2015年8月10日月曜日

バターは適量なら、HDL増加させ、心血管疾患高リスク以外は許容できるかもしれない

コレステロール食事摂取量に関してはガイドラインで1日300mg制限を撤廃したことが話題になった。さらに、飽和脂肪酸から多価不飽和脂肪酸への置き換えがより有益ということも記載されている。
http://www.health.gov/dietaryguidelines/2015-scientific-report/pdfs/scientific-report-of-the-2015-dietary-guidelines-advisory-committee.pdf

Strong and consistent evidence from RCTs and statistical modeling in prospective cohort studies shows that replacing SFA with PUFA reduces the risk of CVD events and coronary mortality.
 For every 1 percent of energy intake from SFA replaced with PUFA, incidence of CHD is  reduced by 2 to 3 percent. However, reducing total fat (replacing total fat with overall  carbohydrates) does not lower CVD risk. Consistent evidence from prospective cohort studies shows that higher SFA intake as compared to total carbohydrates is not associated with CVD  risk. DGAC Grade: Strong

では、具体的に、バターをオリーブオイルに置き換えると・・・


バター摂食高比率では、オリーブオイル食や通常食に比べ、総コレステロール、LDL増加する。しかし、中等度程度ならHDLも増加する。バター食は高コレステロール血症では考慮必要かもしれないが、正常者なら中等度では許容できるかもしれない




Butter increased total and LDL cholesterol compared with olive oil but resulted in higher HDL cholesterol compared with a habitual diet
Am J Clin Nutr August 2015  vol. 102 no. 2 309-315

平均年齢 40.4歳、BMI 23.5、女性比率70%の対照・2重盲検ランダム化2×5週間交差食事介入試験

全エネルギーの4.5%をバター、オリーブオイルでまかなう


バター摂取はオリーブオイル摂取に比べ、総コレステロール、LDLコレステロール増加 (P <0 .05="" 0.005="" 0.05="" p="" period="" run-in="">

HDLコレステロールは run-in period に比べ増加(P < 0.05)。



TG、hsCRP、インスリン、血糖濃度において、影響差認めず


飽和脂肪酸摂取は、オリーブオイルやrun-in periodよりバター期間で高い  (P <  0.0001)




細菌由来ニコチン分解酵素NicA2はニコチン依存治療の可能性?


いろいろ曰く付きの細菌 Pseudomonas putida由来ニコチン分解酵素であるNicA2、flavin-containing proteinが、ニコチン治療に使えるか?



新聞記事:
http://nycity.today/content/283988-nicotine-eating-bacteria-could-help-smoking-cessation-scripps-research-institute





A New Strategy for Smoking Cessation: Characterization of a Bacterial Enzyme for the Degradation of Nicotine
Song Xue et. al.;Worm Institute for Research and Medicine (WIRM)
J. Am. Chem. Soc., http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacs.5b06605


Km、kcat、 buffer/serum half-life、 thermostabilityといった動態指標を研究し、禁煙治療にとって良好な生化学特性を有する酵素であることが判明した



スモーカーの報酬系への影響を減弱する可能性は果たして禁煙に繋がるのだろうか?

2015年8月6日木曜日

COPD:気紛らわし音楽:distractive auditory stimulus (DAS) 長期使用で初めて効果

distractive auditory stimulus (DAS)は以前からトレーニング時使用として有用性認められている。


上記報告を無視して効果の報告内と書かれてる、COPD患者での音楽DAS使用のシステマティック・レビュー




Distractive Auditory Stimuli in the Form of Music in Individuals With COPD: A Systematic Review
Annemarie L. Lee, et. al.
Chest. 2015;148(2):417-429. doi:10.1378/chest.14-2168

13研究、うちRCT12、交差トライアルを含む、415名対象

DASは、運動トレーニング2ヶ月以上適応時運動能力増加(WMD 98m; 95信頼区間:CI、 47−150m)

HRQOLは、3ヶ月以上でないと改善効果認めない

運動トレーニング中DASで呼吸困難軽減が見られるが、これは短期運動試験では一致せず、安静時症状マネージメント戦略でも一致した所見ない




2015年8月5日水曜日

中国中年以上女性:思春期の頃の運動は死亡率、心血管・がん死亡減少と関連

子供の頃の運動習慣はその後の人生に影響を与える・・・というのは大袈裟で、全年齢層において運動は健康上ベネフィットがあり、その開始が早いほど良いという程度という解説もなされている。





40−70歳の中国女性74941名の前向き研究で、成長期(13−19歳)運動は成人期運動と関連しない死亡率減少と効果を示す



Adolescent Exercise in Association with Mortality from All Causes, Cardiovascular Disease, and Cancer among Middle-Aged and Older Chinese Women
Sarah J. Nechuta1,et. al.
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention Published OnlineFirst July 31, 2015; doi: 10.1158/1055-9965.EPI-15-0253


生下年や他の成長期要素補正後、青年期運動はがん、CVD、全死亡率と相関  [HRs (95% CI),; 週1.33時間以下 0.83 (0.72–0.95), 0.83 (0.70–0.98)、0.78 (0.71–0.85)、週1.33時間超 0.83 (0.74–0.93), 0.62 (0.53–0.72),  0.71 (0.66–0.77),  (reference = none)]


成人社会経済状況・ライフスタイル要素補正後関連性は減衰


スポーツチーム参加では、がん死亡率と逆相関する [HR (95% CI), 0.86 (0.76–0.97)]


青年・成人期ジョイント運動は、全原因死亡率、CVD、がん死亡率減少と相関  [HRs (95% CIs), 0.80 (0.72–0.89), 0.83 (0.69–1.00), and 0.87 (0.74–1.01), respectively]、成人・成長期要素補正後、青年期の運動のみががん死亡率減少と逆相関  [HR (95% CI), 0.84 (0.71–0.98)]


 子供の頃の運動が筋力の強度・耐用性を改善し、身体活動性の能力を向上させ、心身面に影響を与え、体重コントロール、自己ESTEEMの改善などに好影響を与えるのだろうと・・・。がんに於ける肥満関連機序も関連するという説明もなされている。

GLUCOLD 研究:COPD患者では、ステロイド吸入中止後1秒量低下再発

COPDへの吸入ステロイド(ICS)投与はどの段階で行われるべきなのか・・・さらに悩みが深くなる。


ICSでは感染リスク増悪など疑問がある一方、FEV1減少緩和効果も示されている。だが、その後中止するとFEV1減少効果消失する。




Relapse in FEV1 Decline After Steroid Withdrawal in COPD
Lisette I. Z. Kunz, et. al.; the GLUCOLD Study Group
Chest. 2015;148(2):389-396. doi:10.1378/chest.14-3091


背景: ICS治療30ヶ月でCOPDのFEV1減少緩和するという報告が筆者等からなされたが、ICS中止後再発あるかないかは不明であった。長期使用後でさえICS中断すると、FEV1減少、気道過敏性(AHR)、QOL悪化仮説の検証。


研究方法: GLUCOLD研究の一部として、フルチカゾン/サルメテロール(500/50 μg bid)、プラシーボ30ヶ月治療後、114名の中等症・重症COPDをフルチカゾン500μg bidを6ヶ月間あるいは30日間治療にランダム割り付け(GL1)
引き続く5年間で、年次前向きフォロー。GLUCOLDフォローアップ研究2として医師治療(GL2)。
気管支拡張剤後FEV1、AHR、QOLをベースライン、30ヶ月後(GL1)、年次調査(GL2)
Linear mixed-effects model解析

結果: GL1アドヒアランス101名患者、GL2完遂58名

GL1中ICS使用患者では、GL2期間中ICS使用0%−50%使用のみ(n = 56/79)で、GL-1に比べて、年次FEV1減少加速する; GL2-GL1差 [95% CI]: フルチカゾン/サルメテロール30-ヶ月間治療群  −68 mL/y [−112 to −25], P = .002;  フルチカゾン30ヶ月治療群 −73 mL/y [−119 to −26], P = .002)、AHRやQOL減少と関連。


結論: COPD患者30ヶ月間のICS治療中断後、5年間フォローアップすると、肺機能減少は悪化し、AHR、QOLも低下する。
このことは、ICS治療は、治療中断後持続的な疾患修正効果を有しないことを示唆。


2015年8月4日火曜日

閉経後女性へのビタミンD投与は高用量でさえ骨密度、転倒、筋肉量・質へ影響与えない

そもそも、「ビタミンD濃度増加≠臨床的ベネフィット」である。ビタミンD濃度増加してもそれが臨床的ベネフィットにつながるかは?

ビスフォスフォネートの骨密度でも同様だと、私は思うのだが・・・Cochrane Reviewで骨折に対しても一次予防効果認めず、二次予防で疑念有りながらやっと・・・。これで「骨折予防にビスフォスフォネート」などと言えるもんだと・・・

今回の報告は、筋骨格筋健康のための至適な25−水酸化ビタミンD(25[OH]D)濃度は? ビタミンD欠乏閉経後女性に於ける、1年間の活性化ビタミン製剤:コルカルシフェロールの低用量、高用量、プラシーボ投与でのtotal fractional calcium absorption、bone mineral density、Timed Up and Go and five sit-to-stand testsとmuscle mass の変化評価



高用量ビタミンD投与しても、カルシウム吸収はさほど増えず、椎体、股部、全身の骨の骨密度増加は僅か1%程度増加するのみ。高用量だって、筋肉量や筋肉フィットネス、転倒へ影響を与えるほどの効果は無い。



Treatment of Vitamin D Insufficiency in Postmenopausal Women A Randomized Clinical Trial
 Karen E. Hansen, et. al.
JAMA Intern Med. Published online August 03, 2015


ランダム化二重盲検プラシーボ対照化臨床トライアル
ベースライン25(OH)D濃度 14−27 ng/mLの75歳以下の230名の閉経後女性・骨粗鬆症無し
介入  3群
・ daily white and twice monthly yellow placebo (n=76)
・ daily 800 IU vitamin D3 and twice monthly yellow placebo (n=75)
・ daily white placebo and twice monthly 50,000 IU vitamin D3 (n=79)
ビタミンD高用量レジメンは、25(OH)D濃度 30 ng/mL以上を維持目的

主要アウトカム・測定項目
1年後の、2つの安定アイソトープを用いたtotal fractional calcium absorption 、DEXA測定骨密度・筋肉量、 Timed Up and Go and five sit-to-stand tests、 functional status (Health Assessment Questionnaire), and physical activity (Physical Activity Scale for the Elderly)
偽所見率コントロールP値Benjamini-Hochberg補正


結果
ベースラインの吸収値補正後、カルシウム吸収率は高用量で1% (10 mg/d) 増加(P = .005 vs 高用量群)、低用量で2%減少(P = .005 vs 高用量群)、プラシーボで1.3%減少(P = .03 vs 高用量群)。

椎体、平均総股部、平均大腿頚部、体全体骨密度、骨梁部骨スコア、筋肉量、Timed Up and Go や five sit-to-stand test scoreに関して群間差認めず

同様に、転倒数、転倒者数、身体活動、機能状況に群間差認めず

結論・知見
高用量コレカルシフェロール治療にてカルシウム吸収率を高めるが、その効果は乏しく、骨密度、筋機能、筋肉量、転倒へのベネフィット効果までは相当しない。
閉経後女性、血中25(OH)D 30 ng/mL以上を維持する専門委員会推奨のデータを見いだせなかった。
このコホートの25(OH)D濃度 30 ng/mL未満の女性の骨、筋肉への低用量・高用量コレカルシフェロールのアウトカム効果はプラシーボと同等

US予防医療サービスタスクフォースでは、閉経後女性65歳以上で、転倒リスクのある場合ビタミンD補充を勧めている。


ビタミンDサプリメントの議論が終わり、米国の委員会での推奨を止め?
「骨の健康」のためと称して、ビタミンDサプリメントを否定すべき最終的根拠としたい。ビタミンD濃度が多く測定され、サプリメントが様々な量投与されているが、こういうことは止めた方が良いと報告。魚脂、全粒穀物・卵・乳製品高摂取組み合わせとともに、ビタミンD製剤接種によるビタミンD濃度増加に伴い、腎障害や消化管障害などの可能性さえある。



英国委員会は、ビタミンDは骨の健康に必須で補充十分すべきで、10mg投与必要としている。




ついにまともな早期膵がんバイオマーカー出現? 

といっても、単一じゃなく3つのマーカーくみあわせなのだが・・・尿中LYVE-1REG1ATFF1

膵管腺癌(PDAC)の非侵襲的バイオマーカーは現時点で現実的なもの存在しない。早期PDAC同定可能な尿検査による候補報告


Identification of a Three-Biomarker Panel in Urine for Early Detection of Pancreatic Adenocarcinoma
Tomasz P. Radon, et. al.
Clin Cancer Res August 1, 2015 21; 3512
 LYVE-1、 REG1A、 TFF1を候補バイオマーカーとして選別。

健康対照者 87、 PDAC 192の尿試料を検討比較

AUC/ROCの結果トレーニング試験(データの70%)で0.89 [95% 信頼区間 (CI), 0.84–0.94]、確認試験(データ30%)で0.92 (95% CI, 0.86–0.98)

PDAC Stage I-II (n=71)の正常対照比較で、AUCは、トレーニング試験 0.90 (95% CI, 0.84–0.96) 、 確認試験 0.93 (95% CI, 0.84–1.00)

この候補バイオマーカーに血中CA19-9を加えると、AUCは   0.97 (95% CI, 0.94–0.99) から0.99 (95% CI, 0.97–1.00, P = 0.04)へ増加するが、健康対照尿と比較してStage I-IIA PDAC比較では改善せず




もうひとつは、同じくPDACの組織内マーカーの予後因子

 GSK3β 発現は、膵管腺癌(PDAC)の予後と強い相関あり、Stage(T)、N因子、腫瘍マージン、CA-19-9と独立した因子である。



Glycogen Synthase Kinase 3β predicts survival in adenocarcinoma of the pancreas
Edgar Ben-Josef, et. al.
Clinical Cancer Research 
Published OnlineFirst August 3, 2015; doi: 10.1158/1078-0432.CCR-15-0789

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...