2018年9月6日木曜日

2型糖尿病:心不全への他血糖降下剤比較でSGLT2i圧勝ってことらしいが・・・ほんまかいな?

”CANVAS, EXSCEL, SUSTAIN-6, LEADER, TECOS, EMPA-REG Outcome, ELIXA, SAVOR-TIMI 53,EXAMINE”を含めメタ・アナリシス

解説:
https://www.medpagetoday.com/cardiology/diabetes/74931

Comparison of new glucose-lowering drugs on risk of heart failure in Type 2 Diabetes: A network meta-analysis
Retnakaran R, et al
JACC Heart Fail 2018.

SGLT-2阻害剤評価限定トライアルのpooled analysisで対プラシーボにて有意な心不全入院リスク減少  (RR 0.56, 95% CI 0.41-0.77, P=0.067, I2=70.2%)

GPL-1、DPP-4限定の2つのpooled analysisではどのクラスでも有意なリスク減少認めず

  • GLP-1 agonists: RR 0.94 (95% CI 0.84-1.04, P=0.74, I2=0.0%)
  • DPP-4 inhibitors: RR 1.11 (95% CI 0.95-1.30, P=0.177, I2=42.4%)


良いんだけど、HbA1cだけで比較してもバックグラウンド全然違うんだけど・・・
”CANVAS, EXSCEL, SUSTAIN-6, LEADER, TECOS, EMPA-REG Outcome, ELIXA, SAVOR-TIMI 53,EXAMINE”を

こんなの比較して良いのだろうか?




【コホート報告】ボルタレン使用と心血管リスク

ボルタレン(ジクロフェナク)というのはかなり問題ある薬剤で、これ以外に腎障害との関連性もあるはず・・・




厳格なデザインクライテリアに類似したデンマーク国内コホート
悪性疾患・統合失調症・認知症、心血管疾患・腎疾患・肝疾患・潰瘍性疾患無しの対象者

Diclofenac use and cardiovascular risks: series of nationwide cohort studies
BMJ 2018; 362
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3426 (Published 04 September 2018)

ジクロフェナク開始者の副事象イベント発生頻度比 

  • 対 非使用者 50%増加 , 95% 信頼区間1.4 to 1.7)
  • 対 パラセタモール、イブプロフェン開始者 比較 20% 増加(both 1.2, 1.1 to 1.3)
  • 対 ナプロキセン 比較 30%増加 (1.3, 1.1 to 1.5)



非使用者比較の複合エンドポイントの何れのコンポーネントでもイベント発生率比増加

  • 心房細動: (1.2 (1.1 to 1.4) 
  • 虚血性卒中:1.6 (1.3 to 2.0) 
  • 心不全:1.7 (1.4 to 2.0) 
  • 心筋梗塞:1.9 (1.6 to 2.2)
  • 心臓死:1.7 (1.4 to 2.1) 


ジクロフェナク低用量でも同様


副事象心血管イベントはベースラインリスク低・中等度(例えば糖尿病など)で最も大きく、絶対リスクではベースラインリスク高値(例えば、心筋梗塞・心不全既往)ほど高い

ジクロフェナク開始は、また、30日めで上部消化管出血リスク増加し、非開始者の4.5倍、イブプロフェン・パラセタモール開始者の2.5倍、ナプロキセン投与とは同程度





震災 心からお見舞い申し上げます。道内全域停電とCrash Syndromeなど心配しております。直下型であった阪神淡路大震災が前例でしょうが、これほどの広域&孤立したの大停電は未曾有の災害で医療機関など非常用電源の燃料など底をつかないかと心配しております。25年前の13号台風の時に5日間ほど通電無かった医療機関にいた経験があり、心痛の至りです。

2018年9月4日火曜日

体内時計ノックアウトマウスでも、時間制限食事法にて肥満・メタボリックシンドローム予防効果

10時間食事しない時間を作りなさい ・・・ と!



biological clockノックアウトマウス実験で肥満・メタボリック疾患予防上健康代謝に必要と改めて確認

細胞は全て概日リズム制御下にあり、例えば、夜間細胞修復に充てられ、消化管運動は目覚め前から活動する。
"Time - Restricted Eating”(時間制限食事法)が、"clock-less"マウスにおいても有効であることを検証

高脂肪食レジメン
1)いつでも食事可能
2)10時間のみ制限窓

さらに、"clock-less"マウスで同様検討

"clock-less"マウスも"Time - Restricted Eating”(時間制限食事法)により健康的な状況となった。




示唆的な実験だが、あくまでも動物実験



Time-Restricted Feeding Prevents Obesity and Metabolic Syndrome in Mice
Lacking a Circadian Clock
Amandine Chaix, et al.
Cell Metabolism 30 Aug. 2018
https://doi.org/10.1016/j.cmet.2018.08.004

概日時計変異マウスは代謝性疾患罹患感受性増加し、これは、"molecular clock"(分子時計)が代謝ホメオスタシス上必要とのアイディアとなっている。しかしマウスは通常の食事(給餌)/空腹サイクルではない事が多い。
"Time - Restricted Eating”(時間制限食事法):TRFが肥満、メタボリックシンドローム予防に役立つか、whole-body Cry1;Cry2、肝特異的Bmal1、Rev-erba/βノックアウトマウスで検証。
ad libitum食(自由給餌)で、急激に体重増加、遺伝子型特異的メタボリック障害出現。
TRF(暗期間10時間食事アクセス制限)で同様給餌、体重増加、メタボリック疾患予防
Transcriptome、metabolome解析で、TRFは肝脂肪蓄積減少、メタボリック・ストレスへの細胞防御促進。
結果は、概日時計が摂食および絶食における毎日のリズムを維持し、栄養素と細胞ストレス反応とのバランスを維持することによって代謝ホメオスタシスを維持することを示唆している。

2018年8月31日金曜日

ASCEND:糖尿病患者の心血管イベント一次予防アスピリン:血管イベント軽減効果より出血コスト上回る

アスピリン心血管イベント一次予防に対し重大血管イベントは期待通り軽減するも、大出血のコストは使用を支持するには高すぎる

平均7.4年間フォローアップ



Effects of Aspirin for Primary Prevention in Persons with Diabetes Mellitus
The ASCEND Study Collaborative Group
August 26, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1804988
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1804988

【心血管イベント】


【出血リスク】

閉塞型無呼吸へのモルヒネ投与:換気応答ベースライン低反応例、OPRM1遺伝子型に依存 一般に影響認めず

なかなかチャレンジングなトライアル

オピオイドは、閉塞型無呼吸(OSA)を悪化するというガイドライン記載もあるが、ランダム対照トライアル行われていない。故に二重盲検ランダム化交叉デザイン検討

60名の男性OSA患者に コントロール放出経口モルヒネ40mg投与 vs プラシーボ


事前に予測可能な "precision medicine approach”への展望


The effect of acute morphine on obstructive sleep apnoea: a randomised double-blind placebo-controlled crossover trial
Luke Rowsell, et al.
Rowsell L, et al. Thorax 2018;0:1–9. doi:10.1136/thoraxjnl-2018-211675
前後施行:awake ventilatory chemoreflex test:覚醒換気化学反射試験
睡眠前、翌朝採血:毒性試験、genotype 解析

プライマリアウトカムは SpO2 90%未満の時間(T90)

個別ばらつき大きいが、 モルヒネ40mgではT90、AHIに悪化を認めず
ただ、 1.3%ほどSpO2 nadir低下

ベースラインCO2換気応答低下は、モルヒネ使用時 T90、AHI、ODI指標悪化と相関

OSAで、A118G OPRM1 polymorphism : A/A and A/Gなら、覚醒換気化学反射応答及びT90へ有意に悪影響


【警告】コルチコステロイド10mg/日以上の投与はPD-(L)1阻害剤効果を減弱

ステロイド投与の理由をみるとしかたないのかもしれない。だが、PD-1チェックポイント分子阻害剤のうち、PD-L1抗体(アテゾリズマブ;テセントリク)使用時はその効能低下について配慮必要

PD-1抗体(オプジーボ、キイトルーダなど)については? 可能性今後探る必要あり

MedPageでは、抗PD-1/PD-L1治療とまとめて解説している
https://www.medpagetoday.com/hematologyoncology/lungcancer/74838





Impact of Baseline Steroids on Efficacy of Programmed Cell Death-1 and Programmed Death-Ligand 1 Blockade in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer
J Clin Oncol 2018; DOI:10.1200/JCO.2018.79.0006.
https://doi.org/10.1200/JCO.2018.79.0006

PD-(L)1 blockade治療640名中90名(14%)でプレドニゾロン換算10mg/日以上のコルチコステロイド投与
ステロイドの適応は呼吸困難(33%)、疲労(21%)、脳転移(19%)

独立したコホートとして Memorial Sloan Kettering Cancer Center (n = 455) とGustave Roussy Cancer Center (n = 185)において、ベースライン・コルチコステロイドは全般的奏功率、progression-free survival(PFS)、全般生存率(overall survival:OS)すべてで減少

MSKCCコホートによると、ベースライン・コルチコステロイド 10mg/日以上投与により

  • 奏功率低下(6% vs 19%, p=0.002)
  • progression-free survival(PFS)においては中央値 1.9ヶ月 vs 2.6ヶ月 P=0.001
  • 全般生存率(overall survival:OS) 5.4 vs 12.1ヶ月 p< 0.001


フランスコホードでは、奏功率 8% vs 18% だが、P=0.2であった
PFSに関しては軽度低下だが、有意差有り(1.7 vs 1.8ヶ月 p<0.001)
OSはほぼ3倍低下 (3.3 vs 9.4ヶ月 p<0.001)

喫煙歴、PS、脳転移病歴補正pooled population多変量解析にて、PFS(ハザード比, 1.3; P = .03)、OS減少 (ハザード比, 1.7; P < .001)と相関

2018年8月30日木曜日

糖尿病:n-3多価不飽和脂肪酸 心血管イベント抑制効果認めず

discussionから 「サプリメントでは心血管アウトカムへの効果認めないが、n-3脂肪酸サプリメントを冠動脈性心疾患二次予防に推奨したり、卒中予防・心臓突然死予防のため魚摂取週1−2回は摂取するようアドボケートを続けている臨床ガイドラインが存在する」
確かに以前のトライアルでは、魚摂食やn-3脂肪酸サプリメントを増加することで評価されていたが、単独の効果としては評価難しい研究デザインであった」


結論から言えば、観察研究に基づく推奨であるが、サプリメントとしてのランダムトライアルとしては心血管系ベネフィットあるとは言いがたい。



15,480名の糖尿病患者で動脈硬化性心血管疾患のない症例

  • n-3脂肪酸 1gカプセル(脂肪酸群)
  • マッチングプラシーボ(オリーブオイル)



おそらく、オリーブオイルは一過不飽和脂肪酸が多いため、多価不飽和脂肪酸(n-3)比較のため対照として使用されたのだろう
オリーブ油の脂肪酸構成は、このオレイン酸が約75%を占め、約10%を飽和脂肪酸、残りをリノール酸、αリノレン酸などの多価不飽和脂肪酸が占める


Effects of n−3 Fatty Acid Supplements in Diabetes Mellitus
The ASCEND Study Collaborative Group
N Engl. J. Med. August 26, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1804989

プライマリアウトカムは初回重症血管イベント(i.e. 非致死性心筋梗塞、卒中、一過性脳虚血、心血管死、除外:頭蓋内出血)
セカンダリアウトカムは初回重症血管イベント+何らかの血管再建

結果
フォローアップ7.4年間(adherence 率 76%)

脂肪酸群:重大血管イベント 689名(8.9%)
プラシーボ群: 712 名(9.2%)
発生比 0.97; 95% 信頼区間 , 0.87 to 1.08; P=0.55)

重大心血管イベント・血管再建複合組み合わせでは、それぞれ 882 名 (11.4%) 、 887 名 (11.5%)
発生比 0.95; 95% CI, 0.86 - 1.05)

全原因死亡は、各々 752 名 (9.7%)、788名 (10.2%)
発生比 0.95; 95% CI, 0.86-1.05

非致死性重大副事象イベントに関して群間差認めず







研修医の頃 この論文を抄読会で読んだ思い出がある
↓
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM198505093121901




随分エポックメイキング名論文で、その後も色々見聞きしたので、この論文選択したセンスは褒められても良かったと思うのだが・・・

指導部長は、疫学研究軽視の人間で、つまらん研究報告だと一蹴された・・・まだ、根に持ってる・・・ 35年程前・・・ 懐かしい!
(研修医を指導する指導者たちよ、意外と根に持たれることを念頭に、抄読会の指導がんばって)

そのときの肯定的事象が、否定されたのも興味深い

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...