2012年6月7日木曜日

小児:医療用放射線で白血病・脳腫瘍リスク増加:10年・1万対1人の脳腫瘍、白血病


NCI(NIH部門)主導研究で、初回CTスキャン後10年で、やはり白血病や脳腫瘍リスク増加が示された。

リスクとしては、絶対的影響は小さい。しかし、リスクの存在は明らかとなった。


Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study
Mark S Pearce et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 7 June 2012

後顧的研究、22歳未満の、1985-2002年のイングランド、ウェールズ、スコットランド(Great Britain)のNHSセンターでのCT検査された事前がん診断無しの患者を含む検討
フォローアップ中、白血病 74/178604、脳腫瘍診断 135/176587

CTスキャン放射線量と白血病に正の相関(超過リスク比[ERR]/mGy 0.036, 95%CI 0.005-0.120; p=0.0097)
脳腫瘍(0.023, 0.010-0.049;p<0.0001)

5mGy未満の患者比較で、累積放射線放射線量 30 mGy(平均暴露量 51.13 mGy)白血病相対リスクは 3.18(95%CI 1.46-6.94)、脳腫瘍は 累積放射線被曝量 50-74 mGy(平均暴露量 60.42 mGy)は 2.82


結論:
子供でのCTスキャンの利用、50mGy程度の累積暴露量で、白血病リスク3倍、60 mGy程度で脳腫瘍3倍程度。これらのがんは比較的稀なので、累積的絶対リスクは小さい
10歳未満患者の初回CTスキャン検査10年後、超過リスクで言えば、頭部CT1万あたりで、脳腫瘍1人、白血病1人。

絶対的臨床的ベネフィットは小さな絶対的リスクより荷重が大きい
だが、電離放射線に関わらない代替的方法を常に考慮することも大事




CT至上主義が跋扈する日本。 医療側もそのニーズに呼応する。いびつな医療需給関係が日本に存在する。

また、原発事故で放射線による健康被害に過敏になってるはずなのに、利用者からは医療用放射線の被曝リスクを心配する声が聞こえず、CT検診などで放射線被曝に関するインフォームド・コンセントがなされているという話は聞かない。


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