2012年1月20日金曜日

記憶の固定化:PTSDなどの関連するかも ・・・ vs 睡眠はなんでもすばらしいという研究結果

 一晩寝たら、つらいことなんて忘れてしまう! ・・・ ってほんとか?

寝る前に怖いものをみたら記憶の固着が生じる。情緒的・感情的に表現することは減少するが、記憶として残る。


せめて、寝る前にはやはりpositiveなものに触れるようにしましょう・・・




睡眠は、特に感情的記憶に関して、記憶促進的に働く。このため、睡眠不足がPTSDを減少に働く可能性がある。

感情的記憶硬化は、感情的応答の減少とともに平行の変化を示すという仮説になり、この関連性は確認されてない。


Processing of Emotional Reactivity and Emotional Memory over Sleep
Baran B, et al
The Journal of Neuroscience, 18 January 2012, 32(3): 1035-1042;
doi: 10.1523/​JNEUROSCI.2532-11.2012


 女性68名、男性38名(18-30歳)に、コンピュータ上の絵を見せる。
1-9のスケールでレーティング化した、emotional response(情緒的反応性)(happy/sad)とarousal(calm/excited)を測定。

24時間後、提示写真と、未提示・新規写真のセットを示した、回答率を検討する。
  • 睡眠群:当日遅く、first setの絵を見せて、終夜睡眠後2nd setの絵を見せる
  • 覚醒群:朝絵を見せて、完全に覚醒したままの12時間後2nd sessionを行う
一見、奇妙だが、概日リズムによる差がでないようコントロールのためのやり方と考えている。

感情的反応の差(valence)をANOA計算し、negativeな絵のΔvalenceは覚醒群で高値(mean=0.65, SEM=0.09) vs 睡眠群(mean=0.39, SEM=0.07)。これは、初回の暴露後覚醒状態が続いた場合、初回のnegativeなrating(要するに、sad、calm的要素)が中和されやすいことを意味する。

neutralな絵では、同様なΔvalenceであった。

negativeな絵のarousal ratingは覚醒群で軽減 (mean Δarousal -1.17, SEM=0.27) vs 睡眠群 (mean Δarousal -0.60, SEM=0.18)。しかし、群差の影響、group x valence interactionとも有意差には至らず (F=1.51, P=0.22、 F=1.29, P=0.25)

記憶の変化が睡眠中、感情的応答にいかに相関するか検討すると、Δvalenceは覚醒群ではnegativeな絵ののhit rateに相関せず、睡眠群もしない (r=0.25, P=0.19、r=-0.096, P=0.49)

REM睡眠が情緒的記憶硬化にcriticalとされるが、negativeな絵のhit rate、Δvalence、Δarousalとの有意な相関は認めない。
REM睡眠が多いほど、negativeな絵の減衰が少ない。 感情的反応減少作用はREM睡眠の時間が多いほど大きい。


解説:http://www.medpagetoday.com/Psychiatry/AnxietyStress/30756


睡眠時間は記憶改善につながり、negativeな絵への応答減少しにくくなる。

以下のごとく、REM睡眠には好ましい効果だけがあるという報告もある


REM睡眠の神経生理学的作用により、怒り・恐怖というnegativeな情緒的反応は軽減され、逆にpositiveな情緒反応は促進するという、睡眠の脳の情緒的調整としてのホメオスターシスメカニズムが存在するという報告(A Role for REM Sleep in Recalibrating the Sensitivity of the Human Brain to Specific Emotions; Cerebral Cortex January 2011;21:115--123 (pdf))


上の報告と対比してみた。

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