2012年6月7日木曜日

多剤耐性結核菌治療:従来薬剤にDelamanid付加により培養陰性化迅速化をもたらす

多剤耐性結核治療において、新しい抗結核薬をバックグラウンド治療にadd-onした場合、喀痰培養の陰性化 迅速という報告。


多剤耐性結核菌は、世界的にはコストとして結核治療の約5%で、治癒率が低く、死亡関連する。そして、感染流布に関連する。早急な治療対応が求められている。

多剤耐性結核治療法開発は逼迫した状況なのである。

Delamanid for Multidrug-Resistant Pulmonary Tuberculosis
Maria Tarcela Gler, et. al.
N Engl J Med 2012; 366:2151-2160June 7, 2012

Delamanid (OPC-67683)は、ニトロ−ジヒドロ−iイミダゾオキサゾール誘導物質で、in vitroやin vivoで、結核菌薬剤耐性に対するpotentialが示されていた。

ランダム化プラシーボ対照多国的臨床トライアル

多剤耐性結核菌を有する481名(ほぼ全員HIV認めず)
・Delamanid 100mg×2: 161名
・Delamanid 200mg×2: 160名
・プラシーボ: 160名

プライマリ有効性エンドポイントは、2ヶ月時点でのliquid broth medium喀痰培養陰転比率
delamanid 100mg+バックグラウンド薬物レジメンのうち、45.4%が2ヶ月時点で、liquid broth陰転化、プラシーボでは29.6% (P=0.008).

同様に、delamanid 200mg+バックグラウンド薬物治療群では、2倍ほど喀痰培養陰転 (41.9%, P=0.04)

固相培養での各他院培養陰転化も同様


多くの副作用は重症度として、軽度から中等で、群横断的に生じている。

心電図QT延長による臨床イベントは観察されてないが、QT延長がdelamanid投与で有意に多く認められる。




(関連論文)中国でのMDR、XDRの実態報告


National Survey of Drug-Resistant Tuberculosis in China
Yanlin Zhao, et .al..
N Engl J Med 2012; 366:2161-2170 June 7, 2012

 新規発症3037名・治療既往ありの892名の結核中、多剤耐性結核(MDR)(定義:少なくともINH、RFP耐性)はそれぞれ5.7%(95%信頼区間[CI]、4.5-7.0)、25.6%(95%CI, 21.5-29.8)

結核患者において、INH、RFP、両者耐性菌を有する場合が、約1/4 、多剤耐性が1/10

 MDR結核の約8%で extensively drug-resistant(XDR)結核(定義:少なくとも、INF,RFP、オフロキサシン、カナマイシン耐性)

2007年、MDR結核11万発症例(95%CI、97000-13000)、XDR結核8100(95%CI、7200-9700)
 
MDR・XDR結核の多くは、プライマリな感染から生じている。

 結核病院での最終治療で多数の事前治療がMDR結核最高リスク (adjusted odds ratio, 13.3; 95% CI, 3.9 to 46.0)

MDR結核治療既往患者226名のうち、43.8%が最終治療完遂せず。多くは、病院システムでの治療。 
治療完遂患者の内、結核発症は公衆衛生システム治療後が多い。

 病院システム内での加療の方が確実・・・

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