(p=0.0005)が、それ以降は差は認めない。


長期使用が念頭とされるので、ビクトーザ注のadd-onの方がコントロールにおいては優れていることとなる。

コストや短期的副事象などの複合的判断が必要となるだろうが・・・


Type 2 diabetes: which drug as add-on to metformin?Type 2 diabetes: which drug as add-on to metformin?
The Lancet, Early Online Publication, 9 June 2012

ビクトーザ:
・利点:効果、低血糖のなさ、体重減少
・欠点:消化管副作用、心血管系RCT研究がない、高コスト、膵炎リスク?

SU剤
・利点:短期効果、心血管系RCTあり(必ずしも好ましいモノだけではない)、低コスト
・欠点:維持性困難(二次無効など)、低血糖、体重増加、心血管系リスク
 上記比較の上選択を!


ANCHOR サブグループ:エチルEPA 糖尿病患者への効果

スタチンにアドオンするか否かの介入。 日本のトライアル、JELIS結果を支持する検査パラメータ上の変化となったようだが・・・
ADAがらみの報告。

ANCHOR studyのサブグループ解析、EPA エチル製剤、AMR101を使用。

第Ⅲ相ANCHOR研究は、702名のスタチンバックグランドで、TG 200-500mg/dLのヒトで、AMR101 2g/日、4g/日とプラシーボをランダム比較

効果は用量依存的、2g/日ではLDL低下有意では無かった。

AMR101 4g/日投与で、LDL増加せず TG 23mg/dL減少するという報告。
LDL-Cの平均は6.3mg/dL低下

だが、ベースラインより、HDL 5mg/dLほど低下する。しかし、LDL、非HDL、apo B、総コレステロールは低下し十分な効果が期待できると筆者ら。特に、糖尿病コントロール不良な患者で期待ができるとのこと。

12週研究で空腹時血糖、HbA1c、HOMA指数、インスリンに有意差認めず、糖尿コントロールに影響を与えなかった。


Brinton E, et al "Effects of AMR101 on Lipid and Inflammatory Parameters in Patients with Diabetes Mellitus-2 and Residual Elevated Triglycerides (200-500 mg/dL) on Statin Therapy at LDL-C Goal: The ANCHOR Study" ADA 2012; abstract 629-P


日本のJELIS研究(EPAの高脂血症患者における重大冠動脈イベント抑制効果:JELIS研究 2007年 03月 31日)では、5年全死亡率 19%減少という報告があり、REDUCEーITでは2倍投与量計画しているということ。

情報ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ADA/33188





でも、HDLコレステロール減少が気になる. 


“二次予防、すなわち、既往ある心血管疾患病歴患者で包括的心血管イベントに関する予防効果は不充分”
ω3不飽和脂肪酸(DHA、EPA) 二次予防効果に疑問  2012年4月10日火曜日


JELISではEPA 1800mg/日を用いて、 臨床的アウトカム上の有効性が示されている。
糖尿病ベースとはいえ、アウトカムに反映するにはHDL減少を考えれば不均衡なイメージを持つ。JELISも再検討したい気になる。

2012年6月9日土曜日

食物アレルギーは、田舎より都市部に多い

食物アレルギーも都市部が多い・・・という話。

喘息、湿疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎でも、都市部は田舎よりその罹患率が高いことが知られていた。一つの仮説は、いわゆる“衛生仮説”(下記参照)で、もう一つはアレルギー発症トリガーが都市部に多いことなどで説明されている。


Geographic Variability of Childhood Food Allergy in the United States
Ruchi S. Gupta, et. al.
CLIN PEDIATR May 17, 2012 0009922812448526


多変量ロジスティック回帰モデルを地域的分布と食物アレルギーの推定で行い、38464名の子供を検討。
人口密度増加に伴い食物アレルギー頻度増加
田舎 6.2%(95% 信頼区間 [CI] = 5.6-6.8)
都市部  9.8% (95% CI = 8.6-11.0)

田舎 vs 都市部のオッズにて、食物アレルギーオッズ( (オッズ比 [OR] = 1.7, 95% CI = 1.5-2.0)で、 大都市部 vs 田舎 (OR = 1.4, 95% CI = 1.2-1.5)

人種/民族、性別、世帯収入、緯度補正後も有意差残る




【衛生仮説あれこれ】
寄生虫と衛生仮説 2006年 09月 15日

衛生仮説:進歩版 “古い友人たちとの絶交がアレルギーを引き起こす” 2004年 05月 21日

あらたな衛生仮説:幼年期微生物暴露は成人CRPを低下? 2009年 12月 10日


衛生仮説:トリクロサン高濃度ほど小児のアレルギー疾患増加、成人ではBPAによる免疫系へ影響? 2010年 11月 29日

衛生仮説:H.pylori新生児期感染は気道過敏性減少と関連? 2012年3月21日

頸部マニピュレーションはやめるべき Yes vs No議論 ・・・ リスクある手技であることを認識すべき

頚部へのマニピュレーション(高速度、低振幅、エンドレンジ押しつけ(end range thrust))手技がメカニカルな頚部痛に対する処置として行われているが、多くの重篤な心血管系への合併症、特に、椎骨動脈動脈解離、椎骨・脳底動脈梗塞を引き起こす危険性を伴う


Head to Head :Should we abandon cervical spine manipulation for mechanical neck pain? Yes
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3679 (Published 7 June 2012) 
代替治療に対する非劣性結果と、安全性懸念から、頸椎へのマニピュレーションは不要で、行うべきないという主張。
 

Head to Head :Should we abandon cervical spine manipulation for mechanical neck pain? No
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3680 (Published 7 June 2012) 
頚部痛に対する、薬物、運動、mobilisation、マニピュレーション比較でベネフィット・有害性検討されたが、何れの処置にもQOL最大とする勝者は存在しなかった。
急性・亜急性頚部痛へのマニピュレーションに対して高品質

いずれにせよ、頚部へのマニピュレーション術はリスクを伴うという認識が必要


疑似医療行為や無資格疑似医療行為で行われているかもしれない日本の現状。
副事象分析が日本でも必要だろう。

ググると、“整体 AND マニピュレーション AND 頚部”と検索されるところが見つかる。


関連)
頸部へのマニピュレーション:無資格治療の危険性  2007年 03月 15日





民主党や一部自民でも、リスクに無知で、公的資格に格上げしようとする動きがある。そういう動きに同調する前に、リスク把握をするべきとおもうのだが・・・集票につながれば、国民に非利益性をもたらすことでも行おうとする議員が目立つ昨今・・・

非侵襲的出生前胎児診断が現実的に・・・

母体血清からの細胞フリーの胎児DNAによる非侵襲的検査が現実的に・・・


コストはともかく、リスクが少なく、誰でも簡単に胎児出生前診断ができるようになると、ますます、多くの倫理的問題が持ち上がることとなる。


Genomics
Noninvasive Whole-Genome Sequencing of a Human Fetus
Jacob O. Kitzman, et. al.
Sci Transl Med 6 June 2012:Vol. 4, Issue 137, p. 137ra76 


妊娠18.5週での、母体血清DNAによる胎児のgenome-wide maternal haplotyping, and deep sequencing

2.8×106両親のheterozygousサイトのInheritance(遺伝的形質) の予測は96.1%の正確性

胎児ゲノムのde novo point mutationについても39/44同定されたが、特異性に限界あり。

これらのデータのサブ解析とsecond family trioの解析で、両親ハロタイプの300kbのブロックは、母体DNAのshallow sequencingと組み合わせにより、胎児ゲノムの遺伝的要素決定に十分でった。

しかし、胎児のde novo genome-wide mutationの特異的検出のためには、母体血清DNAのultradeep sequencingは不可欠である。

テクニックや解析上チャレンジングな部分は残るが、 遺伝的変異やdeno mutationの非侵襲的分析はメンデル性遺伝性疾患劣性・優性出生前診断に役立つ。

 BBC(http://www.bbc.co.uk/news/health-18353055)に解説記事

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note