2013年3月21日木曜日

高potencyスタチン治療により4ヶ月間に急性腎障害入院発生率増加の可能性

スタチン服用と急性腎障害の関連性は、服用後1年以内で増加したとの報告があり、カナダからの報告(CNODES;or the CNODES investigators. CNODES: the Canadian Network for Observational Drug Effect Studies. Open Med2012;6:E134-40.でこの懸念浮かび上がっていた。 JUPITERでもその副作用の懸念があった。

 日本では、ロスバスタチン:クレストール 通常10mgまで、家族性20mgまで、アトルバスタチン:リピトール 通常10mg、重症40mgまで、 シンバスタチン:リポバス 通常5mg、重症20mgと添付文書上は記載がある。日本でも、以下の論文定義による高potencyスタチン治療として、クレストール10mg、 リピトール 20mg以上の場合が存在する。

高potencyスタチン治療により4ヶ月間に急性腎障害入院発生率増加の可能性
既存腎障害である、CKDの有無と無縁というのが予測可能性の上で、懸念として浮かび上がる。

Use of high potency statins and rates of admission for acute kidney injury: multicenter, retrospective observational analysis of administrative databases  
Colin R Dormuth, et. al.
Canadian Network for Observational Drug Effect Studies (CNODES)
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f880 (Published 19 March 2013)
目的 急性腎障害と高potencyスタチン vs 低potency スタチン間の相関性定量的評価
デザイン コホート研究・メタアナリシスベースの9つの住民ベース行政データベースの後顧的観察分析研究。ネステッド症例対照デザインによる各データベース被治療解析。スタチン現行・既往暴露の期間ばらつきに対する発生率を高potency、低potencyスタチンを、conditonalロジスティック回帰を用いた比較推定。発生比率は共役高次元propensityスコア項目で補正。
セッティング カナダ7地域、二つのUK・USデータベース
被験者 2 067 639 名(40歳以上、1997年1月1日から2008年4月30日までのスタチン新規使用。急性腎障害入院各人を10対照とマッチ化。
介入 前年にコレステロール低下薬剤されてない場合・ナイアシン処方の場合、薬剤調剤イベントを新規とする。高potencyスタチン治療は、ロスバスタチン10mg、アトルバスタチン20mg、シンバスタチン40mg以上をその定義とする; 他の全てのスタチン治療法を低potencyとする。スタチンpotencyグループを慢性腎不全有無のコホートに分割。
主要アウトカム測定 急性腎障害相対的入院比
結果 200万名超(非慢性腎臓病(CKD) 2,008,003名、慢性腎臓病 (CKD) 49636名)中、特性マッチ化させ、類似potensity score患者で比較。現行治療120日間内で、非CKD患者での急性腎障害入院イベント 4691、CKD患者での入院イベント 1896で、治療開始120日以内の高potencyスタチン服用者では、34%入院率高い  (fixed effect rate ratio 1.34, 95% 信頼区間l 1.25 〜 1.43)。CKD患者での高potencyスタチン服用者では、入院率増加は大きくない(1.10、0.99〜1.23)。  heterogeneity χ2 検定により患者site横断的に確認(注;CKD患者以外全て有意差無しで、全体的に解釈上影響なしのようだ)。
結論 高potencyスタチン使用は低potencyスタチン使用に比べ、入院を伴う急性腎障害発生率増加と相関する。スタチン使用120日で最も強い影響を受けるようだ。
 

2013年3月20日水曜日

18−50歳発症卒中:その後20年間で、標準化死亡比3−4倍

 日本の多目的コホート研究(JPHC研究)からの卒中予測式がメディアなどで報道されている。
 http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3284.html

発症確率では、どんなに健診成績が悪くても、若年者の場合には低く見積もられてしまうために、行動変容に結び付きにくいという問題点があります。そこで、 この研究では「血管年齢」も同時に推定し、血管が加齢している事実をわかりやすく示すことで、健康指導に活用しやすくしました。
これがポイントのようだが、見る限り、NHKをはじめメディアはそのことに触れてない・・・

肺年齢でひどいめにあったから・・・なるべく使わないようにするけど・・・
あなたの肺年齢は78歳ですねぇって、65歳の人に言ったら、著明に若返る方法があるわけでもないのに 、意味の無いこと言うなよと怒られた・・・確かに!)

血管年齢の予測項目見てもさほど改善しそうもない・・・
高血圧治療や糖尿病治療や肥満改善してもさほどスコア改善しそうもない
それで、ほんとに、モチベーション改善につながるのだろうか?

スコア化や「なんたら年齢」で、生活習慣改善するというエビデンスを示して初めて、これらのスコアや「なんたら年齢」が役立つと示せると思う。今のままでは単なるクソ役人押しつけとなんら変わらない。


卒中関係ということで・・・

18−50歳で卒中発症した人は予測死亡率より予後悪い。
標準化死亡比(SMR)で3−4倍というインパクト。

Long-term Mortality After Stroke Among Adults Aged 18 to 50 Years
Loes C. A. Rutten-Jacobs, et. al.
JAMA. 2013;309(11):1136-1144. doi:10.1001/jama.2013.842

18-50歳成人での初回卒中発症後の長期死亡率データ

Follow -Up of Transient Ischemic Attack and Stroke Patients and Unelucidated Risk Factor Evaluation (FUTURE) studyという、オランダ国内年齢・性別マッチ化死亡率比較(1980年1月1日から2010年11月1日)

初回TIA(n=262)、虚血性卒中(n=606)、頭蓋内出血(n=91)を2012年11月1日評価
平均フォローアップ期間は11.1年間(SD, 8.7年間)(中央値 8.3年 中間4分位, 4.0-17.4年)
死亡率を年齢・性別・カレンダー年齢特性で同等一般住民の死亡率と比較

主要アウトカム測定は、30日後生存卒中者の累積20年間死亡率

フォローアップ後、20.0%、192名死亡

30日間生存者のうち、20年間死亡累積率は
TIA 29.4%(95% CI, 16.0%-33.7%)
虚血性卒中 26.8%(95% CI, 21.9%-31.8%)
頭蓋内出血 13.7%(95% CI, 3.6%-23.9%)

観察された死亡率は余命予測より高い(標準化死亡比:standardized mortality ratio [SMR])
TIA 2.6 [95% CI, 1.8-3.7]
虚血性卒中 3.9 [95% CI, 3.2-4.7]
出血性卒中  3.9 [95% CI, 1.9-7.2]


虚血性卒中群において、30日め生存者中の20年累積死亡率は、男性で女性より高い (33.7% [95% CI, 26.1%-41.3%] vs 19.8% [95% CI, 13.8%-25.9%])

SMRは女性で 4.3 (95% CI, 3.2-5.6) 、男性で 3.6 (95% CI, 2.8-4.6)

全ての虚血性卒中病因病型に対し、観察研究死亡率は予測死亡率を上回った。

ASTRONAUTランダム化トライアル:アリスキレンの心不全付加治療の有益性証明されるも・・・

標準治療+アリキレン(直接レニン阻害剤;商品名 ラジレス)付加治療の心不全患者の心血管死亡・心不全入院減少効果

国際二重盲験プラシーボ対照化研究

気になるのは
米国FDA警告:アリスキレン(ラジレス) ACE阻害剤・ARB併用、特に糖尿病に関しては禁忌と・・・ 2012/04/21
この禁忌事項症例が登録されていることと、有効性NNT3%程度という効果が臨床的に真に有益なのかということ


Effect of Aliskiren on Postdischarge Mortality and Heart Failure Readmissions Among Patients Hospitalized for Heart Failure: The ASTRONAUT Randomized Trial
Mihai Gheorghiade, et al.
JAMA. 2013;309(11):1125 doi:10.1001/jama.2013.1954
対象:18歳以上、左室駆出率 40%以下、BNP 400 pg/mL以上 or NT-proBNP 1600 pg/mL、液過剰負荷サイン・症状
北米・南米・ヨーロッパ・アジア(2009年5月〜2011年12月)、2012年6月フォローアップ終了
アリスキレン 150mg →耐用性あれば300mgまで増量継続期間中央値 退院後11.3ヶ月
プライマリアウトカム:6ヶ月、12ヶ月時点での心血管死亡と心不全再入院

1639名をランダム化、1615名を有効性解析コホート(アリスキレン 808、 プラシーボ 807)、平均年齢65歳、平均LVEF 28%、糖尿病 41%、平均 eGFR 67 mL/min/1.73 m2ランダム時、NT-proBNP値は、4239、2718 pg/MLランダム時、利尿剤 95.9%、β遮断剤 82.5%、ACE阻害剤/ARB 84.2%、糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト 57.0%
プライマリアウトカム6ヶ月
アリスキレン服用 24.9%(心血管死亡 77、心不全再入院 153)プラシーボ服用 26.6%(心血管死亡 85、心不全再入院 166) (ハザード比 [HR], 0.92; 95% CI, 0.76-1.12; P = .41)
12ヶ月、イベント率
アリスキレン群 35.0%(心血管死亡 126、心不全再入院 212)
プラシーボ群 37.3%(心血管死亡 137、心不全再入院 224)
(ハザード比, 0.93; 95% CI, 0.79-1.09; P = .36)
アリスキレン群で、高カリウム血症、低血圧、腎障害/腎不全比率多し

事前NT-proBNP値は差あるのでは?結果的には、アリスキレン群の方が心不全状況悪い訳だから解釈上の問題はないとは思うが・・・

プライマリアウトカムのNNT(12ヶ月)2.9%程度の臨床的意義は、高カリウム血症・腎障害悪化という有害性を凌駕したといえるのだろうか?

ASSERTIVE研究:アリスキレンはARBに比べ降圧持続性がある 2012/04/20

医師主導型治験ということで逃げているノバルティス・・・KYOTOなんたら随分宣伝してなかったっけ?

2013年3月19日火曜日

アリストロキア酸:腎障害

アリストロキア酸
アリストロキア酸を含む生薬の現状
 日本の薬局方で認められている生薬にはアリストロキア酸は含まれていません(5)。生薬の場合、名称が同じでも使用部位や植物が国によって異なることが ありますので、海外から健康食品や「いわゆる漢方薬」を個人輸入する場合は注意する必要があります。http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail684.html



The Epidemiology, Diagnosis, and Management of Aristolochic Acid Nephropathy: A Narrative Review
M. Refik Gökmen, et. al.
Ann Intern Med. 19 March 2013;158(6):469-477

【高血圧】クロルタリドン市場撤退は結果的には正解だった?

クロルタリドン(Chlorthalidone)が無くなって久しくなる。ヒドロクロロチアジドに関して、有効性エビデンスきわめて少ないという認識の元、以下の記載した。
日本の循環器科医がアホであるという証明・・・・クロルタリドンの日本での扱い 2011年 03月 29日
今回のクロルタリドンの副作用報告を見ると、結果的には、クロルタリドンの有害性事象は無視できず、市場撤退も仕方なかったのかもしれない。 Chlorthalidone Versus Hydrochlorothiazide for the Treatment of Hypertension in Older Adults: A Population-Based Cohort Study Irfan A. Dhalla, M et. al. Ann Intern Med. 19 March 2013;158(6):447-455
5年間観察Propensity-matched観察コホート プライマリアウトカムは、死亡・心不全入院・卒中・心筋梗塞 安全性アウトカムには低カリウム血症・低ナトリウム血症 総数 29,873名、フォローアップ期間中、プライマリアウトカムは、イベント100人年 クロルタリドン 3.2 ヒドロクロロチアジド 3.4(補正ハザード比, 0.93[95% CI, 0.81 to 1.06]) クロルタリドンは低カリウム血症(補正ハザード比、3.06[CI, 2.04-4.58])、低ナトリウム血症(補正ハザード比, 1.68[CI, 1.24-2.28] 9つのpost hoc解析では、クロルタリドン 12.5、25、50 mgの方が、ヒドロクロロチアジド 12.5、25、50mgより低カリウム入院増加し、統計学的に有意差が6剤比較で見られた。 結果有効性安全性は主要解析でほぼ一致。

慢性腰痛:オステオパシー治療のランダム化対照効果

オステオパシー治療は、Cochrane Back Review Group criterionを超える効果が認められ、安全で、医療費節約的、需要性の良い治療であることが、ランダム化二重盲験sham対照トライアルで認められた。

オステオパシー治療は、慢性腰痛に対し、他の治療補完的効果を認める。

National Institutes of Health–National Center for Complementary and Alternative Medicine and the Osteopathic Heritage Foundationサポート研究



Osteopathic Manual Treatment and Ultrasound Therapy for Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
John C. Licciardone, et. al.
Ann Fam Med March/April 2013 vol. 11 no. 2 122-129 

非特異的腰痛短期改善・ランダム化二重盲験sham対照化2×2区分デザイン
・osteopathic manual treatment:OMT(n=230)
・ultrasound therapy(UST) :(n=225)
×
・UST(n=233)
・sham UST(n=222)

6回の治療セッションを8週間

ITT解析:12週時点での腰痛・軽度・特定以上改善(ベースラインからの30%、50%改善)測定
セカンダリアウトカム、安全性、治療アドヒアランス評価

 OMTとUSTに統計学的相互関係認めず

12週後、OMT受療患者は、shamOMTより、軽度治療反応(奏功 [RR] = 1.38; 95% CI, 1.16-1.64; P <.001) 、特定以上改善多い (RR = 1.41, 95% CI, 1.13-1.76; P = .002)
 この改善の程度は、中等度effect sizeとしての Cochrane Back Review Group criterionに合致。
背部特異的、一般健康状態、腰痛による労務不能、安全性アウトカム、治療アドヒアランスに関して、OMTとsham OMTに差を認めず

OMT群患者は、研究を通して背部痛にへの満足度高い(p < .001)

背部痛への薬物処方OMT受療患者は、12週後shamOMT群より減少(使用率=0.66、95% CI, 0.43-1.00; p=.048)
超音波治療は有効でなかった

オステオパシーは、ドイツ人医師、Samuel Hahnemann (1755-1843)が基本概念を1700年後半にはじめ、「血流良ければ全てよし」という概念で、ホメオパシー:"homeopathy"は、ギリシャ語のhomoios(similar)+pathos(suffering or disease)に由来する。 疑似科学からスタートしたという部分は否めない。骨格・筋肉のmanipulationにより全ての疾患治癒につながるというもので、どれも科学的支持のないものであった。ハーブ・ミネラル・薬物使用の報告が有り、患者の症状に合わせたmateria medicaと書籍では読んでいる。 Stephen Barrettは、 “Still believed that diseases were caused by mechanical interference with nerve and blood supply and were curable by manipulation of ‘deranged, displaced bones, nerves, muscles—removing all obstructions—thereby setting the machinery of life moving.’ ” と、Quackwatch(Homeopathy: The Ultimate Fake Stephen Barrett, M.D.)。 NCCAM(National Center for Complementary and Alternative Medicine)では、"There is little evidence to support homeopathy as an effective treatment for any specific condition."とかかれ、エビデンスほとんど無いという認識で、米国州毎のライセンス対応がばらばらでregulationされてないという認識である。そのNational Center for Complementary and Alternative Medicine and the Osteopathic Heritage Foundationサポート研究で、エビデンスが示されたのは興味深い。 今後、この報告の評価に関して、様々な意見が出てくるだろうが・・・反論としては、シャム・プラシーボの妥当性やブラインド化の妥当性、客観的指標の存在しないことの意義などが予測される。

AAN:スポーツしんとうガイドライン

エビデンスに基づくガイドラインアップデート要約:スポーツしんとう評価管理
"Summary of evidence-based guideline update: Evaluation and management of concussion in sports: Report of the Guideline Development Subcommittee of the American Academy of Neurology"
Giza C, et al
Neurology 2013.
http://www.aan.com/practice/guideline/index.cfm?fuseaction=home.guideline&guideline=582



解説記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/03/130318151409.htm
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAN/37926

・研究評価されているスポーツの中で、しんとうリスクが最も高いのは、フットボールとラグビーで、次にホッケー、サッカー。若年女性・小児女性ではサッカーとバスケットのリスクが高い。
・しんとう1回以上の既往アスリートは、次のしんとう診断リスクが高い。

・しんとう後10日で、次のしんとう診断リスクがもっともリスク大きい。
・フットボールヘルメットの種類により、他のヘルメット種類と比べ、しんとうに対し防御効果的かどうか明確なエビデンスは存在しない。ヘルメットは適切にフィットされ、持続されなければならない。
・しんとう治療のトレーニングを受けたライセンスを有する医療関係者は、症状経過(特に頭痛、fogginess)、しんとう既往、若年アスリートを調査すべき。これらの要素は、心頭語の回復長期化と関連する。
FREE Online Concussion Training for Coaches from CDC (AAN is a participating organization)
FREE Online Concussion Safety Course for High School and Youth Coaches from the University of Michigan (Endorsed by the AAN)
・職業的アスリートにおける慢性神経行動異常にリンクするリスク要素は、しんとう既往、スポーツ長期暴露、ApoE4遺伝子の存在である。
・しんとうは臨床診断である。 "Symptom checklists, the Standardized Assessment of Concussion (SAC), neuropsychological testing (paper-and-pencil and computerized) and the Balance Error Scoring System " が、しんとう診断・管理の有効なツール

 Concussion Quick Check: Use these materials to help you recognize the signs and symptoms of concussion
Download the Concussion Quick Check Reference Sheet
Download the Concussion Quick Check App
App Store
Google Play

・しんとうの徴候・症状
・頭痛と光・音への過敏性
・反応時間、平衡・協同運動の変化
・記憶、判断、言語、睡眠の変化
・意識消失、"blackout"(10%未満)
疑いがあれば退場を! 運動開始後頭痛などの症状歳出減なら、運動をやめ、医師にコンサルトする。



Additional source: Neurology
Source reference:
Alessi A, et al "Protecting the brain in sports: What do we really know?" Neurology 2013.

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...