Three reasons to abandon low-density lipoprotein targets: an open letter to the Adult Treatment Panel IV of the National Institutes of Health.
Hayward RA, Krumholz HM.
Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2012; DOI:10.1161/circoutcomes.111.964676.
より、テーラー化された全体の心血管リスクを斟酌したものにかえようというもの
現行の”treating to lipid targets (treat to target)から、 個別ネットベネフィットに基づく治療、則ち、”administering fixed doses of statins based on a person's estimated net benefit (tailored treatment)”への変更の呼びかけ
LDLをターゲットとした治療には科学的根拠がない
LDLターゲットに基づく治療ベネフィットが直接示された論文なんてない。たとえば、スタチンなどの治験は固定用量で、特異的な治療対照群を相手に行った治験である。clofibrateやtorcetrapibなどのではリスク減少が示されず、他の薬剤、ezetimibe(ゼチーア)なんて検討中に過ぎない。
すべての薬剤が脂質レベル減少が患者リスク減少を示すとは示されてない。ターゲットは臨床トライアルエビデンスにもとづくというドグマがある。
だが、”LDLコレステロールを目標とする”戦略にはエビデンスがない!
スタチン類の “pleiotropic” effect
第一世代であるシンバスタチンは劇的に心血管イベント・死亡率を減少させた。アトルバスタチンのような潜在力の高いスタチンは非致死的イベントを減少する作用が15-20%付加的にあった。
トライアルエビデンスではスタチン使用に関するもので、ターゲットによる治療ではなかった。
ベネフィットの働くスタチンのメカニズムは議論があるところであるが、"cholesterol hypothesis"に関して異論の反証の必要性はないほどである。
LDLそのものがheterogeneityがあり、相互作用も存在し、患者アウトカム改善につながるのか信じられない。
LDLターゲット治療の安全性は判明していない
新規薬剤をスタチンに加える方法が使われることが多いが、より高価になるだけでなく、併用に関するベネフィットは示されてない。薬物相互作用を含め5-7年を越えた長期安全性は明確になってない。10年間を越えるベネフィットは評価されてないが、心血管リスクを有する個人は生涯の治療が当然と考えられている。その上に、若年者にまで対象が広げられている。近年、血圧、血糖でも推奨ゴールをstrictにするほど死亡率増加することが明確になってきた。そのまま応用は出来ないが、少なくとも、LDLターゲットをさらに厳しくすることを推奨を正当化するには十分なエビデンスは存在しない。
テーラー化治療は、より単純で、安全で、効果的で、よりエビデンスに基づいている
ATP III LDLターゲットは、RCTエビデンスから離れたモデルの外挿でできている。コレステロール管理において短期治療中のコレステロールの長期変化を信号(s)として個体内変動(n)を雑音としてs/n評価。7Tの短期変動背景に対し、コレステロール値増加シグナルとして検知は困難(Ann Intern Med. 2008;148:656–661)。 治療ガイドラインに従えば、過小治療もしくは過剰治療になっている。
単純なテーラー化治療アプローチとは、5-10年心血管リスクによるもので、年次QALYあたり10万程度をsaveするもので、treat-to-target approachアプローチよりスタチン高用量該当者を少なくすることが出来る。
個別ネットベネフィットに基づく治療、則ち、”administering fixed doses of statins based on a person's estimated net benefit (tailored treatment)”は、現行の”treating to lipid targets (treat to target)より、エビデンスに基づくものと言える。LDL値はすぐさまスタチン治療によるベネフィットを表しているものではなかったから当たり前。
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