2018年6月22日金曜日

健康的な食生活選択の鍵を握る前頭前皮質

味覚を優先し食品を選択するか、健康的な食品を選択するかは悩ましいところだろうが、
健康な食品を選択する脳の解剖学的画像データは存在するのか?


背外側部前頭前皮質(dlPFC)および腹内側部前頭前皮質(vmPFC)における灰白質の量がそれを予測できる

dlPFCとvmPFVの神経解剖の違いが、個人の健康的な食生活選択に影響を及ぼす



Neuroanatomy of the vmPFC and dlPFC Predicts Individual Differences in Cognitive Regulation During Dietary Self-Control Across Regulation Strategies.
The Journal of Neuroscience, 2018; 38 (25): 5799 
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.3402-17.2018


食選択以前に食品アイテムの健康度にフォーカスするよう促した
上記如く、dlPFC、vmPFCの灰白質量の個人差で規則性を見いだした

この知見を確認するため、二つ目のデータセットで不健康な食欲を引きつける食品を求める状況から離れるよう被検者に要求し、サンプルとタスクの規則性を確認





神経性食欲不振・過食症などの食選択機能不全状態を特徴とする摂食障害などや、自己制御不能の過体重・肥満への対応など、研究への一歩となるか? さらには神経フィードバック練習など脳の機能的制御で、こ前頭前皮質の灰白質量を変えることができると思われる・・・と解説


今までは、飢餓とか空腹とか、満腹とかだったが、理性的、抑制的判断に関わる脳の部位について検討ということで興味深い
理性が打ち勝てば理知的食選択ができるはず・・・

特発性肺線維症:制酸剤の生存率ベネフィット 研究バイアスに注意


IPFに関して制酸剤と鎮咳剤の推奨どうすれば良いのか日常管理上の課題の一つ


逆流性食道炎(GORD :oesophagealと表記のためGERDではない)と特発性肺線維症の関連示唆され、観察研究から制酸剤のベネフィット報告されるも、"immortal time bias"によりそのエビデンス打ち消された。故に、未だ不明。

The effect of anti-acid therapy on survival in idiopathic pulmonary fibrosis: a methodological review of observational studies
European Respiratory Journal 2018 51: 1800376; DOI: 10.1183/13993003.00376-2018
http://erj.ersjournals.com/content/51/6/1800376

10の観察研究、5つの研究中4つで、immortal time biasの影響を受けての制酸治療による死亡率へのベネフィット効果報告(pooled hazard ratio 0.46; 95% CI 0.30–0.69)、5番目ではバイアス関連不明
immortal time bias回避5研究では、制酸剤の死亡率への影響認めず (pooled hazard ratio 0.99; 95% CI 0.81–1.22)






Immortal time bias: 追跡中あるいは観察期間中において死亡が起きえない期間で、特にコホート研究において、登録時から薬物暴露開始までの期間には研究対象は必ず生存しており、疫学上の「Immortal time」期間となる。「Immortal time」を含めて解析すると、介入群の方が生存期間を長くカウントするバイアスを指摘。
COPDの吸入ステロイドに関するトライアルでintention-to-treat approachとaccording-to-treatment approachで前者0.75有意差有り、後者 0.94有意差無しとなる解離認め、暴露定義と暴露開始時期の定義再考必要となった。1−3回まで処方される期間は患者が生存してなければ処方されず、3回目の処方を暴露開始とカウントするなど考慮が必要とされた
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/135/6/135_15-00006/_pdf




介入による効果がでないはずの時期に、介入機会を失うことが、効果判定にバイアスになる。故に、介入一定期間後での差で検定を・・・ということか?

2018年6月21日木曜日

メタボリックシンドローム;レジスタンス運動の心血管疾患リスク減少効果の検証不十分

メタボリックシンドローム(MetS)成人での好気的運動・レジスタンス運動、その組み合わせの効果

MetSのリスク管理、予防に関し、運動・身体活動がまずは求められている。好気的運動は間違いなく効果があるだろうが、レジスタンス運動は付加的に推奨されているだけで、またそのベネフィットは、実地検証文献レベルでは示されていない。


メタボリックシンドローム成人への運動効果としてのシステマティック・レビュー・メタアナリシス


Aerobic, resistance or combined training: A systematic review and meta-analysis of exercise to reduce cardiovascular risk in adults with metabolic syndrome
Atherosclerosis July 2018 Volume 274, Pages 162–171
https://www.atherosclerosis-journal.com/article/S0021-9150(18)30229-6/

16の介入、11研究(好気的運動 12、 レジスタンス運動 4)

好気的運動では、ウェスト径(-3.4 cm )、空腹時血糖(-0.15 mmol/L)、HDL (0.05 mmol/L)、トリグリセライド(TG) (-0.29 mmol/L)、拡張期血圧(-1.6 mmHg)、心血管フィットネス( 4.2 ml/kg/min.) において効果認める(P< 0.01、0.03、0.02、< 0.01、< 0.01)

レジスタンス運動ご有意な効果を認めず

サブ解析にて、好気的運動強度高まるほど、そして12週間以上週3日の施行で改善程度大きくなり改善指標増加する






左下段ののみ逆になってるので注意:右の方が運動効果有り
他は全て左の方が運動効果有り
A、B、Cの二分割では上が好気的運動、下がレジスタンス運動

左:上段からFig.2A ウェスト径、 Fig.2B 空腹時血糖、 Fig.2C HDL-C
右:同様、Fig.3A TG値、Fig.3B 収縮期血圧、 Fig.3C 拡張期血圧





2018年6月20日水曜日

ストレス関連障害は自己免疫疾患発生率増加と関連

序文、“人生のある時点において、外傷や重大な生活上のストレッサー、例えば愛する人を失ったとか様々な病気や暴力に遭うとか、多くはそんな不幸に対して次第に回復するが、重篤な精神疾患を進展する場合もあり、PTSDや急性ストレス反応などを生じる。こういったストレス関連疾患が生理学的変化をもたらし、HPA系(視床下部・下垂体・副腎システム)や自律神経系の異常を生じることもある。さらにはmultiple bodily system、例えば免疫機能などで、疾患感受性を増大する可能性がある”とはじまる





Question  外傷や他の生活ストレッサーによる精神反応が自己免疫疾患のその後のリスクとなり得るか?
Findings  Swedish register-based retrospective cohort study、ストレス関連疾患 106,464名をマッチ化非暴露対照 126,652名で、ストレス関連疾患臨床診断暴露にて有意に自己免疫疾患のリスク増加を示した(発生率 1000人年あたり 9.1 vs 対照 6.0 、兄弟 6.5)

Association of Stress-Related Disorders With Subsequent Autoimmune Disease
JAMA. 2018;319(23):2388-2400. doi:10.1001/jama.2018.7028

ストレス関連疾患診断年齢中央値 41歳 (IQR, 33-50歳)、暴露群男性比率40%

フォローアップ平均10年間、自己免疫性疾患発生率:千人年あたり 暴露群 9.1、マッチ化対照 6.0、兄弟コホート 6.5  (住民と兄弟ベース各々参照群比較絶対的発生率差 3.12 [95% CI, 2.99-3.25] 、2.49 [95% CI, 2.23-2.76] per 1000 人年)

非暴露群に比べ、ストレス関連疾患では自己免疫疾患リスク増加 (HR, 1.36 [95% CI, 1.33-1.40])

PTSD患者でのハザード比は、いずれかの自己免疫疾患、3以上の多系統自己免疫疾患で各々 1.46 (95% CI, 1.32-1.61) 、 2.29 (95% CI, 1.72-3.04)

これらの相関は、兄弟ベース参照群比較でも一致

相対リスク増加は、若年者でより明らか   (33歳以下 HR, 1.48 [95% CI, 1.42-1.55]; 34−41歳 1.41 [95% CI, 1.33-1.48]; 42-50歳 1.31 [95% CI, 1.24-1.37]; 51歳以上  1.23 [95% CI, 1.17-1.30] for age at ≤33, 34-41, 42-50,  ≥51 years; P for interaction < .001)

PTSD初年期間中SSRI持続使用は自己免疫疾患の相対リスクを軽減 ( 179日間以下 HR, 3.64 [95% CI, 2.00-6.62];180-319日間 2.65 [95% CI, 1.57-4.45]; 320日以上 1.82 [95% CI, 1.09-3.02] ; P for trend = .03)





Diseases of the endocrine system
Addison disease
Autoimmune thyroid disease Diabetes
All (population-based analysis) All (between-siblings analysis)

Inflammatory arthritis
Reiter syndrome
Ankylosing spondylitis Rheumatoid arthritis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Vasculitis
Henoch-Schonlein purpura
Giant cell arteritis Granulomatosis with polyangiitis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Connective tissue disorders
Sjögren syndrome
Systemic lupus erythematosus Polymyositis
Systematic sclerosis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Diseases of the skin system
Vitiligo
Psoriasis
Dermatitis herpetiformis Alopecia areata
Bullous pemphigoid
All (population-based analysis) All (between-siblings analysis)

Hematological diseases
Pernicious anemia
Idiopathic thrombocytopenic purpura
Autoimmune hemolytic anemia
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Diseases of the nervous system
Guillain-Barré syndrome
Myasthenia gravis
Acute disseminated encephalomyelitis
Multiple sclerosis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Diseases of the digestive system
Crohn disease
Celiac disease
Ulcerative colitis
Primary biliary cirrhosis
All (population-based analysis) All (between-siblings analysis)


Other diseases
IgA nephropathy
Sarcoidosis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)


テレビやラジオ・新聞・週刊誌などで「ストレスが自己免疫疾患を生じさせる」などとストレス(ストレッサー)を疾患に直結して表現と遭遇する度、気になるのは私だけだろうか?

“ストレッサーへの不適応に基づく重度精神疾患”は、自己免疫疾患の発症蓋然性を高める可能性を示唆した論文であり、人生でぶち当たるストレッサーがあまねく蓋然性を高めるわけではない。
ストレス対応に対する心理療法など非薬物治療を軽視され続けている日本の精神医療のせいかわからないが、メディアなどに流布される、ストレス(ストレッサー)=>即、精神的不調というわけではないわけで・・・




2018年6月19日火曜日

COPDリハビリテーション:付加的吸気筋トレーニング効果

付加的(adjunctive)吸気筋トレーニング(IMT)によりCOPD患者の呼吸リハビリテーションのベネフィット促進効果あるか ?


吸気筋トレーニングはリソースも限られ時間的制限もあり、プログラムとして採用されているのは過半行かない状況。IMT単独では吸気筋機能(筋力と持続能力)、呼吸困難症状改善効果、運動耐容能改善効果が示されている(
general exercise training(GET)との組み合わせへの付加的効果に関しては支持データ不十分と言うことでこの研究ということらしい


プライマリアウトカムの6分間歩行距離では効果認めなかったが、
サイクリング運動の運動耐容能改善、呼吸困難度の改善がみられた


どう解釈するか・・・

Randomised controlled trial of adjunctive inspiratory muscle training for patients with COPD

Charususin N, et al. Thorax 2018;0:1–9. doi:10.1136/thoraxjnl-2017-211417
http://thorax.bmj.com/content/early/2018/06/18/thoraxjnl-2017-211417


FEV1 予測比 42%±16%、吸気筋力低下 PImax 51±15 cm水柱


  • 介入群 (IMT+PR; n=110)
  • 対照群 (Sham-IMT+PR; n=109)

2重盲検、多施設ランダム化対照トライアル (ClinicalTrials.gov NCT01397396)

事前定義プライマリアウトカム:6分間歩行距離(6MWD)
事前定義セカンダリ呼吸筋機能、サイクリング持続時間


6MWD改善:介入群 (n=89) 、対照群 (n=85) に差を認めず  (0.3 m, 95% CI −13 to 14, p=0.967)

介入群完遂評価患者では、対照群に比較して、呼吸筋力到達ゲイン大きく (effect size: 1.07, p<0 .001="" 0.79="" 149="" 1="" ci="" effect="" endurance="" isotime="" org="" p="" size:="" to="">
結論:付加的IMT導入後呼吸筋機能の改善は6分間歩行距離の付加的改善をもたらさなかった(プライマリアウトカム)
しかし、endurance timeの増加、呼吸困難指標の改善がサイクリングendurance中に見られた(セカンダリアウトカム)




糖尿病と心血管疾患リスク:各々別の炎症性特性を有する

“炎症”という一言で表現できないようで、

糖尿病と心血管疾患は重複するリスク要素を有することは、共有するmolecular driver、pathwayの存在、遺伝子subnetworkの存在から支持される。肥満を引き起こすインスリン抵抗性と心血管疾患の遺伝子発現変化のoverlapなど。さらには低程度慢性炎症とインスリン抵抗性、代謝障害が糖尿病と心血管疾患の共通土壌となっていることも明らか。ただ、pathogenesis上の特異的変化が想定される。

そういう視点で、発症に関係する炎症に特性の違いは無いかを探ると・・・



Comparing the inflammatory profiles for incidence of diabetes mellitus and cardiovascular diseases: a prospective study exploring the ‘common soil’ hypothesis
Cardiovascular Diabetology201817:87
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0733-9©  The Author(s) 2018
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0733-9



Malmö Diet and Cancer cohortをベースに、25,969名の被検者、糖尿病、心血管疾患既往なし
平均フォローアップ 17.4± 4.58年間、心血管疾患発症率を検討
7つの炎症性マーカーを検討し糖尿病発生率、心血管疾患発生率を4658名対象にLunn–McNeil competing risks approachで検討

通常リスク要素補正後、総、分画白血球数、orosomucoid、CRPは、糖尿病、心血管疾患リスクと相関

好中球/リンパ球比、セルロプラスミン、αアンチトリプシン、soluble urokinase plasminogen activator receptorはCVDリスク増加と関連するも、糖尿病リスク増加とは関連せず

ハプトグロビン、補体C3は、逆パターン(糖尿病と強く関連)

競合リスクモデル解析にて、リンパ球数、補体C4は心血管疾患リスクより糖尿病リスクと強く相関  (p for equal associations = 0.020 , 0.006)

好中球/リンパ球比が逆関係となっている (p for equal associations = 0.025)


感度分析にて結果一致性あり


“世の中に免疫が強いとか弱いとか言う人多すぎ” これだけ複雑な仕組みが判明下のだから、強い弱いで表現できるはずもなく・・・

手っ取り早い解釈をしたいが為に間違った常識を積み上げてるんじゃ無いかと思う事象が世の中に多い。

入院必要COPD患者のQTc延長の臨床的重要性?

タイトル魅力あり、全文フリーなので、ラッキーと一瞬思ったが

COPDの有無に関係ない話でした



Significance of prolonged QTc in acute exacerbations of COPD requiring hospitalization
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease 
Published 14 June 2018 Volume 2018:13 Pages 1937—1947
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S157630
https://www.dovepress.com/significance-of-prolonged-qtc-in-acute-exacerbations-of-copd-requiring-peer-reviewed-article-COPD

横断研究、後顧的解析から前向き検討

後顧的に、低カリウム血症、心Troponin T、心電図伝導障害は有意に独立してQTc延長と相関
QTc延長は全死亡率と相関 (HR 2.698 (95% CI 1.032–7.055), p=0.043)するも、年齢、FEV1、心Tropoin T補正後有意性を失う

前向き検討にうつり、AECOPDもしくは肺癌、肺感染症、他の肺疾患診断の1/3にQTc延長見られるも、特に AECOPDで多い訳ではなかった

QTc持続時間は入院中にCOPDの有無にかかわらず減少する

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note